28 反省しています
父が帰宅すると、兄が仁王立ちで待っていた。
腕を組み高圧的に見下ろしてくる息子に、父はニヘラッと笑みを向けた。
「ただいま?」
と挨拶するも冷え冷えとした眼差しは変わらない。
「説明してもらおうか」
父はダラダラと冷や汗をかいていた。
「あの馬鹿を泊めるなんて何を考えてる」
「えっと~」
「娘を怯えさせて部屋に閉じこもりっきりにさせるのが目的か」
「う、やっぱり、そうなっちゃった?」
父の不用意なその一言に、凶悪に眉が跳ね上がった。
一気に危険域にまで跳ね上がったその怒りのボルテージに父は心底戦いていた。
「やっぱり?やっぱりと言ったのか?」
地を這うように低いその声。
「どういうつもりだ。当然、俺が納得いくように話してもらえるんだろうな」
未だ玄関の三和土に立ったままで、室内に上がることなく息子に詰問されていた。
「えっとね、家に他の男の子がいる状況に慣れてもらおうかなって~」
「……ほう?」
「ほら、男の子が苦手でとてもじゃないけど、一緒に暮すなんて無理だよね。だから、」
「……」
無言のその圧力に、
「お父さん、プロポーズしちゃった☆」
父はてへっと可愛らしく言ったが逆効果だった。
兄の腕が伸び、父の頭を鷲掴みにする。
握力だけでギリギリと締め上げてきた。
「い、いたたたたた、痛い!?」
「物事には順序ってもんがあるといっただろう!この馬鹿父がぁ!!」
青筋を立てた兄は父を叱り付けた。
「ご、ごめんなさい~!」
父は涙目で謝っていた。