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第四話 食材調達


 食材を調達するため草原の中をルシアと歩いていると、目の前の草むらが不意に揺れてウサギの魔物が飛び出してきた。


 俺は咄嗟にルシアの前に出て石の剣を構える。


「ツクル兄さん! 危ない~!」


 チッ。ルシアが放った魔術で作られた火炎の矢が耳の先を掠めて、目の前のウサギの魔物を焼き尽くしていた。


 こんがりと焼けた角ウサギが絶命すると、ドロップアイテムである【ウサギ肉】が白煙とともに現れていた。


「ふぅ~~。危ないところでした~。ウサちゃんも不意を打たれなければ、案外簡単に狩れますね……食材のお肉ゲットできました~」


 主にこっちの身が危ないと思いました。君の放った魔術が掠った揉み上げが少しだけ、焦げてしまっているのだよ。


 俺はルシアの魔術によって犠牲となり、チリチリになって焦げてしまった揉み上げをさすっていた。


「あら、ツクル兄さん……大変、揉み上げが焦げてしまって……堪忍です」


 ルシアがチリチリになった揉み上げを指でなぞって謝罪してきた。


「いや、割とルシアさんも戦えるなと思って。俺の護衛はいらないかな?」


「そんなことないです。ツクル兄さんがいるから、落ち着いて戦えるんですから~」


 カワイイ、ルシアさんのためなら、揉み上げの一つや二つは焦げてもオールオッケー。ノープロブレムだ。


 カワイイは正義。できることなら、謝罪の代わりにルシアたんの狐耳をモフりたいが、あまりやって逃げられでもしたら、立ち直れないほどのダメージを負いそうなので、頭をポンポンするだけに留めておいた。


「この角ウサギは序盤では結構強い敵なのだけど、一撃で燃やしちゃうなんて凄いよ」


 俺は村の住民であるルシアを仲間に加え、村人たちの食材の調達を兼ねた素材収集をしていた。


「そんなに褒められたら、照れてしまいます~。本当なら魔術の発動体である杖があれば、もっと威力を出せるんですけどね~。村に珍しくきた商人に食材と交換で手放してしまいました」


 申し訳なさそうに、空の手を見ているルシアに不憫さを感じた俺は、ある提案を持ちかけることにした。


「そうだ。どうせならルシアさんの杖も作っちゃいましょう。確か、もう少し奥の森に行けば【樫の古木】をドロップする敵がいたはず。もう少し、食材も手に入れたいですしね」


「本当? 本当に【樫の杖】作れるの? 欲しいけど、うちはワガママを言ったらいけないし……」


「魔物の狩猟を効率化させるためだもの。遠慮は無用さ。ルシアさんの魔術が強くなった分、食材魔物が多く狩れるようになるしね」


「そ、そういうものですか?」


「そそ。そういうものなの」


 遠慮を見せるルシアの手を引き、目的の素材をドロップする【さまよう木】がいる霧の大森林へと歩き出していった。



 霧の大森林はその名の通り、常時霧に覆われた森林地帯で、通り抜けようとする者を間違った方向へ導き、森の中で遭難させて、木々の栄養にしているとゲームの設定集には書かれていた記憶がある。


 確かにミルクのように濃密な霧が立ち込めており、隣にいるはずのルシアの顔さえも見えないほどであった。


 意外と霧が濃いな。ゲームの時はそれほどまでに感じなかったが……。


 濃い霧に包み込まれたことで、はぐれないようにとルシアが腕を絡ませてきていた。


「ツクル兄さん……何か霧が濃くて怖いです……一人にされたら怖いから腕を放さないでくれますか~。本当に一人にされたら怖いわ~」


 初めて霧の大森林に来たルシアは、霧に包まれたことで不安を感じており、腕を絡ませただけではなく、身体も密着させてきていた。


「だ、大丈夫。道中で【食用キノコ】、【ウサギ肉】も多く手に入ったし、ここも敵はそんなに強くないから、【樫の古木】を三つ手に入れたら村に帰るとしようか」


「ツクル兄さんにお任せします。うちをこの森に置いて行かないで欲しいの」


 ルシアは不安そうな声音で、絡ませた腕にギュと力を込めていた。


 カワイイ、今すぐに狐耳を猛烈にモフりたいっ! 


