表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/41

4-3 商会設立を目指す者として、信用というものについて考察してみた

 そーっと、窓から孤児院を覗き込むリオン。

 そんな様子を見てロザンナは不思議そうに、

「どうなさいました? 姫様」

「しーっ。シスター・グランデに、見つかっちゃうじゃないの」


「私がどうかしましたか? リオン」

「うわーー」

 背伸びして捕まっていた、窓から落ちて尻餅をつくリオン。


「久しぶりですね、リオン。何か粗相はしていませんか?」

 その若干心配そうに、姫様を見ているシスターを見て、この暴れん坊の姫様が今まで何をやってきたのか、なんとなく想像がつくロザンナであった。


「あははは。御久しぶりです。シスター・グランデ」

「別に悪い事をやってるんじゃなかったら、叱りはしませんよ。あなたはもう、立派に独り立ちしてるんですから。どちらかというと、マークやジョニーの方が心配です。冒険者は危険な職業ですから」


 い、言えない。今、冒険者として、大暴れしていたなんて! マークやジョニーとも、やりたい放題にしてたし。久しぶりの孤児院でも、やっぱり脂汗が滲むリオンであった。


「きょ、今日は少しご報告がありまして。その、良ければ皆さんお集まりのところで」


 リオンのただならぬ様子に、少し、いや、かなり不審そうな顔を向けるシスター。だが、彼女はもう自分の管轄でない事を思い出し、溜めていた息を吐いてから言った。

「そう。じゃあ、みんな集めるわね。その前にもう1回だけ訊くわ。何もやってないのでしょうね?」


 ぶんぶんと、思いっきり頷くリオン。

 シスターの後姿を眺めつつ、リオンの真横に立ち、ロザンナは言った。

「姫様、ぜっんぜん信用無いのですね」 

「言わないでっ!」


 何か催しとか、集まりのある時にやる多目的ホールというか、単なる広間に孤児もシスターも集まって、わいわいやっていた。

「あ、リオンだー!」

「リオーン」

「リオンちゃーん」

 小さな子供たちから、大歓声が上がった。


「姫様ってば、小さな子供には人気あるんですねー。シスター達には人気どころか全然信用すら無いのに」

「お黙り、ロザンナ」


 もう、すっかり打ち解けたので、お互いこんな口の利き方になっていた。もう肩肘張ってもしょうがない。当分の間、姫あるいは王妃と、侍女の関係は続くのである。


「みんな集めましたよ。で、何のお話なんです?」

 相変わらず、不信そうな目つきで訊くシスター・グランデ。


 リオンはぐいぐいっと、肘でロザンナを突く。

 ロザンナはしょうがないなあ、という顔で。

「ああ、皆様お初にお目にかかります。私ロザンナと申しまして、姫様の侍女を勤めさせていただく事になりました。宜しくお願いいたします」


「姫様?」

「侍女?」

「?」

「?」

「ロザンナさん、それは一体なんのお話でしょうか?」

 シスター・グランデも面食らって訊いた。


「いやですわ。この国の王太子クアドリー殿下の側室になられた、第5王太子妃リオン殿下の侍女に、決まっているじゃありませんか」

 さらっと言った。


 全員、きょとんっとして、よく理解できなかったようだった。


「第5王太子妃?」

「リオン殿下?」

「王太子クアドリー殿下の側室?」


「……」

 シスター・グランデの顔がどんどん険しくなっていって、ギギギギっという感じで首が回り、リオンに向き直った。


「リオン……今度はあなた、一体何をやらかしたのです?」

 全く信用されていない。


 うんうんと頷くロザンナであったが、リオンは、

(ええーい、このへっぽこ侍女。へたな説明するんじゃないわよ!)

 

「ええーと、別に変な事はしていませんよ。王都で職人してたら、都合で冒険者になったんです。で、ダンジョンに潜ってたら、クアドリー殿下が暗殺されかかってたんで、エンシェント・ドラゴンをぶっとばして助けました。そうしたら、何故かこんな事になってしまって」


 シスター・グランデはロザンナの方を見たが、素晴らしい笑顔で頷かれたので、眩暈を抑えるかの如く顔に手を当てた。


「な、なんという事……この国の未来は大丈夫かしら……」


 ロザンナはもう体をくの字にまげて腹を押さえている。


「~~~~」

 もうっ。だから、来るのいやだったのよ~。いずれ、わかる事だから、諦めて来たんだけど。やっぱり、こうなったのか……

 がっくり、膝を付くリオンだった。


 見れば、他のシスター達も、眉の間を手で揉んでたり、頭抱えてしゃがみこんでいたり、腕組みして凄く深刻そうな顔してたりで。


 子供達は、ロザンナに、

「リオンちゃん、お姫様になるのー」

「そうですよー、直に御后様にもなりますねー」

 お気楽な侍女がそうのたまった。


「「「すごーい」」」

 うん。君達、気楽でいいよね。こっちは、これから多分戦争。基本、武力行使が許されないから、手は考えないとね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