日大の巨額な使途不明金
教授らへのヤミ給与か
国税庁、東京国税局は、日本大学の経理に問題があるという情報もあって、さる二月と三月に、大学本部と医学部、商学部など十一の全学部と付属高校二校について、収入の一斉源泉監査を行った。その結果、本部と各学部などに二十億円の使途不明金があることがわかったもので、≪ヤミ給与≫であることがはっきりすれば、源泉の脱税額としてはこれまでにない額だと、国税庁ではいっている。日大の経理は、各学部の独立採算制で行われており、入学金、授業料、寄付金などの収入から、学生数に応じて各学部が本部予算の分担分をおくる仕組みになっている。同国税局のこんどの調べで、これらの収入の一部が本部、各学部で裏経理として幹部や一部教職員の≪闇給与≫特別賞与として支払われ、あるいは交際費、施設費などに使われていることがわかったという。
しかし、同国税局では、使途不明金の相当部分が《ヤミ給与》などで幹部、教職員個人に支払われているようだといっている。現在一人一人についての受け取り分の調査をいそいでおり、その実態は判明次第、全員から五年前にさかのぼって源泉徴収する方針。
まだ結論はでてない
佐々木良吉日大副会頭の話 東京国税局の経理監査をうけているのは事実だ。監査はまだ終わっていないはずだ。結論が出ていないのだから、いまはなにもいえない。
他の私大にない高額
国税庁川村博太郎直税部長の話 日大に限らずこれまで七、八校の私立大学の監査で、このような使途不明金が出たことはあるが、こんどの日大の場合ほど高額ではなかった。よい教授をとりたい、いい施設をもちたいなど私学の特殊な事情からこういうことが起こるのかも知れないが、源泉徴収上の不正は今後もきびしく監査してゆきたい。 」
田沼はコピーから顔を上げて言った。当時の20億円は今で言ったら150億円に相当するんじゃないかな。学生だった僕はこの記事を読んで実に驚いたものだ。募集人数の3倍もとるような利益優先の体質は知っていたけど、これほどとは思わなかったということだね。ちなみに入学金は10万円、補欠入学には20万円・・・今でいうと210万円、7割がたの学生はこの多額の入学金とその他に授業料を払っている。これを全日大で行ってこの利益を作り上げていたのだ」