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1-7 製作工程

 リオンはノートPCとプリンタを出して、製作のためのチェックシートを作り始めた。

 タイトルは「防具店 竜の甲殻における委託販売製品製作設計書A01」

 よく見ると日本語で書かれている。


 販売店 竜の甲殻


 対象者 熟練中堅冒険者(35~50歳) C~Dランク


 予定販売価格 全身装備 金貨30枚


 原価 金貨10枚


 メイン原材料(購入品) 七色猪革


 狙い


 熟練の中堅冒険者は、年齢的に重量の軽い装備を好む。肩こり。筋肉痛を訴えるようになる者も多く、また古傷による痛み疲労なども加齢と共に重度になる。それらの冒険者は、魔力の操作も熟練しており、七色猪のような特殊魔法素材はピッタリである。かつ原材料の価格から見ても、コストパフォーマンスに優れ、このクラスの冒険者に好まれる。

 

 製作工程


 ①素材加工

 強化魔法により、素材の分子間結合力を高める。魔力による、魔法強化の効果があるのが売りの素材であるので、魔法結合の強化は素材には施さない。


 ②基本デザインの選択

 オーダーメイドではないため、デザインは既製品とし、その分お値打ちであることをセールスポイントとする。

 委託販売による、不特定多数の対象者の中からの購買であるため、デザインタイプは、一般的なタイプの男性用革鎧Bのうち比較的高年齢者に多く好まれるN.O.9を採用。


 ③基本設計 

 メイン素材に七色猪革を使用し、内張りとして超高分子ポリエチレン・タイプB16のトラウマプレートを使用。熱に弱いため魔法による耐熱難燃加工を施す。

 その内張りとして、アラミド繊維・タイプA27を使用。水に弱いため、魔法による防水加工を施す。


 ④表面処理

 革表面に、衝撃を受けると、魔力を通し硬化するオリジナル特殊素材、エブロンCを塗布。ただし、魔力を消費するため、装着者の意思により、硬化を切っておくことが出来るように付与。


 ⑤合成加工

 魔法による素材合成を行う。その際に自動サイズ調整の付与を与えること。



 リオンは設計書をプリントアウトし、N.O.9の設計図もプリントアウトした。更にいつも使っている規定の品質チェックシートも出力しておいた。

 外郭だけでなく、内装用の設計図もある。


 あと必要なのは、全体のデザイン画像だ。リオンの場合はこれが結構重要。前に作ったことのある、ちゃちな製品なら、これ1枚でもOK。

 じっくり眺めてイメージをしっかり叩き込んでから、工程に進んだ。


 まずは素材強化。息を吸って吐くようにさっと自然に済ます。こんな事はもう何百回もやってきたので、一瞬で終る。どのように進めるかの、手順の方が大事なのだ。

 大盾の時は、材料待ちで手順の殆どを終らせてしまってあった。


 残りの材料も魔法により作成し揃えて、表面処理もサクっと終らせる。ここでデザインイメージをもう1度確認。

 合成。素材は光り輝いて、七色猪革の鎧が完成した。明らかに、普通の防具職人とは作成方法が違うが、出来はたいしたものだ。


 オーソドックスな着る人を選ばない汎用なデザイン。その中にもセンスが光るものがある。大きさは標準タイプで、なるべく多くの人が自動サイズ調整の範囲で無理なく使えるように。それでいて、細かな細工は鏤めてある。袖口の装飾・襟元の装飾・胸元のワンポイント。末端の処理もそれ自体が装飾となるように工夫してある。


 作品の出来を細かくチェックしていく。まあ既製品なら、こんなもんだ。魔法で作っている分、そのへんの変な防具職人みたいな不出来はない。続いて機能面もチェック。魔法効果も、オリジナル開発したマジックセンサーによる非破壊検査で、一通りチェック完了した。手は一切抜かない。自分のブランドは自分の力で守るのだ。


 続いて、余り素材を使って自分用の鎧を作る。サイズ調整の付与があるといっても限度がある。小さな物をあまり大きくしたりすると、薄くなり防御効果がその分減る。あまり大きいものも重量過多となる。鎧なんてものは、本来はオーダーメイドが一番いいのだ。


 うん。いい出来だ。なるべく可愛い感じになるように作った。前からデザインは用意してあったのだ。貴族のお嬢様とかが着るタイプの防具である。そんな人がフルプレートを着込むことはまずない。たまに姫騎士様とかいらっしゃるみたいだけど、お目にかかった事は1度もない。

 

 本来お姫様は鎧など着ないのであるが、貴族とは国や領民のために戦うものとして、ご令嬢でも用意するだけはする家もある。今のところ、その手のオーダーはいただいていない。そういうのは実績のある、見た目が煌びやかな物を作る工房へ発注される。でも、いつか手掛けてみたくはある。


 とりあえず、下へいって、鎧姿を見せびらかしてみる。大受けだった。おっさん達は目を細めて見ている。親父さんも大笑いで。


「いや、似合うぞ。その色合いが可愛いじゃないか」


 そう。ピンク色にしてみたのだ。ヘルムも可愛い形にして、可愛い飾りをヒラヒラさせて。なんていうか、七五三仕様だな。記念写真でも撮っておこうか。


 そのまんま、箒に跨って、広場へ。1眼レフを三脚にセットして、カメラのタイマーを仕掛けて。はいチーズ。何回か撮り直して、うまい具合いになった。


 あ、よく考えたら鎧だけで、武器とかないわ。今度可愛い装飾の剣でも作ってみようかと考えて。


 作者の1作目です。よろしかったら、どうぞ。

「おっさんがオートキャンプしてたら、何故か異世界でキャンプする羽目になった」

 http://ncode.syosetu.com/n6339do/


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