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箸休め六品目:裏切り者



 以前、ジャレドが侵入を試みた路地に入って行った人物の内特定出来た者の動向を追っていたエリソン。

 その中の二人が例の路地に入って以降消息が掴めなくなっていると使用した情報屋から連絡を受けた。


 暗く湿った部屋にて、ある集団が会合を催していた。

 その部屋の中央には無骨だが頑丈な木で出来た食卓がどんと置かれ、その周囲にぐるりと配置された粗末な椅子に十数人の男女が居心地悪そうに座って時折部屋の出入り口の方に目を向けている。

「まさか……魔王様が死去されていたとは」

「信じられませんな」

「しかし兆候はありました」

「然り」

「額から紋様が消えていた」

 ざわざわと取り留めもなく話していた場の注目を、一人の老年男性が立ち上がり集める。

「だがこれからどうすべきか?」

「と言うと?」

「我々は主を失ったのだ。あやつらに従う必要があるのか?」

「確かにそうだ。しかも先の口振りではあの無礼者共は国から逃げ出した犯罪者のようだ。なおさら従う必要がない」

 男の隣に着席していた太った中年男性も賛同し声を上げる。

「しかしだな……」

「そう、いきなり、今までの上司への反逆を煽られてもな……」

 この二人の発言に対し、再度場がざわつきだす。

「何を怖気づいておる! あやつらはたかが二人、こちらは十を超えている。さっさと殺してしまおう! その後のことは我々の権力ならどうとでもなるであろう!」

 立っている老年男性が声を張り上げると、それに触発されたか中年男性も席を立ちあがり口を開く。

「あの無礼者共に先程の返礼をしたいと望む勇気ある者はいないか! いなくともカパムス殿と私の二人で」

 突如、中年男性の頭が火炎に呑まれた。

「な……」

 唐突に起きた惨事に皆思考が停止する。

「二人で、何だってぇ?」

 凍りついた場の空気の中、出入り口に立つ若い男と司令部を失って崩れ落ちる焼死体だけが時を刻んでいた。

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