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紅の月 - 物語を紡ぐモノ -《 上弦の月 - 第一部 - 》  作者: ぼんぼり
第参夜

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25/30

24

 その頃――


「はい、終わりましタ。もう、無茶はシナイ!いいデスか?」

「ふぁーい。」


 煌妃は、軽く返事をした。さっきの傷口の痛みで体力がかなり消耗されたからである。


「もぅ、傷がきれいに治ったからイイものの。はぁ、良かった、良かったネー。」


 花から離れてゆっくりと体を起こすと、着物をきちんと整えて立ち上がった。そして、障子を開けると、ゆっくりと背伸びをする。


「花、杏。さっき、空也から報告書もらったんでしょ?血鬼の報告を受けようか。」


 ピンッと張り詰めた空気を作り、二人の方へゆっくりと振り向いた。


「早文で鷹が来ませんでしたか?」

「あぁ、やっぱりあの夜突進してきた鷹がそうだったのね。昨日、会ったっきり来てないよ。」

「そうですか・・おかしいですね。急ぎ追跡しましょう。」


 杏は、眉間にしわを寄せたがそれはすぐに解かれた。花と杏は、忍の一族の中で1番若い空也の補佐として任命した。実力もあったから、煌妃の血鬼退治の情報を集める手伝いをしてもらっている。彼女たちはかなり優秀で、色んな伝を使って有力な情報を次々手に入れてくる。感謝はしてるものの色々細かいのが難点だって思ってる。実の兄よりもうるさいし。


「素直に、ありがとうって言えばいいじゃないデスかぁ。」

「って人の心を読むなって、花!」

「「油断していると、顔に出る姫様がいけないんです!」ダヨ!」」


 花と杏は声をそろえて、笑いながら煌妃に言った。煌妃は、2人の反応を見てほほをふくらますと、縁側に座り二人に背を向けてしまった。そのとき、杏がクスリとひと笑いすると、普通の人なら聞き慣れない言葉で真剣な声で話しかけた。


【・・・時空の綻びが確認されました。】

【どこに?】

【壬生寺です。ですから、今回は一座を壬生寺に。】


 この情報から、早めに里を出てきたのかと煌妃は推測した。しかし、そこまで急ぐ必要があったのなら、今回が“あのとき”なのかも知れない。


【ワタシの方は、血鬼の能力に異変があるやもしれないと、玄老げんろう様より言いつかってきました。】

【じいさまが?花、詳しい情報は?】

【確かではありませんが、蒼樹そうき様の湖に何者かが入ったそうで少量ではありますが、“龍水”が盗まれました。血鬼ではなかったのですが、その賊を逃がしてしまい、もしかすると・・・。】


 少しの沈黙が流れる。その続きは、なんとなく聞きたくはなかった。しかし、思っていることと違う当たり前なことを質問した。


【ここの血鬼を操る者の仕業か。】

【はい、その可能性が高いかと。】


 血鬼は人の心を持たず。それを利用して、血鬼を操り世界を闇に変えようとする一族が居る。黒龍の一族――。元は煌妃の一族と一つだった。しかし、憎しみが争いを生み戦争がおこり、分裂してしまった。ちょうど、黒龍の長は血鬼に目をつけ操る事に成功したのだ。しかし、私のように各世界を移動する術は知らない。幸いにも唯一、出来るのは血鬼が存在するところに操れる者が1人存在できることだった。


【もし、“龍水”を血鬼に順応させてしまったら・・弱らせることは出来ても私には倒せない。まさか・・・】


 ない、と続けたかったがあえて言わず、煌妃はさっきまで確信することを恐れていた最悪なことを自分に言い聞かせるように呟いた。

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