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イフ  作者: 秋華(秋山 華道)
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港川警察の山瀬

蜂の巣を移動した後、華恵ちゃんと色々話をした。

自由に話して、命令できる事はもちろん、見た物、聞いたものも感じる事ができる事。

後は、その生き物にまつわる能力が使えるであろう事。

それからいろいろ試したら、どうやら毒と針に関する能力のようだ。

今後は本人の努力しだいで、何ができるかは予想できない。

後は本人まかせ。

で、やはり能力者の交流の為に、メグミに了承を得て、二人を俺の自宅に招いた。

「神野華恵です。」

「愛須愛です。」

知らない女子高生同士が初対面って、こんなものなのかな?

少し冷めた感じだ。

「えっと、メグミは、蜘蛛の力を持っていて、華恵はハチだ。で、俺がGだな。もし何か有れば、情報交換や助け合いをしていきたいと思う。」

俺は二人に、言いたい事を伝えた。

「うん。華恵さんも、よろしく。」

メグミが右手で握手を求める。

「えっと、はい。よろしく。」

握手するが、今一まだ堅い。

でもまあ、そのうち仲良くなるだろう。

なんてったって俺は、二人とも好きになれそうだし、なんとなくだけど身近に感じるから。

「で、俺さ。この能力を使って仕事してるんだけれど、華恵ちゃんも一緒にやらないか?メグミは学校に行っていない時間は手伝ってもらったりしてるんだ。」

前にビルの外壁清掃なんて仕事の時は、下にスパイダーネット、上から糸でつるして貰った。

もちろん真夜中。

ちょっと怖かったけれど、落ちても俺の生命力なら、原型がある程度残っていれば死なないだろう。

Gの生命力は怖いくらいだ。

おそらく俺は、首でも斬られない限り死なないのかもしれない。

「うん。まあ、仲間だしね。」

仲間か。

良い響きだ。

俺は南極にいくまで、本当に仲間だと思える人なんて、妻と友達一人だけだった。

今目の前の二人は、本当に仲間だと思える。

たった半年未満の間に、今までの人生で手に入れていた仲間と、同じだけの仲間を手に入れた。

嬉しいと共に、今までの人生が、あまりにもつまらない人生だと思えた。

「華恵ちゃんは、スズメバチを数匹は部屋で飼っていたりするのかな?」

俺は、なるべく手元に、数匹のスズメバチを置いておく事を提案しておいた。

近くに、自由にできるスズメバチがいれば、何かと良い事がある。

しかしまあ、スズメバチは、寒くなると活動できないから、冬の間は使えないけれど。

「一応、家の屋根裏に一つ、巣を作っているみたい。で、建物近くでは目立たないようにしてもらってる。」

「なるほど。いざという時にはボディーガードにもなるし、冬場以外は数匹鞄にいれておくのも良いよ。」

流石に周りを飛ばれたら、周りの人が恐がりそうだし。

そんな話をしていたら、電話が鳴った。

「ちょっとごめん。」

俺は二人に断ってから、電話に出た。

「はい、もしもし万屋イフです。」

「あー、こちら港川警察の山瀬と申しますが。」

電話は、どうやら警察からのようだ。

どうして警察から電話がかかってくるのだろうか。

先日やった、麻雀の代打ちがやばかったのか?

確かに金もかかっていたし、暴力団やマフィア相手だし、迂闊だったかもしれない。

「人捜し、とかって、やってもらえるのかな?」

どうやら、麻雀は関係なく、仕事の依頼のようだ。

俺は心の中で息を吐いた。

「はい、金と心によっては行いますが、見つけられる保証は出来かねます。」

普通人捜しなんて、探偵とかの仕事だし、警察が見つけられない人を、ただの万屋が見つけられるとは思えない。

あくまで、普通ならだけど。

「極秘に探している犯人を、探して欲しい。」

警察のお願いってわけだから、引き受けたいところだけれど、そんな依頼を万屋風情にやらせて良いのか?

「そんな大切な仕事を、私なんかにやらせても良いのですか?」

「あなたの事は、一応いろいろ調べさせてもらった。」

なんだ?

