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改訂前:終わりの炎と抗う者達【凍結】  作者: しやぶ
第1章 逃避行編
7/13

5 盗賊神と

タグを追加しました。また増えるかもです(予定は無いですが一応)


あらすじに2文字追加しました(ほぼ変わらない)


逃避行編はこの話で終わりなので、ここから更新遅くなります(目標は毎週土曜日)

「さて、仲間が増えて戦力も補充されたし。俺は一旦別行動をとるよ」


「は?」


「え?」


「そう」


エンデの唐突な発言に、アルとユダはショックを受けていたが、アクアは当然のことの様に受け止めている


「なんでアンタ達はもうすぐこの世の終わりが来るって知ったときより絶望した顔してんのよ......普通に考えて、今のコイツは腕が無いんだから、腕を生やすとか義腕をつけるとかしないとでしょ?」


「いや、それなら一緒にいても出来るような気がするんだけど?」


「腕はついでだ。孤児院の皆が心配だから一度様子を見ておきたい。ほとんどの神は取らない手法だが、人質に取られる可能性がある。それと[千里眼]が使える俺なら安全に様子が確認出来るしな」


それでもまだ何か言いたげな二人の視線に耐えられず、エンデは露骨に話題を変える


「そういえばお前、名前聞いてなかったな。協力者の名前を知らないのはマズイ」


「言われてみれば確かに名乗ってなかったわね。ワタシはアクア。〈盗賊神〉アクアよ」


〈盗賊神〉という単語を聞いて三人は訝しげな顔をした


「〈盗賊神〉......?お前本当は自力で結界破れたんじゃないか?」


「出来るけど、やれなかったのよ。直前までミス=即死のダンス中だったのよ?ワタシは素の身体能力が12歳の〈人種〉の女の子と大差ないから、攻撃を捌ききるために魔力を大量に消費してたの。あの場で結界を破るために魔力を消費したら体が維持出来なくなってたわ」


その説明に二人は納得した様子だが、エンデだけはまだ気になることがあるようだ


「そうか......それともう一つ聞きたいんだが......戦線離脱した後、増援に憤怒がいるとかいないとか言ってたよな?なんであの場面で憤怒なんて単語が出てきたんだ?憤怒が称号のことだとして、そんな称号は聞いたことがない」


「あ~ソレか。ちょっと長くなるわよ?【憤怒】っていうのは確かに称号の様なものだけど、同時に能力名でもあるの。元は〈人神〉が持っていた〈神威〉なんだけど、あのクズは〈十二神〉の第一席を狙ってクーデターを起こそうとしてたの。だから罰として〈神威〉を没収されて、場所が把握出来ないように七つに分割して魔界に捨てられた。その捨てられた〈神威〉はその能力に最も適性がある、純粋な〈人種〉に吸収された。その一つが【憤怒】そしてワタシが今日見かけて、餌として利用した男よ」


「それってまさかお前を殴ってた奴か?完全にザコだと思ってたが......〈神威〉を使えたとはな」


「そ。アナタ達を分断するために色々考えてたんだけど......まさか一回目で成功するとは思ってなかったし、成功した後であんな展開になるのはもっと予想外だったわ。この子がドラグーンだって知ってたら、【憤怒】を敵に回す様なマネはしなかったわよ」


ドラグーンとは、〈人種〉と〈龍種〉の混血の中でも、体全体を龍化させることが可能な個体のことである


「......質問は終わり?だったらとっとと逃げるわよ。こんだけハデな騒ぎを起こしたんだもの。そろそろ騎士達が集まってくる。そしたら面倒よ?」


「解ってますよ。しかしどこに逃げるんです?神々に狙われてる現状では、落ち着いてレーヴァテインの情報を集めることも出来ず、集めた情報をじっくり検証する時間も施設も人材も有りません。こんな状態でどこへ向かうのですか?」


「えぇ。確かに今のアナタ達には何もない。だからワタシのツテを使うわ。今から向かう場所に居る神に頼れば、他の神々に干渉される心配は無くなるわ」


「......そんな高位の神様が、本当に味方になってくれるの?」


「えぇ。彼〈十二神〉と敵対してるから。と言っても〈十二神〉の方が一方的に毛嫌いしてるだけなんだけどね。実際に会って話せば良い奴よ。基本誰にでも公平だし、寛容だから事情を話せば手を貸してくれるわ。それに今回はワタシとそこの茶髪がいるから、少なくとも門前払いを喰うことはまずないと言えるわ」


