07
「さて、被害の大きさについての賠償金の話なんだけど、訴えていいよね。流石にね、夜中コソコソと動いていた私も悪かったと思うよ。でもさ、アレはないよ。ないないな―「おい、いい加減にしろっ!罪状、人斬りとして、お前――白狼を捕縛する。抵抗するなら容赦しない。」」
手配書から受けた精神的被害について熱く語っている煌妃をさえぎる男がいた。
「いやだなぁ、人の話を最後まで聞かないヤツはだめだよ。きちんと最後まで聞かないと。」
ムスッとした表情を浮かべながら煌妃は腰にある刀に手をかける。一瞬、緊迫した空気が流れたが、それも束の間、すぐ笑顔になって手をおろした。ぴょんっと煌妃の肩から飛び降りた白空が、地についたときには、目を細めて何かを企んでいる煌妃の表情に白空は寒気がした。
『悪い癖がでてるよ。』
こんな時だからこそ、状況を楽しまなきゃ。ただのやり合いとかつまらない。当然、"私が"と言うように、煌妃は鼻で笑った。そして、目の前の男たちを見下すように言った。もちろん、顎は45度斜め上に傾けて――。
「さっきアナタの目で確かめたでしょ、あぁ見えなかったか。でも、人なんか斬らない。」
『血鬼斬りならやったけどね。』
「白空!」
「・・・とりあえず、捕縛します。おとなしく、捕まりなさい!」
「愚かな。」
落胆の声をあげたのと同時に、態勢を低くする。どちらが先に仕掛けたのかもわからなかったが、月明かりで、光る刃の煌きは雷矢のごとくその技も素早かった。お互いの刀が交わる音は夜の闇にとけ込むように響いていく。均衡状態に入ると、互いに睨みあいながら薄ら笑みを浮かべた。
――最高の好敵手。
「なかなかやりますね。」
「キミもね。流石、沖田総司。」
「いえいえ、貴女こそ。私の一打目を受け止めた方はそういません。」
だろうね、っと煌妃はニッっと口角をあげ、素早く後ろに引くと沖田に飛びかかった。それを沖田は、すっと横にずれひらりと攻撃をよける。しかし、煌妃は逃がさないといわんばかりに、刀の刃先をクルリと返し、体重を後ろにかけて左から勢いよく斬りつけた。腰の回転を活かしたこの太刀筋は、力強い音と共に空気を切り裂く。
「くそっ。」
「あはは、すごい。・・・面白い太刀筋をしてますね。でもこれは、どうです?」
「総司!・・・吉田、坂木、ケガをしている富岡を連れて先に戻れ。」
「しかしっ「こっちなら、大丈夫だ。富岡を早く医者に見せろ!この人数はいらねぇ。」」
「ダメよ。」
さっきまで沖田と対峙していたはずの煌妃は、スッと土方の背後から現れると耳元で囁いた。
「土方さん!」
「お前ッ!」
土方は急いで刀に手を置くが、上からその手を抑えつけるように煌妃の手が重なった。
「無駄よ、土方歳三さん。あなたは私の速さについていけない。」




