表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/41

4-1 再びフリーに

 ベルーナという女は結局、見つからなかった。北の間者であったのだろうという結論になった。しかし彼女は、王家と親しい侯爵家から紹介された、侯爵家縁の者としての登城だった。

 解せないといえば、あまりにも解せない話だった。不思議な事に侯爵家の人間は当主も含めて、その女の事をあまり覚えておらず、騎士団の人間を青ざめさせた。


 一応クアドリー殿下に、毒とか呪いのようなものが使われていないか、厳しく検査される事となった。


 リオンたちはその間に、戦利品の分配を行うことになった。

 冒険者ギルドに集まると、先に自分達の分の蜘蛛を寄り分けた。

 そして、蜂や蜘蛛の素材の査定を依頼した。


「やれやれ、軽いダンジョン・アタックのつもりだったんだが。とんでもない目にあったものだ」

 お茶を一口啜って、ジョンソンがぼやく。


「まあ無事に帰れて、こうして一杯やれるんじゃ。めでたい」

 幸せそうに酒のコップを握り締めて、ドワーフが答える。


「リオンちゃん、本当に王城に行くのね」

 リオンの髪をいじりながら、ジェシーが言う。


「うーん、まだ決まったわけじゃないんじゃ。王子様が言ってるだけだからね。だいぶ反対されるんじゃないの?」

 ジュースを飲みながら、他人ごとのように少女は言った。傍らには子犬状態のガルちゃんと、手乗りドラゴンが、ミルクをいただいていた。


 そうこうするうちに、査定が終わり、分配をもらうことになった。1人頭金貨40枚。ただし、リオンはガルちゃんにも仕事させたので、80枚もらえた。

 それから、今あるめぼしい素材を聞いてみたが、イメージが湧かない。1度カイルさんの店に行ってみることにした。


 とりあえず、チームジョンソンからは、はずれることになった。さすがに、次期国王の側室候補を置いておくわけにはいかないと。ジェシーさんには特に残念がられた。食事や住居が、贅沢過ぎるダンジョン・アタックだったものね。


「さて、それじゃあ行きましょうか」

 リオンは、傍らにいる女の人に声をかけた。この人はロザンナさんといって、王子からつけられた人だ。彼的には、リオンはすでに王太子妃の1人であり、王城の外を単独でうろうろさせるわけにはいかないと。薄い色合いの金髪の美人さんであった。目は印象的なブルー。貴族なだけに品がある。と、今の段階では思っていた。


 子犬を抱え、頭の上に小さなドラゴンを乗せて、身分の高そうな女性を従えるという、割と目立つスタイルであった。道中、結構人目を集めていた。やはり、ドラゴンは珍しいのである。

  竜の甲殻に着くと、カイルさんがお客さんと話をしていた。


「こんにちは~」

「おう、リオンちゃんか。いらっしゃ……」

 何か、いつもと違う雰囲気なので、カイルさんも珍妙な顔付きで見ている。話をしていたのは、顔見知りの冒険者だった。


「やあ、リオン。その頭の上のドラゴンはどうしたんだい? 卵でも拾ったのか?」


「ああ、いえ、これは。ちょっと訳ありでして。チャールズさんは何かお求めですか?」

 彼はゴールド・プレート、即ちAランクの冒険者だった。以前も防具を買ってもらったことがある。


「うん。それで今相談に来たとこなんだが。今の奴を修理に出すか、新調するか。君が冒険者になったという話を聞いたので、どうするかと思ってな」


「ちょっと見せていただけますか?」

 確かに傷んでいる。使えない事もないが、メンテをしても、限界は来る。命を守る物だから、出来ればここは新しい防具に投資しておくべきではある。


「メンテすれば、このまま使えないこともないですが、へたってきているのも確か。余裕があるなら、出来れば新調される事を、お勧めしますね」

 彼女なりに、適切なアドバイズを送った。Aランクの冒険者なら、通常金銭的には、かなり余裕があるはずなので。


「やはり、そう思うかい? 出来れば君に仕立ててもらいたかったんだ。頼めるかな」

 思案顔で、親指と人差し指の間を、をあごに宛がうポーズで。


「もちろんですわ。ではご要望をお伺いします」


「あ、あの」

 ロザンナさんが遠慮がちに声をかけてきた。


「なあに?」


 少し、つっかえ気味に、

「お、王太子妃殿下ともあろうお方が、自ら防具を御作りになられるのですか? その、なんか、変です」


 うむ。確かに変であろう、でもまだ本決まりになったわけでもないし、王子は好きにしていいと言ったのだ。約束通り御付きの人も連れてきている。


「王太子妃殿下? 何の話だい?」

 カイルさんが、不思議そうに問いただす。


「あー、私今度、クアドリー王太子殿下の側室になる事に決まりまして。第5王太子妃だそうです。まだ本決まりじゃないですけど、もう御付きの方がついてきてます」


 2人共目を丸くした。

「あ、それで、連絡先が王城に変わるかもしれませんので。今はまだ、『冒険者の宿』

の方ですけど。あ、まだ宿に帰ってないや」


 チャールズは面白そうな顔をして、

「へえ、それはそれは。面白いな。王太子妃殿下作の防具か。家宝にするかな」


「それまでは、さすがに持たないんじゃ。あ、カイルさん、他に何かオーダー入ってませんか。ドラゴンメイルの他に」

 ドラゴンメイルと聞いて、ばたばた逃げ出すエンシェントの尻尾を掴み、じゃらす。


「そうだね。軽量で強力な防具を作れないかと、相談をもらっているんだが。革鎧とかじゃなくて、金属とかでね。子供や女性のような、力の無い人が着れて、高い防御力を発揮するようなものだ。ちょっと金払いはいいお客さんなんで、考えてみてもいいのではないかと」

 カイルさんは眼鏡をはずして、軽く拭きながら、会話を進めた。


「うーん、軽量ですか。軽量化の魔法の付与は出来ますが……」

 その手の付与も劣化したり、激しい攻撃を受けると付与が吹き飛んだりする事もある。自分の武器防具には,いつでもつけなおせるので、好きに使っているが。


「また、考えておきます」

 そう言うと、カイルさんも頷いた。


「で、チャールズさんの防具についてですが……」

 打ち合わせは続く。御付きの人を連れて。


すいません、8分遅刻です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