掌編小説集9 (401話~450話) 歩く 作者: 蹴沢缶九郎 掲載日:2017/08/12 男が歩いている。その進む先に何か目的があるわけでもなく、男は歩いていた。 その日も、暇を持て余していた男は、そこら辺りに落ちていた適当な木の枝を拾うと、地面に立て、枝が倒れた方角に歩き出した。 歩き始めて十数分程が経ち、木々の繁った合間を抜けると海に出た。波の穏やかな海の景色を見た男は、もう見飽きたといった様子で、「はあ…」と、深く溜め息をついた。 四方の直径がニキロの無人島に漂着した男の時間の潰し方。