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第二十六話 マガモ退治

【転移ゲート】をくぐってバートたちがいた集落に向かう途中で、先導していくれていたバートが手を挙げて制止をすることを求めてきた。


 目の前には池があり、前方から鳥の鳴き声が聞こえてきていた。


 先導しているバートが自生している背の高い草をゆっくりと掻き分けて近寄ると、池の奥には一〇羽ほどの大マガモがいた。


「ツクル様、今夜のおかずといたしましょう。【カモ肉】は意外と美味しいですしな」


「なら、俺が囮になって引き寄せるから、バートたちとルシアで援護してくれ」


「承知しました。ツクル兄さんのお手伝いさせてもらいます」


「ツクルパパー。ピヨも何かしたいー!!」


 何かお手伝いしたいピョンピョンと跳ねていたピヨちゃんを抱えると、ルシアに抱っこしてもらう。


「ピヨちゃんはルシアママを応援しててあげて、それと俺も応援してくれるとありがたい。頼むよ」


「はーい!! ツクルパパとルシアママを応援するー!!」


 ピヨちゃんはルシアの首に抱き着くと、元気に返事をしてくれていた。うちの娘は元気があってよろしい。


「さて、じゃあ。俺は先行するよ。後ろは任せるからね」


「承知。ツクル様の背後は取らせませぬ。一人上に上がれ」


 バートの指示で弓を持った有翼人の青年が羽ばたき上空へと飛び立つ。上空からの状況把握と援護も期待できそうであった。


 大マガモは魔物としては強くないが、全長二メートル近い巨体で集団行動をして襲ってくることもあるため、油断はできない。


 コッソリと池のほとりに近づいていくと大マガモたちの近くまで寄ることに成功する。


 そして、背後にいたルシアたちに大マガモを狙うと指で差し示す。


 ルシアたちは黙ってコクンと頷くと、すぐにでも詠唱動作に入れるように杖を構えてたり、弓を引いたりしていた。


 一方、俺は武器を【鉄の弓】に替えると【鉄の矢】をつがえて先頭の大マガモの首筋に狙いをつける。

 

 キリリと引き絞った弓から矢が放たれると同時にルシアの詠唱が始まる。


 先頭の大マガモが鉄の矢に首筋を貫かれて絶命した。


 急な攻撃で慌てていた大マガモの集団は、ルシアの火炎の矢を喰らって二羽目が丸焼けになって絶命していた。


 ギャアギャアと鳴き始めた大マガモたちに向けてバートたちの矢も飛んでいく。


「ルシアママー、ツクルパパー頑張れー!!」


 ピヨちゃんが応援してくれてる間に、二射目の矢をつがえ終え、更に混乱を広げるために三羽目の大マガモを狙い撃ちして絶命させると、【鉄の剣】と【鉄の盾】に装備を替えて突撃することにした。


「ツクル兄さん!! 気を付けてくださいね!」


「分かった。俺の背中はルシアたちに預けるよ」


「承知」


 背後からの援護をルシアたちに任せて、大マガモの集団に吶喊する。


 混乱したままの大マガモ達はルシアの火炎の矢と、バートたちの狙撃、そして俺の【鉄の剣】の憐れな犠牲者と成り果てていった。


 ザシュッ!


 最後の一羽の大マガモの首筋に剣を突き立てる。生命活動を止めた大マガモはボフッと白煙を上げて、素材へと変化していた。


「ふぅ。集団でいると、さすがにちょっとだけヒヤッとするね」


「ツクル兄さんは、全然強いですね。大マガモの攻撃が全然効いてないし。凄いです!」


「ツクルパパーカッコいいー!! ルシアママがねー戦ってるツクルパパ見て『ツクル兄さんはかっこいい』って言ってたのをピヨは聞いたのー!」


 ルシアに抱っこされていたピヨちゃんが俺の方に飛び込んできた。


「ピヨちゃん!? それは言ったらダメって――」


 ルシアが顔を真っ赤にして、慌てて釈明を始める。


「そ、その、ツクル兄さんがとっても強くてカッコよくてー。ああ、うちは何を言っているのですかね」


「ルシア殿はツクル様の嫁であろう。そう、遠慮せずとも。男は綺麗な女性に褒められると嬉しいものですぞ」


 バートは事情を知っているはずだが、忘れているかのようにルシアをけしかけてニヤニヤしている。


 顔を真っ赤にしてウルウルした瞳のルシアに見つめられて、俺も思わず照れてしまう。


 その目は卑怯だな。可愛すぎる。


「あーツクルパパもお顔が真っ赤になってるー! キャー」


 ピヨちゃんが茶化してくるから、思わず肩車をして誤魔化すことにした。


 ああ、恥ずかしい。めっちゃ脈ありとか思われちゃったかな。実際あるんだけども恥ずかしい。


 ルシアへの気持ちは各個たるものになりつつあるが、今一歩前に踏み出す勇気が持てず、現状を維持しようとする自分がいた。


「さて、そろそろ。素材拾いしよっか」


「そそそ、そうですね。うちもお手伝いします」


「ツクル様もまだまだですなぁ~」


 素材を拾おうとしたら、ルシアが装備の緩みを整えてくれていた。


 こういった細かいことに気が付いてくれるルシアは絶対にいい奥さんになれる素質があると思う。


 俺達は、有翼人の村に向かう前に退治した大マガモの素材を拾い集めた。


 手に入った素材は【羽毛】×5、【カモの肉】×3、【卵】×2だった。

ゲットアイテム

【羽毛】【カモの肉】【卵】

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