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全共闘という名前は日大の学生がつけた

「こうした出来事は、当然ながら学生の知るところとなったんだ。学生はふつうは親から学費をだしてもらっている。したがって高い学費を払っていても、半分は自分事じゃないんだ。芸術学部放送学科の学生だった僕は、不当な本部の経営にはすごく腹が立ったが、やはりいくらか他人事だったという事はできる。しかし結論的に言えば学生の不満は宇宙論でいう『相転位』の状態になっていたのだろうね。相転位とは蒸気から水、水から氷というようにある一定の状況下で瞬時に形態が変化することをいうのだが、宇宙でもある時点まで粒子であったものが、水素やヘリウムといった原子に瞬時に変化することを言うのだね。社会現象もこれに似ていて、社会に不満が充満してくると、ある日突然、犯罪、反乱、革命といった出来事が頻発するようになるのだ。日大の場合、この『相転位』がおこったのだ。当時の大学としては一番状況がふさわしいものになっていたというところかな。ロシア革命も天草四郎の反乱も明治維新も多くの一揆もそれが起こる前までは平常そのもので、そんなこと考えられもしない、それが一夜明けると昨日とはまるで違う世界になってしまうのだ。これを僕は目撃した。

 昨日まで色彩豊かで、青春を謳歌するような、まるで当時流行の男性週刊誌『平凡パンチ』の若者が群れる表紙イラストのような芸術学部の豊かな家庭の息子、娘といった幸福感あふれる学生が群れるキャンパスが、翌日には革命当日みたいな殺風景な雰囲気に変化してしまったのだ。余談だけど、あの時代を語るのに『平凡パンチ』は欠かせないね。調べてみると『平凡パンチ』は1964年4月(五月号)に創刊された。マガジンハウスの週刊誌なんだ。1966年には百万部を超えた人気若者向け週刊誌だった。この週刊誌は派手なヌードグラビアと大橋歩(おおはしあゆみ・女性)が描いた若者風景のフレッシュな表紙とが魅力の週刊誌だった。大橋歩の描く表紙は創刊から7年間も続けられて『平凡パンチ』を他の雑誌から差別化していたっけ。僕などは、どちらかというとヌードグラビアにひかれてこの週刊誌を買っていたっけ。とても女性の前では買えない本だったね。

 

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