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第二十一話 ピクニック?

 朝食を食べ終えると、今日はゴーレム生成で減った鉱物資源を補給しに行くことにした。


 ついでに前回、苗化できなかった【テンサイ】や新たな食材を探すため、北上する予定をしている。


 そのため、往復するとかなりの時間に消費になると思われるので、俺はイクリプスから与えられていた【転送ゲート】の一対を取り出し、村の井戸の近くに設置する。


「ツクルパパ~これ何~」


 設置した【転送ゲート】を興味津々でピヨちゃんが見ている。


 その声に誘われるようにエリックやルシアたち、村の住民が総出で扉を注視していた。


「これは【転移ゲート】って言ってね。まぁ、見てもらえば分かりやすいか」


 どうも説明は苦手なので、現象を見てもらった方が早いと思い、崖の近くまで歩くと、もう片方の【転移ゲート】を設置した。


 設置したことで【転移ゲート】が起動し、ゲートの中央に真っ黒な空間が浮かび上がる。


 そして、俺はその空間を通り抜けていった。


「っとこういうことさ。分かってもらえた?」


 空間を抜けると広場の前に出ていた。


 ルシアを始め、ピヨちゃんも驚いた顔をして俺の方を見ている。


 【転移ゲート】は大都市しかないものなぁ。普通驚くか。


「ルシアママー!! ツクルパパがこっちにいたー! あっちにいたツクルパパはどこー」


 ピヨちゃんは俺が転送されたことが理解できないようで、ルシアの服の裾を引っ張り、崖の方と俺を交互に見ていた。


「ピヨちゃんおいで、ルシアもエリックたちも来てくれ」


「は、はい」


 ゴクリと唾を飲んで緊張の面持ちのルシアたちが、広場の【転送ゲート】に近寄る。


 俺はピヨちゃんとルシアの手を取ると、もう一度、真っ黒な空間へ飛び込んだ。


「きゃー、ツクルパパーこわいー」


「ツクル兄さん! あ、あの心の準備が」


 飛び込む瞬間に二人は目を瞑っていたようで、通り抜けた後も開けようとしていなかった。


 そこまで怖いものだったか。これは、驚かせたかな。


「大丈夫、眼を開けてみて」


 俺は努めて優しい声で二人に目を開けるように言った。


 こわごわと目を開けた二人は崖の前に来ているのが分かると驚いていた。


「わぁああ、凄い! ルシアママー。あそこからビューンってきたー」


「【転移ゲート】って凄いです~。あっという間にここまで……」


 二人がゲートの力を知り驚いていると、エリックたちも移動してきた。


「なんと……距離を無視できるとは聞いてましたが、これは凄い物ですね……これさえあれば、どんなに遠くまで行っても一瞬で村に戻れるというわけですな」


 エリックが【転移ゲート】の使い道を一瞬で理解していた。


 さすがに頭の回る男である。エリックの言う通り、この【転移ゲート】さえあれば、移動かなり省略されるのだ。


 今は一対しかないが、将来的に素材が集まれば、量産し、各都市を【転移ゲート】で繋いで行き来することも可能になる。


「そういうことです。今日はちょっとルシアとピヨちゃん連れて遠出してきますから、エリックたちは畑とゴーレムたちの素材回収お願いします」


「心得ました。ツクル様不在の間は私が責任を持って村を管理いたします」


 エリックが真面目なのはゲームで知っているが、根を詰めすぎると出会った時のようにぶっ倒れると思われるので、注意だけはしておく。


「ほどほどでいいよ。ほどほどで。ゆっくりやろう。もう少しすれば、食料も自給できるようになるしさ」


「ハハッ、承知しました」


 エリックは早速、モーガンたちを連れて、仕事に戻っていった。彼に村を任せておけば、仕事が滞ることもないだろう。


「さて、ルシアとピヨちゃんは俺と探検行こうか」


「はーい! ピヨはツクルパパに肩車して欲しい!」


 トテトテと駆け寄ってきたピヨちゃんが肩車を所望してきた。


 俺は【転移ゲート】をしまって腰を屈めると、ピヨちゃんを肩車して歩き出す。


「探検にしゅっぱーつ! ルシアママー置いていくよー」


「ああ、待って~うちも行きます~」


 俺たちは村を出て、三人で散策しながら北の鉱山地帯へ向かっていった。


 道すがら、ピヨちゃんの興味を引く物を説明し、トコトコと歩いて鉱山地帯に到着すると、鉱石と石炭の補充も兼ねて小山をまた一つ削ることにした。


 周囲の安全を確保してから、ピヨちゃんとルシア達には待っていてもらう間に【薬草】やハーブ類、その他素材になりそうなものを探しておいてもらうことにした。


「ピヨちゃんもルシアも遠くまで行かないでくれよ」


「はーい。分かってます~ツクル兄さん~」


 素材の捜索を始めた二人を見送り、俺は削ることにした小山に登ると、【鉄のつるはし】を装備して地面を掘り返していった。


 つるはしで地面を削る度に土や【粘土】、【砂礫】などが一気に素材化して辺りに散乱していく。


 その中に【鉄鉱石】、【銅鉱石】、【石炭】といったものが紛れており、それらも一様に素材化されて地面に飛び出していた。


 そして、小山を削り終えると地面に散乱した素材をインベントリに収納していく。


「お、【金鉱石】、【銀鉱石】、【石英】もゲーム通りやはりあったね。それに【石灰石】と【石膏】も大量に手に入れてたのはありがたい。今回の山は意外と当たりだったかもしれない」


