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紅の月 - 物語を紡ぐモノ -《 上弦の月 - 第一部 - 》  作者: ぼんぼり
第弐夜

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14

 歩きながら無意識に空を見上げると、一羽の鳥が悠々と飛んでいるのが見えた。


「あ、そう言えば、沖田さん、ここら辺で鷹を見ませんでしたか?」


 そう、昨夜、私の頭に突っ込んできた鳥だ。あれは、たぶん里から来た伝令の鷹だ。


「いいえ。見ていませんよ。」

「そう。」


 首に文が付いていたはずなんだけどなぁ。夜だったし、とり目にはきつかったんだ、きっと。都合のいいように解釈しながらそのうちまた来るだろうと簡単にあきらめた。


「ここには、やはり隊士としていることになるんでしょうか。」


 あまりにも不安そうに聞こえたのかもしれない。前を歩いていた沖田が足を止めて振り返った。


「だと思いますが、実際のところは土方さんに聞かないと分からないです。」

「そうですか。沖田さんはどうして「あっ!そうそう、預かっていた脇差し返しますね。それにしても、変わった形の刀ですね。」」


 なんかうまいことはぐらされた。天然なのかそうなのか分からない。こういう勘所は良いみたい。まぁ、それが沖田総司と言う人物なんだろうけど。


 ーーやっぱり気になる。


「預かっていた、ですか。まぁ、いいですけど。私が刀を使うには少し重すぎるので、速さを重視できる形にしたんです。自分はそんなに握力もないし、腕力もないから。」


 と答えつつも『没収されていたの間違えでは』と苦笑い。この国の言葉は色々と都合がいい。


「己のことをよく知っているんですね。だから、あんなに強いんですね。素晴らしいです。」

「そうですか?命をかけるのに力量を知らず、無謀なことはできません。それに、私は武士ではないので、勝てないと思ったらすぐに敵前逃亡しちゃいますよ。命をかける場所なんてそうやすやすと決めるものじゃない。そういう場所は、悔いが残らないときに決めるものです。」

「あはは、そうですね。本当に貴女は本当に興味深い。」

「そうですか?私にとっては、アナタ達の方が興味深いですけどね。」

「えっ?それは「あそこの部屋ですか?」」


 今度は煌妃の方から話を逸らす。興味があるのはホント。でも、特別な理由はない。ただ、人と言うつながりの中で全員が高みを目指そうとしている、その志の行方が気になるだけ。それは、子供が新しいものに興味を示すのと一緒。

 目の前の戸がガザっという音を立てて開くと、複数人の視線が煌妃へと一斉に向いた。


「お待たせしました。みんなお揃いですね。」


 なんとまぁ、そうそうたる人たちが勢ぞろいだこと。部屋にはいると、上座にがっしりとした男がえくぼを2つ作って、子供のような笑みをこぼして座っていた。その両隣には、土方と眼鏡をかけた優しそうな男が座っている。そして、両隣に並ぶように4人ほど座っていた。これは・・・真ん中は私の場所かな?生きてられるかな、私。


「おぉ~参ったな。」


 上座に座っている男が言った。


「女子みたいなヤツだな。」


 眼鏡をかけた男の隣に座っていた無精ひげを生やした男がぼそりとつぶやいた。


「原田さん!原田さん!」


 原田と呼ばれた男は、丈が高くいわゆる美男子だった。絶対、短気だ。突拍子もない偏見を抱きながら、煌妃は一人ずつ観察していた。一通り見終わるとゆっくり部屋の中に入り、真ん中に腰を下ろした。


「なんか、暑苦しいよね。」


 ポロっと想いが声で零れるも、そんなのは気にせず、これからのことにわくわくしながら口角をあげた。

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