25 呼ばれざる客
キャアアアアア
階下からのその悲鳴に、兄は部屋を飛び出した。
妹の友人が来るからと、邪魔をしないように自室に引っ込んでいたのが仇になった。
居間に飛び込むと背の高い男の姿がある。
「あっちへいって!」
その向こう側には泣きながらお菓子を投げつけている妹の姿。
抵抗手段がお菓子とはいえ、兄の後ろに隠れるしかなかった少し前までを考えたら、大進歩だった。しかも自分の口で拒絶まで。
兄はこんな事態なのだが、妹のその成長についホロリときてしまった。
妹の友人達は大半が黄色い歓声の声を上げている。
「照れ屋さんだなぁ。お菓子を投げつけるのはやめてくれよ」
ハッハッハとその馬鹿は言う。
兄は無言でその背後に忍び寄り、腕をそいつの首に巻きつけ締め上げた。
「ぐえっ」
妹は兄が登場した事にホッと肩の力を抜いた。
「邪魔をして悪かったね。お邪魔虫は連れて行くから」
兄は首を絞めたままズリズリと後ろに引っ張る。
「会長、その不審者はなんですか?」
妹の友人の中、ただ一人冷静に事態を観察していたボブカットの少女がたずねた。
その眼差しには不信感がいっぱいだ。
「この変態はこれでも親類なんだ」
「うぉい、親戚って何だ!未来の弟と言えよ!」
クビを極められながらもふざけた事を言う。
妹は激しく首を振った。
「寝言は寝ていえ。むしろ永遠に起きるな」
「ひでえ!ハニーもなんとか言ってくれ~」
兄の引きずり出そうとする力に抗い、男はじたばたと足掻いている。
ハニーなどというイカレタ発言に、兄は鳥肌を立てた。
「妹を不気味な呼び名で呼ぶな!つべこべ言わないでさっさと来い!」
「不気味って言うな!この溢れんばかりの愛情をなんだと……絞まってるって!首ホント絞まってる!放して、お願い!」