表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/31

日芸における授業の実態

「『バリケードを吹き抜けたか風・日大全共闘芸闘委の軌跡』という橋本克彦君のこの本には、芸術学部の悪い授業の例として『芸術社会学』の授業をあげている。狼に育てられたアマラとカマラの人間性の発生の考察を社会学者のウエーバーやスペンサーとからめた珍無類の独断で押し切るこの研究を

『芸術社会学』と称するのだが、わけのわからないこの講義の単位を取るためには『世界の三大社会学者名を記せ』という問題に、その一人として教授の名を書けば良いと書いている。僕自身の思い出によれば、この講義はおよそ200人が入る古びた大教室で行われて、講義内容は教授の著作をなぞって毎年変わらないもののようだったね。橋本君は芸術学部の授業がすべて劣悪であるかのように書いているが僕にはそうは感じられなかった。放送学科における授業で僕が一番好きだったのは『放送脚本』の授業だった。この授業を担当するのは西沢実という放送作家なんだな。この人はNHKで、ラジオドラマ『狐切支丹』(芸術祭奨励賞)学校放送(お昼に僕は小学校でこれを聞かされたね!)『マイクの旅』(日本放送教育協会賞)などを書いた人なんだ。この先生から僕は、コメディア・デラルテ(イタリア仮面喜劇)の話を聞き、アリストパネスの「女の平和」(女たちが戦争反対のためセックスストライキをする話・先生はサイパン・テニヤンを転戦し苦労されている、それでお気に入りの劇かも)・それからシェイクスピア・モリエール・イプセンなどなどずいぶん読まされたのだ。このような新鮮な教授は放送学科に限らず僕が知るだけでも各学科は神保光太郎(詩人・立原道造が兄として親しんだ)・三浦朱門(小説家・曽野綾子夫)・赤塚行雄(評論家)を教授として採用していた。・・・ここから思うに、ひどい教育環境というよりむしろ他大学より優れていたのだと思う。しかしながら、僕らには何かの不満があったのだね。それが全共闘となって爆発することになるのだけど、それはもう少し、当時の学生の気持ちを探っていかねばならないな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