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兄と妹  作者: ゆなり
14/39

14 お礼? 2

「妹ちゃん、邪魔しちゃってごめんね。もうじき片がつくから、あとちょっとだけ居候させてね」

 兄の拾ってきた彼女は、ぽややんと礼を言う。

 彼女はずっと妹の部屋で寝起きしていた。

「気にしてない」

 妹は口を尖らせてそっぽを向く。

 内弁慶な妹は、兄の拾ってきた彼女にも強く出られない。

 せいぜい照れ隠しにつんけんしてしまう程度だった。

 彼女はニコニコとそれを見ていた。

「お礼に、今度あたしがお化粧の仕方教えてあげるわね」

「は?いらないよ別に」

 妹は唐突なそれに、困惑しながらも断った。

「遠慮しなくてもいいよ」

 彼女はウッフンと色っぽくウィンクした。

 妹は、引きつった笑みを浮かべる。

「い、いいよ。必要ないし」

「大丈夫。これでもメイクアップアーティストの母さんに仕込まれた腕なんだから、どんと任せて頂戴」

「そうじゃなくて、化粧に興味が無いんだってば」

「知ってる。だけどお兄さんからも頼まれてるんだ。粗を隠す化粧術、男を悩殺する勝負メイク、チャームポイントを引き出すポイントメイク、学校にしていっても大丈夫なナチュラルメイク、舞台にだって立てるような本格メイクまで、手取り足取り教えてやってくれって」

 大人しく聞いていた妹の額に青筋が立った。

 血相を変えて部屋を出て行く。

『クソ兄キー!!』

『どうした、いもうぶふぉあああ!』

 ドンガラガッシャーンと景気のいい音が響く。

「あはっ、やっぱりこうなった」

 階下から響くやり取りに耳を済ませていた彼女は、悪びれることなく呟いた。

 妹の息もつかせぬ怒涛の怒鳴り声が続く。

「だから止めといた方がいいって言ったのに~」

 クスクスと彼女は楽しげに偲び笑った。

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