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紅の月 - 物語を紡ぐモノ -《 上弦の月 - 第一部 - 》  作者: ぼんぼり
第一夜

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04

「お前ら、いい加減、私の邪魔をするなー!こいつは、私の獲物だっ!」


 ビシッと指で血鬼を指しながら言った決め台詞に、白空は笑いを堪えるのに必死だった。


『アホの子ほど可愛いってこういう時に使うんだね。ホント、ボクの笑いの期待を裏切らないよね。』


 コロコロ喉を鳴らしながら小さい声で言った。案の定、そのとき私は、人差し指を血鬼に向けビシッと決めた態勢で、ものすごく後悔をしていた。自然と頬がピクピク動き出す。まずい、そう思ったがすでに遅かったのだ。そして、羞恥だけが、勝手に走りだす。


 落ち着け私。よく考えて、目の前にいるのは浪士組。いい?落ち着いてもう一度言うよ。浪士組。

 直近1か月、頻繁に不可解な事件が続き、昼夜問わず色々動いていたし、そろそろ指名手配とかされていてもおかしくないかも・・・とか、思ってはいるけど。どうしよう。この状況からの挽回策を探したい。


「あの、私たちの目の前にいるのはお知り合いの方ですか?」

「まぁ~知り合いって言ったら知り合いかもしれないけど、どっちかというと探してたというか・・・。」


 急に話しかけられてその言葉に無意識に応えてしまった。その反応に、白空は呆れたようにボソッと呟く。


『バカ。』


 頬をぴくりっと動かすとにっこり笑みを浮かべながら白空を見つめた。その笑顔に、聞こえているけど、今は聞き逃してあげると、とびっきりどす黒い感情を含ませる。そんな笑みを見た白空は、身震いすると目にはうっすら涙を浮かべている。自分自身じゃわからないけど相当、怖かったらしい。ついでに間を上手く使い、無言の圧力を白空にかける。

 心なしかすっきりしたので話を戻すことにした。


「あちらの人は腕を喰われたんですね、かわいそうに・・他人の仕事に手を挟むから。」

『その考え、自己中心的過ぎるから、煌妃。キミの仕事ってボク以外知らないでしょ!』

「それもそうね・・なら、運が悪かったのね。

『違う気がする。開き直り方が怖すぎっ!』


 それにしても、今度の血鬼は意外とおとなしい。3日前にあったヤツは、相当気性が荒かった。鋭い爪は空気を切り裂き、かまいたちを起こす。何人もの人を喰い、村を一つ消した。まだ癒えない腕の傷を抑えながら、あの惨状を思い出していた。


 アレはまさに、血の海――。


 いくら相手がおとなしいからと言って、ここで繰り返すわけにもいかない。目下にいる男たちの集団に、今できるだけの作り笑いをして、腰につけていた刀をゆっくり抜いた。笑顔が引きつっていないことを願いながら。


「仕事が終わるまで、ちょっと静かにしていてくださいね。――白空。」


 その名を呼ぶと真っ暗な闇にぽつんとあの日と同じ色を浮かべた紅の月が修羅を望んでいるかのように煌めいた気がした。背筋にゾクッといやな感覚が走る。でも、それを白空に悟られないように刀を握る力を強くする。だって、敵の前で弱みを見せたくないから。


『風の守護。』


 白空がチリンっと首輪についている鈴を鳴らした。すると、風が吹いて紅の月がだんだんと雲に隠れていく。そして、提灯の光も消え、闇がこの場を包み込んでいった。ただそれは闇夜の一瞬。懐から小さな小瓶を取り出し、それを刀にふりかけ勢いよく息を吸ってすばやく血鬼に斬りつける。それはまるで、雷のように鋭く蝶が舞うように鮮やかだった。


「おやすみ・・・哀れな子よ。人を喰らいしお前の魂を永遠とわの安らぎへと導こう。私の手で・・・。」

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