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3-2 チ-ム・ジョンソン

 しばらく、食事をしながら歓談をしていた。

「簡単な自己紹介から行こうか。俺はジョンソン。魔法剣士だ。武器に魔法を乗せたり、付与したりできる。他人の武器にも付与出来るので、中心から色々見て指揮を執っている」

 次にジェシーを見て、顎をしゃくる。


「私はジェシー。魔法使いで完全に後衛ね。今度からあなたと組む形ね。ジョンソンが前に出る時は全体を見る役目を受け持つわ。回復・防御・結界・メンバーや魔物への付与などがメインよ。多少の魔法攻撃も担当するわね。後衛だから弓を使うわ。次はロイスよ」

 飲んだくれてる、アンソニーをちらと見ながら言った。


「ぼくはロイス。シーフだ。探査・気配遮断・罠感知解除などの魔法・スキルがメインかな。斥候・奇襲なんかを担当するよ。集団戦闘時はジェシーの護衛がメインだ。ジョンソンがいてくれれば、遊撃に出ることもあるけど。多少の攻撃魔法は使えるよ。じゃブロンソン、後は宜しく」

 お茶を飲みながら、ロイスは言った。


「俺はブロンソンだ。戦士、盾役だ。攻撃魔法使いの加入は心強い。宜しく頼む。あっちの飲んだ暮れのドワーフはアタッカー。ハルバートと大槌を使う。あんなんだが、宜しくしてやってくれ」

 そう言って、エールをぐいっと、奥へ流し込む。


「大きなお世話じゃい。おう、お嬢ちゃん、宜しくな」

 グラスを振り振り、ドワーフが叫んだ。


「皆さん、こんにちは。リオンです。魔法使いですが、職人をしていましたので、色々な付与も使います。魔法全般使えますが、そのへんの役割はまた相談で。あとアイテムボックスがありますので、物運びはお任せください」


「ほう。それは心強い。丁度いい、あさってから迷宮つまりダンジョンに入るんじゃ。いい荷物持ちが来てよかったのう、ジョンソン」

 アンソニーが嬉しそうに言った。


 荷物持ち。普通なら、ムカっとする表現だが、ここでは違うな。リオンは大体の話が飲み込めた。きっと、今まで多くの物を置いてきてしまっているのだろう。お目当ての物を探しに行くのに、多くの魔物を倒すが、全ては持って帰れない。


 というより、一番貴重なものを選んでしか持ってこられない。それくらいアイテムボックスは貴重な能力なのだ。いざとなったら、これを手土産に大手商会にとさえ思っていた。一生荷運び作業だけれど。


 その他でこいつが有用なのが軍。そして、一生荷運び人夫。

 荷物もちになると、どこにいっても詰んでしまうな。それなりの生活は比較的安全に保障されるが、商会設立には程遠い世界だ。


 今後の予定について。

 明日は準備の合間を縫って、リオンの装備のチェックをしてくれる。今回はほぼ見学。荷物持ちに徹してもらう。危なく無さそうなところで。多少の実習はあってもいいかなと。

 次回は今回見学したことを参考に、後衛として参加。無理は絶対にしない事。


 まあ、怪我の無いように。君に何かあったら、おやっさんに殺されるよ、とジョンソンが。


 明日は朝方、装備を持って、この宿へ来いと。今日の午後はジェシーについて、色々教えてもらいなさいと。


「ジェシーさん、宜しくお願いします。女の人がいてくれると心強いです。ちなみにダンジョンで、おトイレはどうしていますか」


 なかなか直球の質問に、ジェシーは笑ってしまった。

「ま、まあ、見えないような隅っこかしらね。でも、いざとなったら構ってはいられないわ。用足ししてる時に下からスライムに襲われた子もいるわね」


「!」

 完全防備のトイレを作って、アイテムボックスにしまっておこうとリオンは決意した。おっきい方もあるんだし。


 後、お風呂について聞いてみる。

「ダンジョンにいる間は水浴びだって無理よ。浄化の魔法は使えるわよね?」


 なんとか、お風呂は用意しよう。今も欲しいのだし。今晩の工作は、この2点に決まった。


「あと、1日どれくらい歩きますか。身体強化の魔法は使えますが」


「そうね。戦闘しながらだから、それなりだけれど。まあ、サクサク倒せるあたりなら結構歩くわね」


 この世界、普通に街から街へ歩くようなパターンなら、徒歩で1日40キロ程度。

 ベテランのソロ冒険者なら、身体強化と相まって、街道なら1日100キロを移動するつわものもいる。まあ、そこまでの移動は通常ならば馬を使う。馬が買えないのなら、歩くしかない。馬車がいってくれる場所ばかりではない。ここにJRとかはないのだ。


 この世界の子であるリオンにも、それくらいは歩けるけれども、大人しかも冒険者と同じに歩くとなると厳しい。身体強化は得意なので、実際にはなんとかなるのだが、基本は12歳の女の子なのである。


 アイテムボックス持ちなので、戦闘装備以外は身につけなくてもいい。だが、先の地形がどうなっているかもよくわからないダンジョンだ。もっと身軽な感じで防御力の高い防具とかあれば。


「あと、中は暗いのですか?」


「そのへんは色々。あれは不思議な場所でね。迷宮自体が一種の魔物のようなもの。地下迷宮だったり、塔だったり、一見迷宮には見えない場所だったり。

 明るいお日様の下の塔のはずなのに、真っ暗だったり。地下のはずなのに、お日様のようなものが煌々と照らしていたり。光る苔が照らしてくれるゾーンもあるわね。

 まあ、真っ暗なのを覚悟しておけば間違いないわ。魔法が活躍するの」


 ふーん。照明系の魔道具も欲しい。腕組みをしながら、小首を傾げて少し思案するリオン。本人は大真面目なのだが、容姿が容姿なだけに可愛らしいとしか表現のしようがない。ジェシーも微笑んで見ている。


 とにもかくも、一旦商会への道は休止し、冒険者リオンの物語が始まることとあいなった。


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