At Tranquil Heights
暮れゆく
今日も
人生の
1/30,000
孤高のマンション
不毛なハイツ
結局独り
薄暮の明星
青い空の向こう側
BordeauxかCaliforniaか
あなたがSchubertweinを冷蔵庫から出すと
階下の主婦
Cuvee Royaleの栓 抜く
夕焼け 向こう
落花の風
職住列車の汽笛と轍
ベランダ 眺める
Cabernet Sauvignon
書斎からみる
Merlot
たまにリビングで
Chardonnayを開け
小さな公園の向こう
駅の明かり 電車の音
蒼穹の真下
落花の風に乗り
日常列車の汽笛と轍
スーパーでは
Vin de Paysが断然お得
余裕かましたっていい
Chablis
焦ることも必要なり
Chianti
もっと向こうへ
隣町の駅前
そのもっともっと向こう
遠く都心の灯り
たまに
安ビールやウィスキーで
過ごす夜も
それだって
人生に変わりはないし
たまさかの
よく晴れた
休日に
JobimのTristeに思いを馳せ
Georges Duboeufの栓 抜けば
MiltonのTravessia
に驚呼し
Gabiにむせる
そんな
昼下がりだって
あっていい
はず
難色を示すコーク・スクリュー
デパートではBaroloが取引停止に
通りの画廊はSaint Emillionを絵の具代わり
ブティックの店員はWoodbridgeを叩き割り
ロゼ色のキャミソール
本屋の店員もCotes-du-Rhoneを浴びせ放つ
真紅のベスト・セラー
これから何杯飲めるんだろう
遠い栄光の友人は隣駅で心を違え
紅顔はいつしか霜鬢に覆われて
親友の子はもう進学
元恋人は一軒家を建て
朗らかだった笑みはローンに翳る
その間
どれだけ乾杯された
広告たち
どれだけ飲み下された
偶像たち
Salute!
暗い影に
強くあれ
たとえ
Kennyのギターが
心を挫かせても
持ち堪えよう
たとえ
Bennyのクラリネットが
心を掻き乱しても
Pinot Noirが手助けしてくれる
Rieslingはいつも側に
結婚してもしなくても
Zellerは等しく楽しめる
その静かな宵は
あなたにも
わたしにも
等しく訪れ
ひとり
転職サイト覗く夜
ラジオ静かに
橙灯に落ちる陰
Marques de Caceresの香りが
夕べの団欒の匂いに
消されないように
BillyとDarylの声が
派遣社員のお喋りにかき消されぬように
それを守るのはあなた
夕闇にうなだれて
あなた
今日も甘い酒気を帯び
舞い落ちる
ベランダから
団欒の向こう側
落下の風に乗って




