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兄と妹  作者: ゆなり
20/39

18 似てないねB

 だからいらないといったのに。

 妹は心の中で悪態をついていた。

 兄に強引に持たされた日傘も、扇子も、どちらもクラスメイト達にとられてしまって、手元に無い。

 内弁慶の妹は、貸してと言われては素直に渡してしまうしかなかった。

 こうなる事が目に見えていたので、荷物になるから持って行きたくなかったが、兄に強引に押し切られてしまった。

 日焼け止めだけはしっかりとつけてあるから、それだけは感謝しても良い。

 入学式の日に知り合った友人は、嫌なら断ればいいのにと呆れていた。

 ボブカットの彼女と妹はかなり気が合って、そろそろ入学して1月が経つがよくつるんで行動していた。

 互いに地味系、引っ込み思案である上に、歯に衣着せぬハッキリした物言いをするところが似ていた。

 同じ大人しい系の女子からは敬遠されるタイプで、その辺で妙に気があっていたのだ。

 トントンと肩をたたかれ、妹は振り返った。

 ウゲッと内心で呻く。

 外行きようの笑顔を浮かべた兄が立っていた。

「”忘れ物“、届けに来たよ」

 とお弁当サイズのクーラーボックスを差し出す。

 朝、あえて持っていかないと言い張って置いて来たものだった。

「ありがとう、お兄ちゃん」

 兄が引き連れていた取り巻きから、ものすごい凶悪な視線を向けられている。

 兄妹と知られたくなかったが、取り巻き連中から睨まれるのもいやだった。

 断腸の思いでお兄ちゃんと呼びかけ、礼を言った。

 家に帰ったらぶっ飛ばす。

 兄の満足げな笑顔を眺めながら、妹は心の中で決意していた。

「妹さん?」

 兄の取り巻きの一人である副会長は訝しげに尋ねる。

 兄はご機嫌のまま頷いた。

「……似てないわね」

 その素直な感想に、妹は大満足だった。

 ニンマリと笑みを浮かべた。

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