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第5話 1週間が経過

 ガルフは領地経営をほぼほったらかしで、無我夢中で無限ダンジョンの攻略に当たった。

 リンデンバルク執事長が資材集め等を率先して指示してくれている。

 

 ミヤモトさんは畑作業。

 アキレスドンさんは鉱山の採掘。

 パトロシアさんは木材の伐採。

 アーザーさんはダンジョン攻略。

 ウィンダムさんは建築。


 5人はとても働いてくれていた。 

 ガルフがやっているのはモンスターを片端から倒して、素材をアイテムボックスに収納する事だった。


 ダークエルフ族の執事長。

 最強のメイドと呼ばれている女性。

 その2人に子供の頃からしごかれて、今のガルフはある。


 ガルフの強さの秘密は。


「俺は考えないんだよ」


 その発言に。


「それが、ガルフ様のよき所です」


「か、考えないのはどういう」


 アーザーが尋ねてくる。


「人は生き物を殺す時、殺して良いのだろうか? ダメなのだろうかと思案してしまうけど。俺は敵か味方を匂いや色や本能で察して殺す」


「さすがはガルフ様」


「それは、もはや達人の領域ではないでしょうか、僕ですらそこに到着していません。僕は知力や戦闘が上手いですが、そこまで狂人には慣れそうにない」


「どうだろう、アーザーさん、あなたは人間王として生きてこられた。これからは狂人王として生きて見ないかい」


「はは、ご冗談を」


「まぁ、冗談にしか過ぎないんだけどね、俺の戦い方を見ていると、きっと学べるはずだし、俺はアーザーさんの戦い方を学んでいるよ?」


 アーザーは頷き。


「そうですね、僕の力はエクスガリバーなんですよ」


「伝説の大剣ですよね」


「【スキル:エクスガリバー】来い」


 突如として、地面に魔法陣が生まれて。

 1本の大剣が地面からぬっと出現する。

 それを引っこ抜いたアーザーは笑うと。


「これが僕の相棒なんです。でもこのエクスガリバーは人を殺すと弱くなるんですよ」


「ならどうするんだい」


「殺さないようにするだけです。それが人間王の弱さですけど」


「その弱さを大事にしていこうか、アーザーさん、俺は頭が弱い。だからそこを大切にしているよ」


「その考え方はとても良い事だと思います。さてと、そろそろ。戻りましょうか」


「だな」


 1週間ぶりに無限ダンジョンから帰宅したガルフ達。

 まず3人の目に映ったのは、あらゆる建物が建設された領地だった。


 3階建ての冒険者ギルド。

 酒場、宿屋、武器屋、防具屋、道具屋、素材屋。

 風呂場、貯蔵庫、家等々。


 領地に必要な建物があらゆる場所に設立されており。

 地面は石材で舗装されており、歩きやすくなっていた。


 領主の屋敷に戻ると、執務室でリンデンバルク執事長が机に突っ伏して寝ていた。

 1人で1週間だけでも指示を飛ばしてくれていただけでも感謝しようと思ったり。


 ガルフは毛布をゆっくりとリンデンバルク執事長の背中に掛けてあげる。


「た、大変です。森の方に巨大な大樹がが」


 それは、ゼーニャメイド長だった。

 彼女の瞳孔が開きっぱなしになており。

 手であたふたと緊急事態だと教えてくれる。


「行ってみよう、アーザーさんは自由行動でお願いします」


「うむ」


 ガルフとゼーニャメイド長が走った先では、鬱蒼とした森が広がっている。

 動物達の鳴き声が不思議と辺りを支配していた。


 巨大な大樹は雲の上まで到達しており。

 草影色の葉っぱを生やしていた。


 草影色の葉っぱには朝露がついており。

 それが大地に降り注ぐと。虹のような光になってくる。


 森が癒されていた。

 それも、枯れた木々が草花が再び生えそろってき始めている。

 ウネリのような物で、木々の蔓が伸びたり、まるで森自体が生命活動をしているようだった。


「これは、ガルフ様ではございませんか、世界樹、これが世界樹なのですよ」

「パトロシアさん、これが世界樹なのですね」


「そうです。この世界樹の葉っぱは万病に効き、大きな傷にも効きます。どうか持って行ってください」


 パトロシアさんのエルフの細い手にはエメラルドグリーンに輝いている宝石のような葉っぱが数枚握られていた。

 

「あまり採りすぎると世界樹が機嫌を損ねます。1日5枚が限度でしょう」


「5枚でも助かりますよ、パトロシアさん休憩しましょう、目にくまが出来ています」


「この1週間、世界樹を育てる為に魔力を注ぎつくしました。少し疲れてきたので眠りに入ろうと思いますわ」


 パトロシアさんは世界樹に身を任せるようにゆったりと腰を下ろして眠りに入った。

 シルクのような煌びやかな衣服はとても輝いてみた。


「せ、世界樹の葉、これはとんでもない事になりますよ、ガルフ様」


「だな、文献に残ってるだけでも、伝説級の代物、そんなものが領地にあると知られては、いやすでに知られてるか、雲まで伸びる木々なんて世界樹ぐらいだから」


「そうですね」


「た、大変だああああああ」


 その声は先程まで領主の屋敷で眠り続けていたリンデンバルク執事長だった。


「領地の城門の所にジンネ・ギャロフ領主がやってきたああああ」


「はぁ、どうせ領地を明け渡せだろう」


「そ、それが、ガルフ様、落ち着いてくださいね、世界樹の樹の権利をよこせとだけ言ってきました。逆らうようなら侵略すると」


「そうですか、でもこっちには戦う術が……、いえありました」


 そうだった。ガルフの脳裏に5人の伝説級の人達がいた事をすっかり忘れていた。


「パトロシアさんは休ませてあげよう、ミヤモトさんとアーザーさんを呼んできてください」


「承知しました」


 リンデンバルク執事長が駆け足で走っていく後姿を見守り。

 ガルフは領地の城門へと向かった。

 その城門は朽ち果てていて、戦争になれば簡単に破壊される事は分かり切っていた。



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