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20億円というお金を今の貨幣価値に換算すると…

 三人は、十三枚のコピーを順番に見ていたが、祐司が声をあげた。

「田沼さん面白いことに気がつきましたよ。新聞ですから募集広告が載っているのは当然ですが、たまたま東京郵政局第一人事課の募集広告がありますよ。ちょっと読んでみますね。


 郵政外務職員(男子)募集 採用人員 200名 採用期間 昭和43年7月から12月 勤務地 東京・横浜およびその周辺の郵便局 高卒2万1800円〜3万1200円 中卒 1万9400円〜2万9900円 ほかに各種手当 独身宿舎 制服など貸与


 僕がここで問題にしているのは当時の物価です。臨時職員は2013年現在の給与で言うと20万円は下らないんじゃないでしょうか。ですからこれから計算すると当時の1万円は今の7万円に相当するわけですね。とすると日大の20億円の使途不明金は今の140億円にあたる巨額な金額だったということです!これでは世の中が騒然とするのは当然ですね!」

 田沼が言った。「そうそう、いまでこそ20億円という金は大した金ではないが当時の感覚では200億円近い巨額な金で、学生であった僕には巨悪の発覚と感じられたものだよ!それまでにも大学当局のやり方に漠然とした不満を抱いていたが、ついにここに至って、美しくあるべき教育界が最も偽悪な存在で汚い大人の世界そのものであることを目の前に突き付けられたということだね。同学部の橋本君が書いた「バリケードを吹き抜けた風」によると芸術学部に関していえば、実態は次のようだったんだ。


 1966年次入学


 学科    定員     実際の入学数


写真学科   60名    247名

映画学科   60名    209名

美術学科   60名    248名

音楽学科   70名     80名

文芸学科   70名    312名

演劇学科   70名    182名

放送学科   60名    205名


 合計   450名   1483名


 こうした実態は学校側はひた隠しにして、学生名簿などを学校は流出させなかったのだ。僕は放送学科の学生自治会長だったが、学校側…つまり研究室に放送学科の学生名簿を求めたがないというふざけた回答だったのをおぼえているよ!「しかし僕のいた放送学科の学生にはそれぞれに学生ナンバーがついていて7056とか7205とかで同学年の人数は分かった。それによれば、今言った水増し人数はその通りなものだと僕は思うね。次いでいえば、放送学科の場合7060までは正規入学で7061以降はいわゆる裏口入学という事で、大学4年間この番号がついて回るというのは、あまりに無残なやり方ではないか!


 本来は4学年1500名の学部定員に4倍の6000人もとられている。こうした無法の状態を文部省は知っていたに違いないのに放置されていた!若き僕は、このことで国にも怒りを感じていたよ!






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