2話 いきなり死にかけ!?
さてと、いつまでも起きた事を嘆いてたってしょうもねぇ。
とりあえず、今出来る事を考えよう!
あー良い天気だなぁ……。これは光合成が捗るわ。
いや、言ってみただけだよ? 声出てないけどね!
わかんねぇって、光合成の実感なんてさ。
人間の時だって、意識して呼吸してたり心臓動かしてたりした訳じゃないんだしさ。
誰に言い訳してんだろ、俺は……。
色々考えたけどさ、何を考えても無駄だということに気付いた。
少し考えてみたら当然だよ、木なんだから何をするとかその前の段階の問題で、根本的に動けないんじゃ行動に移せねぇ!
多分、おそらく、確信は無いけれど、長期的に見れば多少は意思で変化させれるとは思う。
枝の向きとか、ちょっと曲がりながら育ってみるとかなら出来そう。
で、だからなんだ? そんなもんでどうしろと!?
ともかく暇なんだよ、ひーまー!
やる事が無いんじゃないんだ、出来る事がないんだよー。
だから日向ぼっこするしかない。あー良い天気だなぁ……。
あ、またモンスターが争ってるな?
やる事ないからこいつらの戦いは結構な娯楽かもしれん。
今度は角のある兎とまた熊か。
お、おぉ! 兎、速いな!?
熊の爪をあっさりと避けまくってるわ。
お、角で突撃したぞ! 熊はバランス崩してるなー
って、おい! ちょっと待て、そこで兎避けるんじゃねぇ! 俺に当たるじゃねぇか!
ギャー!? 熊の野郎の爪が俺の幹に直撃したー!!
うげぇ!? やべぇ、ちょっと傷が深い!? 折れかけてねぇか!?
……その割には、かるーい痛みはあるけど、案外痛みは平気だな?
……よし、どうにか出来る訳でもないし、なるようにしかならん! 痛みが殆どないから多分大丈夫!
ともかく今はだ、熊の野郎が気に入らん!
おう、兎よ、そんな熊殺っちまえ! 俺はお前を応援するぞー!
あ、兎の角が熊の額に直撃したよ! 熊は側枝っぽいな?
よし、良くやった、兎よ。褒めてやろう!
……ん? 兎さんや、口を大きく開けてどうする気ですかな?
えっ、何、この世界の兎ってこんな事出来るの?
すっげぇ光景を見た。
熊の頭くらいしかない小さな兎が熊を丸ごと喰いやがったよ。
それも一口で。どういう身体の構造してんの?
熊を飲み込んで膨れた身体でノッシノッシと歩いて行った兎にはびっくりしたよ。
いやー凄いもん見たわー。異世界ってすげぇのな。
一切の常識が通じねぇわー。
にしても熊は二連敗か。熊はこっちじゃ弱いのかね?
さて、面白いもんは見れたけど、熊に傷付けられたのは大丈夫なのかね? よく分からんが。
一週間程経ちました……。
異世界だけど、一週間で良いのだろうか? まぁいいや。
ともかく、現状すごくやっばいんですけど!?
痛みねぇから大丈夫かと思ってたけど、すっげぇ大ピンチじゃん!?
現状を簡潔に言います。
萎れて、力が入らなくて、多分枯れかけてます……。
こんなんで死にたくねぇよ!
気付けば木になってて、身動きとれなくて、モンスター同士の流れ弾で、一週間足らずで死亡とかいくらなんでも勘弁してー!!