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1-4 お仕事の時間

 自立2日目、今日は冒険者ギルドへ。買い取り依頼を出しておいたものが入ったか見にいくのだ。

 

 大蟷螂の寄生虫、巨大ハリガネムシ。サラマンダーの耐火皮膚。鉄の甲殻を持つアーマーオウムガイの殻。


 彼女が自力で作れない素材を発注しているのだ。知らせももらえるが、遅くなるので定期的に見に行く事にしている。今日は連絡先を 「冒険者の家」に変えてもらう用件もある。


 冒険者ギルドは近い。1分も歩けば着く。こっちは石造りの2階建て。商業ギルドが立派な外観を持っているのに比べ、こちらはなんか頑丈ならいいんだというような造り。頼りになるというような、イメージの演出もあるのかもしれない。


 そして、子供なのでたまに絡まれる事がある。そういう時はお仕置き。もうギルド職員には見慣れた光景であり、常駐している冒険者にとっても同様だ。ここへは9歳くらいから出入りしているが、それ以来の風物詩だ。


 今日も、王都へ張り切ってやってきた、どっかの村出身の冒険者がしつこく絡んできていた。目立つ美少女なので、成人したての田舎のあんちゃんなんかが絡んでくるのである。


 リオンはその年にしては、背は高い。胸もやや大きめで13~14歳、あるいは人によっては15歳くらいに見えないこともない。最近は、そのせいで絡まれることもあるが、結果はご覧のとおりである。


「畜生、降ろせ~」

 ギルドの建物は1階部分が高さ4メートルほどあるが、奴は高さ3メートルほどのところを空中遊泳していた。


 後ろから、リオンの肩を乱暴に掴み、俺のパーティへ入れとしつこく迫ったのだ。

 もちろん無視して、要件の片付けに入っている。ちょっと空の旅にはご招待しておいたが。


 カウンターの中の受け付け嬢セシルは、「今月はこれで2回目だったかしらね」とか言いながらてきぱきと仕事を片付けている。

 頼んでおいた素材が入荷したのだ。取引用に持っていたギルド口座から引き落としてもらって決済した。


 引き続き、冒険者登録するかどうか聞かれた。12歳から登録出来るのだ。

 これには、ちょっと迷った。知り合いの冒険者から聞いて、色んな話は知っている。メリット・デメリットはあるが、まあ自立したのだし、持っていてもいいかな。

 組織に所属しておくのも悪くは無い。子供が一人ぼっちなのだから、後ろ盾はあってもいい。


「わかりました。では登録します」


「そう。じゃあ、これに記入してね」

 

 渡された申し込み用紙にてきぱきと記入していき、冒険者ライセンスの製作を依頼した。所属する冒険者ギルドの名前とナンバーが刻まれた階級別のプレートを渡されるのだ。


 リオンはFランク。最初だから青銅のプレート、ブロンズ。

 2番目が鋳鉄のプレート、アイアン。次は輝く鋼のプレート、スティール。次が白銅のプレート、クーパ。一般的にはここまでだろう。

 宿のおじさんも、このクーパ・プレート。Cランクの冒険者である。その上のBランクのシルバープレートと区別をつけるため、ニッケルの含有率は低く抑えられていて、違いは一目でわかる。


 ここまでは1律で銀貨1枚。日本円にして約1000円。支払って伸びをしていると、

「頼む~、もう降ろしてくれ。いや、ください。お願いします~」

 か細い、少年の半泣き声が聞こえてきた。


「まだ手続きが終わってないから駄目。これに懲りたら女の子に乱暴するのはよすのね」

 と、にべもない。


「おい、坊主。かっこ悪いなあ。そんなんで冒険者がやっていけるのかあ」

 見ていた冒険者達から、ヤジが飛ぶ。晒し者もいいとこである。


「はい。無くさないでね。再発行は、もう少し高くなるわよ。ランクが高いものほど再発行価格がどんどん上がるわね。もしどこかで、このプレートを見つけたら回収してきてね。無理はしなくてもいいけど」


 素材も受け取ったので、今日はもう用はない。半べそかいてるお兄ちゃんは降ろしてやった。本気で泣いていた。


 次は素材から物品の作成である。宿へ戻り、素材を並べて魔法のイメージを作り出す。今から作るのは、サラマンダーの盾。耐火性能を持つ防具だ。

 3つの素材と、後それ以外の素材は魔法で作り出す。

 ハッキリとしたイメージがあれば、自由にそれを好きなだけ作る事が出来る。彼女の魔法の大きな特徴は「魔力限界に制限されない魔法の行使」にある。


 この世界の魔法使いに、そんな事を言ったら「そんな馬鹿な事があるか」と、激昂するだろう。

 だがリオンには使える。


 PCで作った設計図通りに、イメージをハッキリと持つ。鋼鉄作りで分子が魔法強化された結合を持つオウムガイの頑強さ。サラマンダー素材の驚異的な耐火能力。ハリガネムシの強く弾力があり刃物や牙を弾く質感。これらをあわせて最高の大盾を作る。


 3つの素材が光を帯び、加工されていく。魔物の素材は魔法と相性がいい。作られた物は持ち主の魔力を流しこめば、その本領を発揮する。

 魔物素材は、そのような高性能特殊素材であるが、それ故彼女には作り出す事が出来ない。その特殊な特徴以外にも作る事が出来ない理由がある。


 何故なら、魔物素材なんてものが地球には存在していなかったからだ。


 作者の1作目です。よろしかったら、どうぞ。

「おっさんがオートキャンプしてたら、何故か異世界でキャンプする羽目になった」

 http://ncode.syosetu.com/n6339do/


 本日は都合で7時11時18時を予定しております。


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