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紅の月 - 物語を紡ぐモノ -《 上弦の月 - 第一部 - 》  作者: ぼんぼり
第一夜

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06

「えーっと、ちょっとまって、ごめん。聞き間違えてしまったみたい。もう一度いってもらってもいいかな。」

「はぁ、もうしっかり聞いててくださいね。・・・お年寄りのような白髪でさっきの化け物みたいな赤い瞳をもった人斬り「待った!ねぇ、さっきよりひどくない?ってか、白髪じゃない!これは銀!わかる?銀よ。それに、私人斬りなんてやってない!」」


 なんとも言えないこの男の面倒くさい表情に、無性に腹が立った。完全におちょくられてる。


「もう!さっきまでの緊張感どうした!緊張感!」


 どうにかして、目の前にいる男に一泡吹かせてやろうと考えていると後ろから来た何者かの手により消されることとなった。


『煌妃!』

「えっ!?」


 それと同時に、背中に痛みが走る。思わず体勢を崩した私は、そのまま前へと倒れていった。


「えっ!?うわっ!いっ・・っつぅ。」


 かたくてちょっと柔らかい場所で、痛む箇所を抑えながら必死に耐えようと悶えていた。痛みを耐えるように目を凝らしながら、落ちた場所を見上げた。わぁーお、結構高いとこから落とされたわ。と思ったのも束の間。守ってくれるはずの白空が両手で目を覆い隠していたのだ。詰まるところ、これは『うわぁ~見てられない。』というとこだろう。ってことは・・・。


「――っく、あっ大丈夫ですか・・・あれっ?驚きました。あなた、女子ですか?」

「出てきた最初の言葉がそれ?なんなの、あんた。しかも、私の下にいつまでいるのよ。」

『いや、煌妃がどかない限り無理だから。』


 いつものように突っ込みを入れる白空に、感嘆の声をあげながらも小首をかしげながらべったりと吸いつくように、自分の下に居る男に張り付いた。重なり合った態勢から素早く懐からチラッと見える紙を取り上げると一気に跳ね起きて距離をとった。男から奪った紙ーー手配書を見ると顔が熱くなるぐらい、わなわなと肩を震わせた。


「信じられない、誰よ!こんな手配書作ったの!しかもあの人相書きない!あり得ない!そりゃさ、あまり胸ないもしれないけど、一応女の子に見えると思うしさ。そりゃあ、髪長くないけど。老人――男だったし。グスン。こんなの、こんなの―・・ビリビリに破いてやるんだからぁー!」


 と煌妃の怒りは、爆発寸前・・・いや、噴火した。ただ怒りよりも大きかったのは精神的被害の方である。手配書と自分の体を見比べながら、ペタペタと確かめていた。回りから見れば、すごく滑稽な様子だったに違いない。無言のまま、屋根の上に戻り白空を抱き上げると、ぎゅっと抱きしめた。


「言葉よりも心が抉られた気がするよ、白空。」


 本当に、ショックだったんだね、と白空は思いながら笑いをこらえていた。


『それもそうか、伝令の鷹にまでやられたんじゃ、立場ないよね。ぷぷぷっ。』


 その言葉を聞いた煌妃は、月を背に上空を舞う一羽の鷹に目を留めた。白空を抱きしめる力に、一層力を込める。体のどこかでミシミシという音がしていた。


『煌妃!ギブ!ギブ!ボク、死んじゃう!口から何か出るから!』


 確かに、アレはうちの里の鷹だがーー。鳥だし、夜目が効かないのも分からなくもない。かと言って、このやりきれない気持ちをどうしたものか。


「そろそろ、いいですか。夜も遅いですし、早く帰って寝たいんですよね。えっと聞こえてます?」


 ふぁっと大きな欠伸をしながら男は言った。


『アイツ、随分と大物になりやがったな。』

「えぇ、ホントに。」

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