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はじまり、はじまり
あるところに、1人の女の子がいました。
名前は、咲野ユーリ。
高校と専門学校を卒業して、看護師さんになって2年目です。
スポーツが得意。
友達は多くないけど少なくもない。
リーダーみたいな役割は苦手。
話すよりも聞く方。
一番苦手なのは、自己紹介と挨拶、朗読、スピーチ、電話。
彼女はどもり―――“吃音症”を持っています。
これは、吃音症とユーリの共生物語。
つらいことはたくさんありました。
でも、幸せなこともいっぱいありました。
「負けないよ。だってどもりがなかったら私じゃないもん」
ユーリは今日も元気です。