もしかして、能力の事がばれたとか?

それとも、政府から何かが漏れた?

「と、申しますと?」

「これは他言無用、極秘事項として扱って欲しい。警察からのではなく、私からのお願いとして。」

どういう事だろう?

今回の仕事の依頼は、警察からのお願いってよりも、個人的なお願いって事だろうか?

「万屋イフの話は聞いてるし、そのへんは大丈夫だと判断したのだが。」

「ええ、わかりました。ただ、仕事と言う事なので、会社の者数名には話す事も有りますが、ご了承ください。」

「信頼できる人ならかまわない。」

「はい。ではお聞かせ下さい。」

とりあえず話を聞くことになった。

「私個人で、吉沢って人物とちょっとつき合いがあってね。」

吉沢?

その名前で知る人物は、一人しかいない。

「はい。」

「浜崎組の吉沢だけど、知ってるよね?」

なんとまあ、警察の人と暴力団につながりが?

「ええ。」

「私は一度彼を逮捕した事があってね。それ以来、個人的につき合いが有るわけだ。」

テレビでありがちな設定が、実際にあるという事か。

「そうなんですか。」

「あなたの話は、彼から色々聞いてね。それで信頼できる人だと判断したわけだ。」

麻雀以来、俺は妙に吉沢さんから気に入られている。

何度か電話があって、1度一緒に出かけた事もあった。

俺をどうしても組に入れたいらしいけど、俺は断っている。

でもまあこれで、俺に仕事がきた理由は納得できた。

「はぁ。では、仕事の話を聞きますよ。」

「受けてくれるのか?」

「それは、仕事の内容を全て聞いてから、金と心で判断します。」

まあ今回は、心って言う分には大丈夫だろう。

警察の不祥事も増えている世の中だから、正直警察を信用できない部分もある。

でも、この山瀬って人は信用出来そうだ。

「マフィア幻術って、知ってるかな?」

マフィア幻術は、普通の人はあまり耳にしないが、アジアのどこぞの国に本拠地をおく、そこそこでかいマフィアだ。

しかし俺は、普通知り得ないこのマフィアの名前を知っている。

何故なら、麻雀の代打ちをした時の相手の人たちが、このマフィアの人たちだったからだ。

此処は、しらばっくれた方が良いかもしれないと思ったが、吉沢さんが何か話しているのだろうと判断し、俺は肯定した。

「ええ、知ってますね。」

「でだ。そのマフィアの陳ってのと、ロバートってのをさがしているんだが、会った事ありますよね?」

うろ覚えだけれど、確か麻雀を打った相手が、こんな名前だったような気がする。

「おそらく会った事があるかもしれません。」

「吉沢さんが、あなたが会ってるはずだって言っていましたよ。詳細は聞いてませんが。」

なるほど。

ではやはりあの時の二人か。

「それらしい人と会ったのは、二人しかいないので、吉沢さんが言うならそうかもしれません。」

「そっか。では、その二人を捜して欲しい。捕まえるのは我々がやるから、見つけてくれるだけでかまわない。」

そらそうだろ。

俺に捕まえろって言っても、そんな人捕まえられないからな。

「では、後は料金しだいで引き受けます。」

「見つけた場合だけってのは?無理かな?」

見つけられないと、無駄な努力になるけれど、悪い人なら捕まえたい。

「その二人が、一体何をしたか教えてください。それによります。」

「それは話せないが、おそらくかなり悪い事をしている。」

おいおい、証拠とか無くて、憶測だけで動いているのか?

しかし、悪い奴はつかまって欲しいし、判断が難しい。

「わかりました。では、見つけた場合のみでかまいませんが、料金はいかほど?」

「いくらだったら頼まれてくれるんだ?」

「そうですねぇ。写真とかありますか?」

写真が有るのと無いのでは、見つけられる可能性はかなり違う。

「有るな。」

「では、それを貸してくれるって事なら・・・」

こうして、料金は適当に決めて、俺は仕事を引き受けた。

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