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紅の月 - 物語を紡ぐモノ -《 上弦の月 - 第一部 - 》  作者: ぼんぼり
第参夜

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23

「空也は?白空も。」

「頭は、後から来マス。血鬼に不振な動きが見られまシタので、その件に関し調査をして、終わり次第こちらに向かうとのことデス。」

「白空様は、頭と一緒です。おそらく、そろそろお見えに「えっ?それって大丈夫なの?」」

『煌妃!言われた通り連れてきたよ。すごく大変だったけどね、このガキ最悪すぎ。』


 障子戸がいきなり開いたかと思ったら、白空が飛び込んできた。それを見て、杏は『こちらの通りです』と遮られた言葉に続けるはずだった言葉を言った。煌妃から自然とため息が漏れた。

 そこには15,6才の少年が立っていた。少年は、煌妃と目が合うと素早く部屋に入り片膝を突いた。


「許可もなく御前にまかり出ることをお許し下さい。・・――あっえっと。」


 一通り挨拶をするとやっと煌妃の姿に気づいたのか、少し頬を赤くして困っていた。その様子に、煌妃は少年に言った。


「いえ、こちらこそ随分と迷惑をかけたみたいで、ごめんなさい。空也、こんな格好だけど気にしないで。」

「ごめんなさい!あっ―と。」


 煌妃が良いと言ったが、少年こと空也は慌てて謝った。そして、上半身裸のまま花にしがみついている煌妃に対して、目のやり場に困っていた。


「もう少しで終わるから。誰か近くにいなかった?」

「いいえ。この部屋の周辺には、人の気配はありませんでした。」

『煌妃ぃ~なんか気まずいね。』

「白空、可愛く言ってもダメ・・アナタは少し外に出てて、そういう約束でしょ。空也、白空を外に出して。」


 目の前に座っている白空を見て、煌妃は顔しかめた。なぜなら、中身はおっさん…おじいちゃんなのだ。見た目は子虎であるが実は、人間年齢で考えると100を超えている。そういう事情もあるので、以前、白空を面倒見てた人から預かったときに、こういう事態になった時は追い出すようにときつく言われてたのだ。


『いやぁ~若いっていい!眼福、眼・・・って空也!!』


 空也がサッと抱き上げたので、ちょうど良く遮られてしまったが、白空の声はもちろんのこと空也には獣が鳴いているようにしか聞こえていない。


「白空様、壬生寺にでも行きましょうか。あとから出発した者が到着しているかもしれません。」


 空也みたくかわいげがあった違うのかもしれないけど、この幼い姿で突然、オジサン発言になる。後でお説教受けることになるのは必然なので退場願うのが1番だ。


「あー!いたいた。土方さ~ん!不逞浪士の件で報告しに来ました。」

「んあ!?平助か。原田と永倉は一緒じゃねーのか?」

 意気揚々と藤堂が、土方の元へ走っていった。

「あぁ・・新八さんと原田さんは、天城さんが怪我したから、お見舞いに何か買っていくっていって別行動です。」


 藤堂は少し怒りを込めながら言った。その言葉は、藤堂も行きたかったのだと推測できる。そして、原田と永倉と賭をして負けたのだろう。その負けのせいで、土方に報告する羽目になってしまったのだ。


「天城さんは?」

「あぁ・・今、治療中だ。黒谷からさっき斎藤が帰ってきて来て不逞浪士から一座を護衛することになった。」

「あの一座ってそんなにすごいんですか?」


 藤堂は、目を輝かせながら土方に言った。そのとき、白空を抱えた沖田が2人に声をかけた。

 先程、空也に抱えられて外に追い出された白空は、壬生寺付近でウロウロしてた沖田に渡したのだ。という体のいいやっかい払い。空也と白空は相性最悪。性格が全くと言っていいほど真逆すぎて用件が無い限りは一緒に居ることはない。


「あっ!平助!何をしているんですか?こんなところで?土方さんも!」


 白空は、みゃあみゃあ鳴きながらあくびをしている。何か言っているように聞こえもするが、案の定ここにいる者は白空の言葉は理解できない。


「総司・・・また、遊んでいたのか!!」


 呆れたように土方が言った。それを、軽く否定するように沖田が口を尖らせた。


「え~違いますよ。あの一座に挨拶しようと訪ねたところで、預かってきただけです。そう言えば、浪士組で護衛することになったんですね。」


「一座に聞いたのか?「もう行って来たの!!どんなだった?」」


 興奮して藤堂は、土方の声を遮った。それを、沖田は嗜める。沖田がそれをするのかと白空は喉をコロコロさせながら笑った。


「平助、興奮しすぎです。えーと、まだ荷物の整理をしていましたよ。だから、詳しいことは分からないですが、珍しい道具が大きいものから小さいものまで沢山ありました。あっ!そういえば、一座の長があとで近藤さんにお会いしたいとのことでした。」


 沖田は、付け足すように土方に伝えた。藤堂は気になると言わんばかり『うお~』っと声をあげながら、足踏みし、居てもたってもいられないという感じだった。


「近藤さんには伝えとく。」

「じゃ、白空。戻りましょうか。天城さんの治療もそろそろ終わりそうでしょうから。」

「総司!俺も行く!!」


 一座のことを考えていた藤堂だが、煌妃の話が出たとたんにハッとしたように自分も行くことを告げた。


「総司、天城の詳しい話は後で報告しろ。オレは近藤さんのところに居る。」

「分かりました。では平助、行きましょう。」

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