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兄と妹  作者: ゆなり
11/39

11 捨てて来い Part2

「捨てて来い」

「いや、しかしだな、妹よ」

「しかしも案山子もない。さっさと捨てて来い」

 兄の言葉など聴く耳を持たない妹に、兄は困り果てていた。

「可哀想じゃないか。こんな雨の中で外に放り出すなんて」

 兄の隣で二人のやり取りを困惑気に見ていたその目は、哀れっぽく妹を見上げる。

 その眼差しに妹は一瞬怯むが首を振る。

「駄目と言ったら駄目だ。犬や猫ならまだしも、人間を拾ってくるとは何事だ!」

「だって、行く当てがないって言うから」

「だってじゃねえ!」

 兄を怒鳴りつけた。

 キッと兄の傍らの人物を睨みつける。

「アンタもアンタだ!見ず知らずの男にほいほい付いて来るんじゃない!何があるかわかんないだろうが!」

 いつかどこかでした会話だった。

 つーか、つい先日のことだ。

「まーまー。そんなに怒ると禿げるよ」

 兄の拾ってきた彼女は、のんきに妹を宥める。

 話がまるで通じてない!

 妹はがっくりと脱力した。

「火事で焼け出されて、可哀想だろ?お母さんが退院するまでのちょっとの期間だし、いいじゃないか」

「テメェが言うな!!」

 妹のニーキックが兄に炸裂した。

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