17 校則違反です
「兄よ」
「なんだね、妹よ」
兄は手元から顔も上げずに、心ここにあらずの返事を返した。
「一つ聞くが、何をしてるんだ?」
「そりゃ見ての通り、球技大会の準備だ」
「……それが?」
兄の手元には、色々な品物が並べられていた。
日傘、防止、タオル、扇子、日焼け止め、果物、クーラーボックス、保冷剤、水筒、エトセトラ。
兄はようやく顔を上げて妹を見た。
「球技大会は炎天だからな。熱中症対策は重要だろ?熱中症といえば、帽子だ」
ビシッとフリフリ帽子を指差す。
「それから、日光対策。お前は肌が弱いから、直射日光は良くない。日傘が必須だろ?」
黒い日傘を指差す。
「地面からの照り返しも考えて、日焼け止め。汗をかいたとき用のタオル。扇子もいるな。で、汗をかいたらやっぱり水分を補給しないといけないが、水ばっかりがぶがぶ取るのもよくないから、果物を凍らせておく。試合の観戦用にレジャーシートもいるだろ?それから……」
一つ一つの品を指しながら説明を加えていくが、妹は途中でそれを遮った。
「あほか~!!どれもこれも校則違反だろうが!たかが球技大会に、そんなものはいらん!!」