「なんでそこでユダが出てくるの?」


「ふむ、茶髪はユダね......理由は単純明快、ユダが彼の加護を受けてるからよ」


「え?加護は見ただけで誰から貰ってるか解るものではない筈......」


「えぇ、普通はね。けど彼の場合は加護を受けた魔族に共通して、ある特徴が出るのよ」


「ある特徴?」


「そう。それは「動くな!!」......ゴメン。長々と話し過ぎた」


エンデ達は、ドラゴンを鎮圧するために現れた大勢の騎士と魔導師に囲まれていた


「この場は既に結界で包囲されている!ドラグーンの力でも破れはせん!大人しく投降しろ!」


「違います!ワタシ達逃げ遅れただけなんです!」


「バカッ!」


「嘘を吐くな!報告の後にドラゴンが飛び立った姿は確認されていない!そして最初に報告されたこの場所以外に被害は無かった!ドラゴン程の重量を転移させる様な大規模魔術の発動も同様に無かったことが確認されている!となれば貴様達の誰かがドラグーンだと確信出来る!騎士への虚偽報告と公務執行妨害!これ等は重罪だ!抵抗するなら法律上この場で殺害許可が下りる!大人しく投降しろ!!」


誰か一人でも万全な状態ならいざ知らず、今の彼等は全員が戦闘直後で消耗している。騎士と魔導師の合計数百人と戦うのは無謀だった。しかし元凶たるアクアは申し訳なさそうではあるが、余裕も見せている。その理由はすぐに解った


「いや、ゴメン。ホントにゴメン。お詫びに面白い体験させてあげるから許して?『冥府の鍵よ。門を開け』」


「うぉ!?」


「んな!?」


「ひゃ!?」


「何っ!?......これは一体どういう......」


アクアの言葉と共に四人の足下に巨大な一つの門が出現し、次の瞬間消失。足場が無くなった四人は重力に従い落下し、騎士達が穴を覗こうと近付いた時には穴は消え、元の地面に戻っていた



「おいアクア!いつまで落ちるんだ!?このままだと転落死するぞ!?」


「アハハッ!大丈夫!そろそろ到着よ!」


「え!?対策無しでこのまま行くと僕達大丈夫じゃないと思うんですけど!?」


「エンデ......ユダ......いままでありがとう......来世でも会えたら良いね......」


「あぁそうだな!」


「そう願うよ!」


「そうか。考えておこう」


「「「え?」」」


もうすぐ訪れるであろう落下の衝撃に目を閉じていた三人は、知らない声が聞こえてようやく自分達が地に足を着けていることに気付いた


「ほら。大丈夫だったし、面白かったでしょ?」


「お?おう......」


「......楽しかったかも」


「二度とやりたくない......」


どうやらアル以外には割と好評の様だ


「アクア......確かに鍵を渡した時、困ったことがあったら来いと言ったが......たまには面倒事以外の手土産を持って、普通に遊びに来てくれても構わんのだぞ?」


「ゴメンゴメン。でも今回は大目に見てよね。何せ《レーヴァテイン》に関する話だし」


「解っている。確かに現状でその子を匿える場所は此処だけだからな......だが理解していても、文句でも言わねばやってられんのだよ......」


「仕方ないなぁ......報酬はいつもの倍ってことで許して?」


「......それプラス命令権を一つ」


「......この変態」


知らない声の持ち主、どこか疲れているという印象を与える、黒髪黒目の青年の姿をした神とアクアの会話からは、二柱の神がただならぬ関係であることが伺える。特にアクアは変態と罵っていても、顔を背けて微妙にニヤけている


そして最初に混乱が覚めたユダが動いた


「えっと......アクア様?そちらの方は......?」


「ふむ?アクアから事前に聞いていなかったのか」


「えぇ。少々慌ただしい状況だったので、聞く時間が無かったのです......」


「そうか......君も苦労しているのだな。では名乗ろう。これから君達を保護することになったアズダイルだ。気軽にイルと呼ぶといい。役職は〈冥界神〉だ。冥府の中では無敵だと自負している」


「そう!此処は冥府!〈最高神〉ですら手出し出来ない、神界序列第2位アズダイルが支配する領域よ!」


序列2位。〈冥界の最高神〉


今此処に、最強の協力者が参戦した

第5話 盗賊神と冥界神

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