これがきっかけ?
ユーリは3人姉弟の真ん中で、3歳離れている姉と弟がいます。姉弟と、両親の5人家族です。
ユーリが3歳の時に弟が生まれましたが、この時ユーリはお母さんの実家で過ごしていました。
お父さんとお姉ちゃんが家に残り、ユーリは里帰りするお母さんについて行ったのです。
お母さんのお父さん、つまりユーリのおじいさんはとても厳格な人でした。
左手でスプーンやお箸を持つユーリを叱り、右利きに直させようとしました。
お母さんが入院し、おばあさんは付き添い。
ユーリは毎日おじいさんと右利きになる練習をしていました。
幼稚園に通っていたお姉ちゃんを真似ていたお下品な言葉も、叱られることがありました。
言葉は美しくあれ。これがおじいさんのモットーでした。
お姉ちゃんに教わった言葉は、おじいさんに全て言いなおしをさせられました。
でもユーリは頑張りました。怖いけど、時々遊んでくれるおじいさんが大好きでした。
お母さんが弟を連れて帰ってきた時、ユーリは右手でなんとかスプーンを使えるようになっていました。
「ただいま、ユーリ」
「お、あおお、おかえりなさい!」
ユーリは、あ行、さ行、た行、で音が連続で出たり、言いづらそうにするようになっていましたが
この時はまだ、誰も気付いていませんでした。