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幼稚園でのユーリ

幼稚園に入ったユーリ。


控えめな性格だったけれど、すぐにお友達ができました。


しんご君、まきちゃん、れお君、とわちゃん。

みんなで遊ぶのが大好きです。


でも担任の先生は気付いていました。


ユーリは、まきちゃんとれお君のことは呼ぶけれど

しんご君ととわちゃんの名前をあまり呼びません。


注意して見ていると、同じクラスのあいちゃんが言いました。


「あのね先生、ユーリちゃんね、しんご君のこと、しししししんご君って言うんだよー。」



また、ゆうへい君が言いました。


「ユーリちゃん、とわちゃんって言う時、お口ぱくぱくして、お魚みたい」



どもってしまう幼稚園児は少なくありません。

しかしどもっていることを意識させることで、悪化することもあります。



ある日、ユーリが絵本を読んで遊んでいた時のこと。


かちかち山、という言葉がうまく言えず、かかかかかか、となってしまいました。


近くにいたあいちゃんやゆうへい君達がけらけら笑い真似を始めてしまったので、ユーリは恥ずかしくなって泣き出してしまいました。



先生は、少しお話しすることにしました。



「みんな、得意なことと不得意なこと、あるよね。


あいちゃんはちょうちょ結びが苦手だけどお絵かきはとっても上手だよね。


ゆうへい君はお絵かき苦手だけどお歌がとってもうまいよね。


そんな風にね、みーんな、上手にできることと、そうでないことがあるの。


粘土のとっても上手なユーリちゃんも苦手なものがあるんだよ。全然、おかしなことじゃないんだよ。


あいちゃんもゆうへい君も、苦手なことを頑張ってるのに笑われたりからかわれたりしたら、いやだよね。でも苦手で困ってるときに助けてもらったら嬉しいよね。


だから、ユーリちゃんが困ってたら、助けてあげよう?」




「うん!わかった!ごめんね、ユーリちゃん」


「ユーリちゃん、あいが代わりに、絵本読んであげるね!」



その日から、ぽつぽつと、ユーリに関する他の子の、「先生あのね」が増えていきました。


当事者ユーリは元気いっぱい。


「ししし、しんご君、まきちゃん、あ、あそぼ!」

「・・・・・・・・・・・・・・と、わちゃん、これ、あげる!」

「むかし、・・・・・・・き、ききき、ったかぜと、・・・・・」



お友達から、「なんでユーリちゃん、ししししんご君っていうのー?」と聞かれてもどこ吹く風です。



保護者からは、連絡帳には何の記載もありません。


先生は、ユーリのどもりのことを書くか書かないか、悩んでいました。


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