 【金】、【銀】、【石英】は装飾や魔術書を作るための祭壇に必要な金属で、序盤では見つからないと攻略サイトには書かれていたが、実は再序盤の最果ての村の近郊の鉱山でこの希少な金属は掘れたのだ。


 ただ、俺以外は先に進んで必要な時に掘り始めているので、再序盤であるこの鉱山地帯を掘り返す者が皆無なだけであった。


 みんな序盤の場所を掘り返すより攻略を優先していたからな。急がば回れとはよく言ったものだ。いや。灯台下暮らしか。


 手に入れた希少な金属素材を見て、作り出せるものが増えたことを喜ぶ。


 希少な素材が増えれば、また一段と村が発展して皆が住みやすくなると思われた。


 インベントリに素材をしまい終えると、少しばかり深く掘り過ぎたので、誰かが落ちて怪我しないように土で埋め戻しておいた。


 人は滅多に来ないが、ゴーレムたちはそのうちこの辺りまで警戒に回す予定だし、埋めておいて事故を防がないと。


 土で掘った後を埋め戻し終えると、ルシアとピヨちゃんたちが声をかけてきた。


「ツクルパパー! ルシアママがいっぱい草をみつけたのー! きてー!」


 ピヨちゃんはルシアと手を繋いだまま、ぴょんぴょんと跳ねて、俺を呼んでくる。


 何だか、本当の家族みたいだ。いや、家族か。


 ピヨちゃんとルシアが俺に向ける笑顔を見てると、嬉しさと気恥ずかしさが身体中に広がる。


「今行くー! ちょっと待ってて」


 ピヨちゃんの呼びかけに応じて、苗化するための【スコップ】をインベントリから出すと、二人の下へ駆け寄った。


「どこにあるのさ?」


「ここだよー」


 ピヨちゃんが俺の手を引いてルシアが見つけた素材の場所に引っ張ってくれる


 そこには、回復薬系の素材に必要な【ヒーリングリーフ】が自生していた。

 

 回復効果を上げる素材の【ヒーリングリーフ】はありがたい。これが、栽培されれば、【中級回復薬】の素材になるしな。村の金策の柱にさせたい。


 自生している【ヒーリングリーフ】を【スコップ】で掘って畑に持ち帰り、栽培することにした。


 後、ルシアがハーブ関係の物を見つけてくれて、【クレソン】、【ミント】、【カモミール】、【ワサビ】、【ネギ】、【ニンニク】を発見していた。


 一部素材化させた物以外は、【スコップ】で掘り起こして栽培するために持ち帰ることにした。


「ハーブや薬味になりそうな物もいっぱいあったな。今回は大収穫だぞ」


「結構、ハーブ類が手に入りましたし、美味しくお肉が頂けるようになるかも~」


 お肉調理ようにハーブの調味料を自作しているルシアが、多くのハーブ系素材を手に入れられたことを喜んでいた。


「ルシアのご飯にはとても期待している」


「ルシアママー。ピヨも食べたーい。今日はツクルパパと一緒に食べるー」


 昨日はひよこ化して畑のワームを食べていたが、ピヨちゃんは人化している時は俺と同じものを食べられるようで、ご飯を一緒に食べたいとねだっていた。


「あらぁ。じゃあ、ピヨちゃん向けの刺激の強くないのも作らないと~」


「わーい。やったー。ルシアママすきー」


 ピヨちゃんがルシアの腰に抱き着いていく。


 俺もあんな時代あったかな。ばあちゃんにしてたっけ。


 ピヨちゃんがルシアに甘えるように抱き着く姿に、子供の時の記憶が重なっていた。


「さて、次は【テンサイ】を求めて、更に来たに移動するよ」


「はーい。ツクルパパーおんぶー」


 ルシアに甘えていたピヨちゃんが、俺の方にトトトと駆け寄っておんぶを所望してきた。

 

 どうも我が家の御姫様はとても甘えん坊な子らしい。


「はい、どうぞ」


 腰を屈めてピヨちゃんが背中に掴まりやすくしていく。


「わーい!」


 どうやら、俺は娘にはとても甘い父親のようだ。


 向こうでは独身だったのになぁ。なんでこんなに甘やかしてるんだろうか。不思議と悪い気はしない。


「ツクル兄さん、疲れませんか? もし、疲れてるならうちがおんぶしますよ」


 ルシアが心配そうに俺を見ている。

 

 ゲーマーであったが、一応社会人として働いていたので、これくらいはさして苦に感じない。


「大丈夫だよ。それより、ルシアの方こそ大丈夫? もう少し歩くけど?」


「うちは全然大丈夫です! 元気と丈夫さだけが取り柄ですから~!」


 ブンブンと手を振り回して元気さをアピールするルシアにおかしさを感じ、思わず吹き出しそうになる。


「プッ」


「ルシアママー、おもしろい~。もっとやって」


「ひゃあ! 笑ったらダメです~。ツクル兄さん~」


 真っ赤になって恥ずかしそうに俯いたルシアはとても可愛かった。


「ゴメン、ゴメン。もう笑わないから」


「本当ですか? うちは変な子じゃないですか?」


「全然、変な子なんて思ってないさ。可愛い人だなって」


「あー、ルシアママがまた真っ赤になったー」


「もうー、ツクル兄さんもピヨちゃんも、うちをからかったらダメ~」


 ルシアが俺たちを追いかけてきたので、俺とピヨちゃんは捕まらないように駆け足で、次の目的地に向かった。


ゲットアイテム


【金鉱石】【銀鉱石】【石英】【石灰石】【石膏】【ヒーリングリーフ】【クレソン】【ミント】【カモミール】【ワサビ】【ネギ】【ニンニク】

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