第一話~駆け足で幼少期&現状考察~
パラレルワールドだったからか、ルイ=オーギュストの外見は変わった。
父からの錐のように研ぎ澄まされた目、筋肉質の身体、祖父ルイ15世からの美貌。
彼は2歳の時にはなめらかにフランス語を話した。
父親であるルイ・フェルディナンは長子であるブルゴーニュ公ルイ・ジョゼフを国王としてのあらゆる資質を持つ子として、偏愛する一方だったが、
ルイ=オーギュストが博識だとわかるとかなりの知識を彼に教えた。
ベリー公の正規の教育は早く開始することになった。
ルイ17世はブルゴーニュ公だ…
と誰もが思っていたある日、ブルゴーニュ公は紙製の馬から転落した。
当たり所が悪かったらしく、そのうち足を引きずり始めた。
腫れ物ができると、人々も心配するようになった。
1760年(9歳ごろ)4月、外科医師団は腿の傷口を大きく切開して切除することを決定した。
王家の子弟ブルゴーニュはほとんど叫び声もあげずに、この拷問に耐えた。
しかし不幸なことに、殺菌消毒されていない器具を用いたこの手術は、彼の苦痛を悪化させた。
…7月には車いすで生活することを余儀なくされ、ついには肺結核と骨結核を患い、咳の発作と嘔吐が続いた…
そして、ブルゴーニュ公ルイ・ジョゼフは結核のため、1761年3月21日午前2時、夭折した。
長男が亡くなると、両親の愛情はルイ=オーギュストをすっとばして
四男プロヴァンス伯ルイ・スタニスラスと、五男アルトワ伯シャルル・フィリップに向けられた。
しかし、ルイ=オーギュストはそれをバネにして強い意志を築こうとしていた…
1762年…ルイ=オーギュストは考えていた。
(今こそフランスの問題点を手当たりしだい考えてみよう…没入!)
―――――私は天才ではないし、体力も人並みだが、今の時点では誰も知ることの出来ぬ知識を持っている。
―――――この知識だけが絶望的な戦いを導く唯一の道標だ。
―――――現状の危機を整理しよう。
問題1.要人が馬鹿
└→王になるまでガマン
問題2.実権・軍を握るのが貴族
└→各個分断して撃破し、王権強化と近衛軍を作る?
問題3.財政危機
└→聖職者・貴族から税を取り立てる
問題4.知識階級の扇動
└→改革を進めれば沈静化するはず
問題5.飢餓により爆発寸前の労働者と農民
└→ジャガイモ等を栽培する
問題6.知識階級に現実を認識させる術がない
└→改革を進めれば沈静化するはず
問題7.時代錯誤のアンシャン・レジーム
└→新たな社会秩序を定める
「解決のためには…」
1765年。
ルイ=オーギュストはそれまで「ルイ17世候補」として勉学に励むことにした。
―――――よく調べたら、この世界ではインドの植民地ガ健在みたいだ。
史実より補正。
しかし民衆パワーは強いぞ。