 だが、お楽しみは取っておくべきものだ。クールになれ。焦れば、大魚を逃すことになる。クールに知的に、スマートにいこう。


「俺がルシアさんを置いて行くわけがないでしょう。大丈夫、すぐに敵を退治してみせます……ブホッ!」


「きゃあっ!」


 ルシアを励ましながら歩いていたら、突如として壁のような物にぶつかり、勢い余ってルシアともども、転倒してしまった。


 転倒したことで地面に身体をぶつけるかと思ったが、とても柔らかい物体が顔面を地面に強打する危機から救ってくれていた。心なしか、ドクドクと大きな鼓動が聞こえている。


「ツクル兄さん!? そんなところに顔を置かれたら、うちは恥ずかしくて死にそうになるんですけど~。早く、顔をどけてもらえませんか!?」


「ご、ごめんっ! 悪気はないんだっ! 事故だよ、事故。よ、よし。敵の攻撃は俺が引き受けるから、ルシアさんは魔術で援護してくれると助かるよ」


 顔を名残惜しく上げると、目的の魔物である、さまよう木に向かって【石の剣】を引き抜き挑みかかっていく。


「もう、ツクル兄さんだけだからね……こんなことされても怒らないの……」


 最後方はゴニョゴニョして聞き取れなかったが、顔を赤らめているルシアによって、俺のアドレナリンが一気に放出され、猛烈なやる気を発揮する。


「うぉぉおおおぉっ!! ファイトーーー!! いっぱーーつ!!」


 ズビシュッ! さまよう木に当たった石の剣から、会心の一撃のような手ごたえが返ってくる。


 見事に身体を横に両断されたさまよう木が地面に二つ折れになって倒れると白煙が上がり、古臭いごつごつとした木材に早変わりした。


「本当にツクル兄さんは、本能に忠実な方~。男の方だからしょうがないのかしら……」


「ふぅうううううっ!!」


 ルシアのおかげで、アドレナリンが放出されまくっているため、俺は猛烈なやる気に曝されている。


 一体のさまよう木を倒したことで、周りにいたさまよう木達が一斉に動き出してこちらに向かってきていた。


 ズビシュッ! ズビシュッ! ズビシュッ!


 驚くべきアドレナリンパワーで三連続の会心の一撃が決まる。こちらに向ってきていたさまよう木達は、【石の剣】の一撃でなすすべなく素材にされてしまっていた。


「あら、このままだと、うちの出番はなさそう気がしますね……魔力を温存できてうれしいですけど」


「ふぅ、ふぅ、ふぅ……ざっとこんなものさっ! 大丈夫って言ったでしょ。さぁ、早く【樫の古木】を拾って……」


 ドロップ品の【樫の古木】を拾おうとしたら、身体が光に包まれていた。


 >LVアップしました。

 LV1→2

 攻撃力:12→16 防御力:11→15 魔力:5→7 素早さ:7→9 賢さ:8→10


 レベルアップしたことで、能力値が少し成長していた。


「この光はLVアップしたんですね~。おめでとうございます~。今日は食材もたっぷり手に入りそうですし、ツクル兄さんの歓迎会は盛大に祝いたいですね~。うちが腕によりをかけてご飯つくります~」


 俺のLVアップを喜ぶルシアの姿に頭のネジが吹き飛び、煙が噴き出してオーバーヒートしてしまった。


 なんかこう。すべての行動が可愛すぎて、尊さを感じ始めているのではないだろうか。


 異世界で出会った狐娘のルシアに心をがっちりと鷲掴みにされてメロメロにされてしまった。


 こんな子と一緒に村で生活をしていけると思うと、わくわくが止まらなくなる。本当に転生させてくれたことだけは、あの性格ブスの女神感謝してやろうと思った。


 その後、ドロップした【樫の古木】を拾い集めると、何とか無事に日暮れ前には、目的地であった最果ての村に到着する事が出来ていた。


ゲットアイテム


【ウサギ肉】【食用キノコ】【樫の古木】

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