06 勝負下着
「兄よ」
「改まってなんだろうか?つーか、お兄ちゃんと呼びなさい」
兄は朗らかに振り返った。
その目の前に、ズイッと差し出される袋。
「これは何だ」
押し殺した声に、兄は平然と答える。
「ん?見ての通り下着だが」
「そ・ん・な・の・は、わかっとるわ!聞いてるのは、こんなものをなんだって人の部屋に置いておくのかって事だ!!こういうのはテメェの彼女にやれよ!!」
「そんな変態な真似ができるわけないだろ」
「ふざけんなぁあああああ!!」
切れた妹は手にした袋ごと兄の顎めがけてアッパーカットを繰り出した。
「げふうううう」
見事に吹き飛ばされた兄は床の上に沈んだ。
追い討ちをかける妹は、兄の腹をダンッと踏みつけにした。
「キリキリ答えやがれ。なんだってこんな変態なプレゼントを置きやがった」
おどろおどろしくとえば、
「そりゃ、もうじき水泳の授業があるからさ」
踏みつけにされながらも兄はノホホンと答えた。
「ぁあ゛?んだ、そりゃ」
妹はそこらのゴロツキとかわらないメンチをきった。
「プールの授業で着替えがあるだろ?みんなの前で着替えたって恥かしくないように、ちゃんと勝負下着を……」
「このボケナスが!!」
みなまで言わせずに腹を踏みつけにしていた足に体重をかけて兄を踏みにじった。
「ど・こ・の・世・界・に!授業で勝負下着を使う阿呆がいるんだよ!しかも、人の部屋に勝手に入るなって何度言ったら判るんだ!!学習能力ないだろ!!!」
このっ!このっ!このっ!と、妹はさらに兄を足蹴にするが、兄に堪えた様子はなく平然と起き上がってくる。
妹の双肩に手を置き、重々しく継げた。
「もうちょっと恥じらいを持ちなさい。丸見えだぞ」
嘆かわしいといわんばかりのその態度。
妹は再度切れた。
「どやかましいわ!!!」
妹の渾身のとび蹴りが兄に炸裂した。