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イフ  作者: 秋華(秋山 華道)
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信頼と同居

「二人とも、俺は今から仕事が有るから。鍵渡しておくよ。」

俺は華恵ちゃんとメグミに、部屋のコピーキーを一つずつ渡した。

「ええ、これは?」

「えっと。」

「いや、俺達は仲間だし信用してるから、此処、好きに使っていいよ。俺の部屋には入れないけどね。」

一応仲間だし、信用はしているが、どうしても口外できない事が俺にはあるから、それらの資料がある部屋だけは、入れないようにしておいた。

「住んでも良いって事?」

「住めるね。部屋余ってるし。」

「えっ?」

確かに、部屋は2つ余っている。

隣の部屋を借りたのは、Gと一緒に住む事は出来ないからであって、部屋が足りないわけではなかった。

しかし、流石に女子高生2人と同居はどうかと思うんだけど・・・

「ああ、住みたいなら、別に使って良いよ。」

・・・俺弱い・・・

「じゃあ、私は住もうかな。」

「うん、それなら私も・・・」

華恵ちゃんもメグミも・・・

良いのか?

ホントに住まわせて良いのか?

俺は本当は50歳以上だけれど、今は二十歳そこそこの若い男だぞ?

そこにピチピチの可愛い女子高生。

・・・

なんだ、最高のシチュエーションじゃないか。

オッケーオッケー。

俺は軽く考える事にした。

「では、部屋に鍵が必要ね。」

「いらないんじゃ?」

「やはり見られて困る物とか、秘密とかあるでしょ?」

「有るけど、此処にいる人は仲間だから。そう言えば、光一も鍵ついてるね。」

華恵ちゃんは鍵が必要だと言い、メグミはどうやら必要ないと言う。

これは育ちの違いかなと思った。

「まあ、いくら信頼して信用している人でも、話せない事ってあるからね。」

俺の場合は、政府に口止めされている事だ。

「そうよね。」

「でもそれって、信用して信頼してないって事なんじゃ?」

メグミから信頼感が伝わってくる事は素直に嬉しい。

でも・・・

「では、誰かに口止めされている事を、もし君たちに話したとして、俺は約束を破った事になる。約束を破る人を、君たちは信用できるかな?」

そうなんだ。

自分を信用してくれて、自分にはなんでも話す人ほど、俺は信じる事ができない。

それはきっと、俺が話してはダメだと言って話した事を、他の誰か信用出来る人に話すって事だから。

「なるほどぉ。」

「では、私は早速鍵をつけます。」

どうやら納得してくれたようだ。

それにしても、マジで住む気だよ。

どうでもいいけどね・・・

嘘です。

嬉しいです。

「では、俺はちょっと出かけてくるから。」

「はーい!」

「行ってらっしゃい。」

二人に見送られ、俺は出かけた。


港川警察の山瀬さんと会うため、俺は六本木に来ていた。

ヒルズ前にあるベンチに座って、スーツにサングラスという格好の人を捜す。

歳は40だと言っていたから、俺よりも10歳以上若い。

と言っても、今の一応の年齢よりは、20歳も上の人だ。

ベンチに座って1分もしないうちに、目的の人は見つかった。

「山瀬さん、ですか?」

「ああ、君か。思ったより若いな。吉沢の話だと、もっと大人だと思っていたよ。」

現在確かに俺は、この人の20歳下だけど、やはり年下にこれだけ下に扱われる言葉使いは好きではない。

いや、正確には皆普通に話したいのだけれど、日本ではなかなかそうもいかない。

だから仕方のない事だけど、歳が明らかに下だと思った途端に、態度と言うか、言葉使いが変わるのもいかがなものか。

「その若造に、こんな重要そうな仕事を頼んでも良いんですか?」

俺は顔を引き締めて、少し嫌味っぽく言った。

「いやいや、失礼。まあ仕事を依頼した理由は、ぶっちゃけホシを見た事がある人が、万屋をやっていたから頼もうと思っただけなんだ。」

いきなりぶっちゃけやがりましたな。

「でも、決して高橋さんの力を軽んじてるわけではないんだ。吉沢があれだけ誉めるし、電話で話しても大丈夫だと思ったよ。」

「そうですか。」

まあ、悪い人ではなさそうだし、結構頭もきれそうな刑事さんだ。

此処で仲良くしておいても損はないだろう。

「では、写真いただけませんか?」

「ああ、そうだったね。その前に、どこか入って話さないか?」

