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3-10 ダンジョンへ

 一行は、ダンジョンに向かった。ここは、地下100階ほどの階層が連なる。広さはさほどでもない。長めの缶コーヒーのような形と思えばいいだろう。

 今回は新人も多いため、中間層始めのあたりの地下40階までを攻略目標とする。浅いと思うかもしれないが、アイテムボックス持ちがいるならば、意外と稼げる層だ。


 1日平均8層いくとして、往復の時間を考慮しても。往復10日以上かかる。2週間ほどを予定している。


 リオンはドキドキ感が止まらない。いよいよ、冒険者としての第1歩を踏み出すのだ。目指せオリハルコン! 既に妄想の中ではオリハルコンプレートをぶらさげている。実際に現物を拝んだことがあるので、妄想も捗る。


 最初の階層は殆ど、何も現れない。狩りつくされて、見かけないのだ。魔物も次々ドロップしてくるのだが、初心者階層で冒険者の方が多く、供給が全く追いつかない。


 ぐいぐい進む。こういうところで、進捗を稼ぐのだ。MAPに従い、どんどん進む。とうとう魔物に出会わずに、15分ほどで地下2階へ突入である。


「あの、ガルちゃんがいるから、魔物が出てこないんじゃないですよね」

 ちょっと心配になったのか、聞いてみるリオン。


「はは。そんな事はないよ。ダンジョン以外なら、超獣がいれば寄ってこないかもだけど。今はガルちゃんも幼体化してるしね。ダンジョンの魔物は、ダンジョンが生み出しているもので、外にいる魔物とは少し性質が違う」

 ジョンソンは笑って答える。


「それならいいんですが」

 件のガルちゃんは大人しくリオンに抱っこされているのだが。探し物を見つけるまでは極力大人しく、猫、いや犬を被っているつもりのようだ。


 地下2階を進んでいると、ゴブリンが出た。1匹だけ。あたりを沈黙が支配する。


「グゲ・・」

 奴も困っているようだ。


 無視して進むことにしたようだ。なんていうか、倒す労力がもったいない。ダンジョン突入30分で既に地下3階へ。リオンのテンションは駄々下がりである。足取りも重くなった。


「ガルちゃん、ちょっとお願い…… 」

 ガルちゃんの幼体化を解き、巨大化させた。

 やる気の無いご主人様のせいで、ガルちゃんの犬被りは幾らも持たなかった。


「な、なんだあ?」

「ガ、ガルムだ!」

 ベックチームから驚きの声が。

「どうしたっ! 何か出たのか?」

 ジョンソンから、鋭い詰問の声が。


「うーうん。魔物があまりにも出ないものだから、何だか疲れちゃって」

 全員が苦笑する。ワンコも笑っていた。凄い迫力の笑顔だが。

 大きなワンコの上に、やや怠け者系な動物のように、両手両足をだらりと垂らして乗っかった、ぐったりした表情を横に向けるリオンがいた。


「張り切りすぎなんだよ、お前は。魔物くらい、すぐに出てくるって!」

「本当にガルムなんだなあ…… 」

 2人組からも声がかかる。


 やれやれといった表情のジョンソン。可笑しさを隠し切れないベック。

「活きのいい新人が入ったもんだな、ジョンソン」


 3階を半分くらい進んだあたりで、蜂が襲来した。その数50。ビッグホーネットだ。

 斥候からの報告に、

「毒針攻撃に気をつけろ! 針を飛ばしてくるぞ」

 ベックが檄を飛ばす。


 怠け者の右手がすーっと上がって、軽く魔法を放った。全ての蜂がバラバラになって、リオンの方に吸い込まれるように集まった。


 リオンはむくっと起き上がると、もはや素材の集まりと化した渦を巻く魔物の残骸を抜き取りでチェックした。


 素晴らしい笑顔で、

「なかなかいい状態の素材ですね。武器で切ったり突いたりすると、蜂の素材は状態があまりよくないですから。切らない系統の風魔法が一番です」


 その現金さに全員呆れ返ったが、まあ毒針の洗礼を受けるよりはいいので、良しとする。怠け者は犬から下りて、自分の足で歩き出した。


 このへんから、冒険者もまばらになってくる。地下2階までの過密さの原因の一つが、この蜂だ。何しろでかい。40cmくらいあって、毒針をかなり離れた場所から撃ち込んでくる。至近距離からまともに頭とかに食らうと、毒以前に傷で即死する。

 いきなり飛んできて、目の前でホバーリングして撃ち込んできたりもする。


 つわものなら、この静止した瞬間に仕留めるのだが。

 弱い低ランク冒険者だと、傷を受けたり、毒にやられたりを回復する手段が不足する。毒消しのポイズン・ポーションはヒール・ポーションの数倍の値段だ。駆け出しパーティはすぐに尽きる。回復魔法の使い手も少ないので低ランクパーティには当然いない。


 そして、コストが嵩む割には買取が安いという、辛い魔物だ。また纏めて出てくるのも一つの特徴だ。にも関わらず、運が悪いと次々と出くわすのだ。


 泣きも入ろうかというものだ。以前200匹300匹という大群に襲われて、たまたま高ランクパーティに救われたなんてFランクもいた。普通なら死んでるケースである。

 風魔法は有効だが、なかなか有力な魔法使いが加入してくれる幸運は無い。ここは先に進める、パーティランクを選別する関所でもある。


 今回のパーティは、リオンを含め、回復魔法使いが13人中3人という贅沢さ。ポーション類も豊富だ。攻撃魔法も、得意かどうか別にすれば、6人もいる。チーム・ジョンソンは戦士とドワーフを除けば、全員攻撃魔法を使う。


 一行はなんなく、地下3階を抜けた。合計で蜂の襲撃を5回受けたが、なんなく退けた。

 しまいにリオンが飽きてしまって、ガルちゃんにお任せだった。

「えー。また蜂~。飽きたなあ、後はガルちゃんお願い!」


 しょうがないなという顔で、超獣は風魔法を使った。咆哮ではなく、器用に風魔法を使って。3本足で立って、右前足でちょいちょいする仕草がとても可愛い。図体はでかいのだが。

 回収した蜂素材は350匹を越えた。

 一行は地下4階へと進んでいった。


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