2-2 商会を作りたい
リオンには夢があった。そのうちの一つが自分の商会を作る事だ。
まだまだ夢の夢だが、一応夢の叶え方だけは聞いておこうと思い、商業ギルドへ。
商会設立について、商業ギルドで確認するも、半端でない。
まず支度金。ギルドに委託金を預けておかないと、いけない。その額はクラスによって異なるが、かなりの額になるらしい。セシリオの店で感じたような冷や汗が。また10年早いのか。
屋号の登録料。年会費。正会員となるためには、大商会またはそれなりの規模の貴族の後ろ盾が必要。かなり無理ゲーである。
いずれも、今のリオンには厳しい。お金貯めないと。
先日の買い物は反省。衣食には困っていないくせに贅沢を。まあ、色んなお洋服やワンコがついてきたので、結果オーライという事で。
とりあえずは、お金儲け。カイルさんのお店に行ったが、まだ何も売れてなかった。これが現実だ。
でも注文1個もらった。依頼主はなんとセシリオさんだ。人づてに、リオンの事を聞いたらしい。さすがはオリハルコンだ。あんなことがあったので、防具を新調したいと。とにかく緊急時に対応できる高性能なものを。出来ればアイテムボックスから取り出して、一瞬のうちに服の上から着込めるようなものを。金に糸目はつけないと。
お貴族様のように素材に制約をつけないのなら。うーむ。
冒険者ギルドに素材の在庫を確認にいく。
いつもよくみてくれるロンド氏は、
「ふーん、そういう内容か。そうなると、今ある素材の中では・・これなんかどうだろう。ミスリルドラゴンの甲殻。小型のものが、たまたま討伐されてね。ただのミスリルと違い、魔力により超強化される素材だ。オリハルコンの冒険者なら、かなり有効だろう」
問題は素材の値段だ。このクラスだと手持ちを軽く超えてしまうかもしれない。応相談になる。出来れば、要所はオリハルコンでカバーしたいところだ。そうなると値段もかなり張る。
ロンド氏にオリハルコンの在庫を確認する。あるけれども、少量。かなり高騰しているため、値が張ると。全部込みで金貨500枚。
リオンは少し考え込み、決めた。
「委託金を担保にして素材の取り置きは可能ですか? 1度クライアントに相談して、可能なら手付けをいただいてきます」
「ああ、そういう事ならば受けよう。取り置き期間は1週間」
「わかりました。ありがとうございます」
リオンは一旦宿に帰ると、以前セシリオの店でもらった服に着替え、店へと向かった。足回りはハイヒールではなく、柔らかい素材のお洒落なショートブーツ。見栄えがすればいいので、足回りは機能優先だ。何せ行くところが行くところだけに、服装には気を使いたい。
「これは、リオン様。もしかして私の出したオーダーの件ですか?」
「はい。あ、お客で来たのでは無いので、様付けはなしで。むしろ、あなたがお客様です」
それでは店の奥へどうぞと、オーナー自ら案内してくれた。
店員の方が、お茶を運んでくれた。いい香りがする。さすがはフィリップデザインの店だ。この間お店を守った活躍があったので、店員さんの笑顔も暖かい。
素敵な絵付きおカップも素晴らしい出来だ。この世界にも、こんな凄い商品があるのか。貧乏な自分の周りに無かっただけなんだなと。
作成する防具の概要を説明して、
「とりあえず、この内容ですと、全部で金貨2000枚で手付金として素材の代金で金貨500枚が必要になります」
「ふうむ。なかなか面白い。滅多に手に入らない素材だ。オリハルコンも現在不足気味だし。わかった、企画自体も面白いし、逃すには惜しい逸品だ。その値段でやってくれ。金は今用意しよう」
言葉遣いも改め、きちんと職人として扱ってくれた。逆に嬉しい。
さっと、白金貨5枚を渡してくれる。初めて見る代物だが、鑑定があるので本物だとすぐわかる。
「ありがとうございました」
礼を言って、セシリオの店をお暇する。もっといたかったけれど。
冒険者ギルドへ戻って、素材を確保した。
「さすがだな。セシリオは昔冒険者としても稼いだ方だが、今は商売で凄まじく稼いでいるから」
と感心するロンド氏。
ロンド氏の話をしたら、セシリオが「あいつに宜しく言っておいてね」と。
商業ギルドへ立ち寄った。
大商会との取引が出来ないか聞いてみるも、それは厳しいと。
一応紹介してもらって、ちょっと話したが、お前のような子供では話にならないと鼻で笑われてしまった。
そこへ現れた、たいしたことのない工房がさらっと契約を取り、ふんっと鼻にかける。
がっくり。思わず外で地団駄を踏む事になるリオンであった。
作者の1作目です。よろしかったら、どうぞ。
「おっさんがオートキャンプしてたら、何故か異世界でキャンプする羽目になった」
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