24/39
22 何度も言わせるな
キャミソール&短パン姿の妹はクーラーの点いた室内で肌寒そうに腕をさすっている。
「ほら、寒いならこれを羽織りなさい」
薄手のカーディガンを差し出して兄は妹に促した。
妹は手渡されたそれをじっと見る。
「おい……」
「女の子なんだから、腰を冷やしちゃ駄目だよ」
となぜかタオルケットまで取り出して、兄は妹の腰に勝手に巻きつけている。
「ちょっと待て」
低めた妹の言葉にも兄は知らん振りだ。
「クーラー点けると足元も冷えるからね」
とむき出しの足の上にひざ掛けまで駆け出す。
「暑いわぁ!!」
妹はひざ掛けとタオルケットを剥ぎ取り、兄に投げつけた。
腰掛けていたソファーから立ち上がり、妹は仁王立ちになって兄を睨む。
「テメェ、このカーディガンどっから持ってきやがった」
手にしたカーディガンを突きつけ言う。
「ん?そりゃもちろん、お前の部屋……」
「ボケがぁ!!!」
妹はみなまで言わせず、手にしていたカーディガンごと兄を殴り飛ばした。
「な・ん・ど・言ったら覚えるんだ!!勝手に人の部屋に、入・る・な!!!」