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学生自治会の始まり

 紗耶香はクリニックの夕食の頃帰って行った。田沼は夕食の後、頭を整理するために、クリニックのテラスまで松葉杖で出て、椅子に座りウクレレを小さな音で弾いた。「小さな竹の橋の下」「アロハオエ」「ブルーハワイ」などを弾きつかれたころ、看護婦長がコーヒーを持ってきてくれた。

 婦長というとどっしりした体格の中年女性という、イメージがあるが、年は中年であるが、均整の取れたスタイルをしている。独身だそうだ。眉の線がくっきりしていて、眼鼻立ちがととのっている。胸が大きい。(こんなこを思っていると彼女には悟られたくはない)

「ウクレレ、御上手ですね。ちゃんと曲になっているのですね。ウクレレというと伴奏楽器というイメージがありますけど、田沼さんの弾くウクレレは演奏楽器みたいですね。あ、純正ブルーマウンテン入れてきました。それとミルクは軽井沢の別荘地スーパー「鶴屋」から取り寄せたものなんですよ」

「鶴屋ですか。軽井沢にいく時は僕も良くいきますよ。お取り寄せをやっているとは知らなかったな。豆も鶴屋さんからのお取り寄せですか?」

「豆は、鎌倉駅前の紀伊国屋さんで買ったものなんですよ」

「うんいい香りだなあ。よし砂糖を入れて、おや砂糖は和菓子に使う和三盆ですか?」

「そうなんです、忙しくて旅もできないの私の一点豪華主義なんですのよ」

「水は、丹沢の澤水でしたっけ」

「そうなんです」

「ちょっと軽井沢だったら千円は取られる品質ですね!うん、素晴らしいおいしさですよ」

 田沼はこうしゃべりながらも、婦長のきらきらする目線が気になった。ひょっとすると、中年の恋?そんなのもありかなと田沼は思う。婦長は詩人であるという僕に幻想をいだいているに違いないのだ。詩人などと言っても、詩で身を立ててはいない。雑文、講演会、大学講師、ミステリーの翻訳、こんなところが僕の収入源だ。詩人は計算高くていやらしい人種なのを彼女は知らない。

「いつも、飛び切りの珈琲をすいませんね。歩けるようになったら横浜のグランドホテルのバーにでもお誘いしますが、いいでえすか?」

「喜んで!」







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