いや、話す事なんてないんだけど、どうするか。

「写真以外で、私に必要な事はないですが?」

「だからますます話したいね。話したいのは俺の欲求だ。」

「そうですか。では・・・」

俺達は、近くのカフェに入った。

店は混雑していて、結構五月蠅いくらいだったから、普通に喋っていても、誰かに聞かれてまずいなんて事はなさそうだ。

それでも俺達は、多少声をひそめて喋る。

「まずは先に、写真を渡しておくよ。」

「はい。」

俺は写真を受け取った。

写真は2枚。

1枚は、パスポートにでも付けるような証明写真のようで、もう1枚は隠し撮りしたような写真だった。

「どう?やっぱり会った事ある?」

確かに、麻雀を打った相手だった。

「はい。見た事ありますね。」

これ以上はあまり聞いて欲しくないから、俺はそそくさと写真を胸ポケットにしまった。

「そっか。で、見つける自信が有りそうだけど、どうやって見つけるんだ?」

俺は自信ありそうにしていたのか?

確かに、不安には思ってないから、そこから読みとられたか。

流石に刑事さんの洞察力だ。

侮れない。

「そうですねぇ。占いでもして捜しますよ。」

まあこう言っておけば、普通は話したくないと悟って、はぐらかされたふりをしてくれるのが人というものだ。

「そうか。アメリカでも超能力のような力で、事件を解決する人がいるから、そんな事も可能なのかもしれないな。」

俺はてっきり、はぐらかされてくれるか、もしくは嘘だと言われて、更に追求されるものだと思っていたけど、肯定ですか。

この人は結構やりにくいな。

味方にできれば頼もしい人だけど。

「冗談ですよ。普通に捜しますよ。写真とかって、見せても大丈夫ですよね。」

「ああ、詳細を話さなければかまわんよ。」

山瀬さんはそう言うと、ニコニコと俺の顔を見ていた。

マジやりにくい。

いつの間にか、氷だけになっていたアイスティーをすすると、ズズズっと音が鳴った。

「そろそろ出ませんか。ちょっと人を待たせてるもんで。」

店に入ってから、まだ10分くらいしか経っていないかもしれないけれど、俺は居心地が悪かったので、適当な嘘をついた。

「そうか。じゃあ、今日はこのへんで。又時間がある時にでも話しましょう!」

まあ嘘だとばれていそうだけど、今度は俺の意志をくみ取ってくれたようだ。

店を出ると、俺達はすぐに別れた。

どうやら山瀬さんは、忙しい中時間を無理にとっていたようだ。

別れる瞬間から、電話をかけながら歩いていった。


「おかえりなさい~」

「おかえりー!」

「ああ、ただいま。」

マンションに戻ると、既に二つの部屋には鍵がついていた。

マジで住むのだと思うと、少しウザイ気持ちと、かなり嬉しい気持ちがわいてきた。

しかし男たるもの、此処で浮かれてしまってはダメだ。

何がダメなのかはわからないが、とにかく平常心。

「これから少し仕事の話するけど良いか?」

「いいよ。」

「どんな仕事なの?」

二人ともやたらと乗り気だ。

てか、その前に親に確認とか連絡とかしなくていいのか?

まあそれは後でいいか。

「詳しくはまあ、君たちに話す必要もないから、とにかく仕事内容を話すとだな・・・」

俺は写真を胸のポケットから取り出し、二人に見えるようにテーブルに置いた。

「この二人を捜す?」

「電話でそんな事言っていたわね。」

「ああ聞いてたか。まあそういう事だ。で、俺は別に必至に捜すつもりはない。Gを使って捜す。」

実際、マフィアな人たちを捜索なんて、実はかなり危険だと思う。

「じゃあ私は蜘蛛ね。」

「私はハチだけど、見つかるかしら。」

「そうだな。外を捜すのは、ハチが空から、Gが地上を。蜘蛛は室内とか、後は自然が多い場所かな?そこはハチも行けるか。」

とにかく、二人が捜し辛い所は、俺のGが受け持って、捜す事になった。

まずは写真をスキャナでPCに取り込んで、修正した後再びプリントアウト。

それを二人に渡して、多くの虫に見せて捜してもらう事になる。

俺は視覚や聴覚を共有って言うか、シンクロ出来るから、俺の見た写真の画像を、隣の部屋のGに飛ばす。

二人もできるはずだから、もしかしたらそうするかもしれないが、それはまかせる。

今回の人捜しは、俺が一番見つけやすそうだ。

何処でも、何処にでもいるGは、はっきり言って使える。

こうして俺達の、人捜しの仕事がスタートした。

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