第36話 和平条約提案されたんだが
とりあえずガルフは先回りをして、玉座に堂々と座っていた。
そこに案内された黒色の鎧姿の男性。
「我はギビンデルク帝国が7代将軍1人ガロンザバスと申すもの、帝王より伝える事がある」
「ぜひ伺いたいね」
「和平条約を結びたく、あなた1人で帝都に赴いて欲しい、ぜひとも妃候補も連れてきてくれとのことだ」
「無茶よ」
ゼーニャが耳元でささやく。
「いえ、妃候補は連れて行きません、俺1人で行きます」
「ふむ、よかろう」
「そもそも、あなた達は俺の配下をぼこぼこにしてくれたそうじゃないか」
「あの巨漢か?」
「そうですけど」
「ほう、少しは配下の命の心配もするんだな、豹変領主よ」
ゼーニャの目が険しくなっていく。
「狂戦士ゼーニャよ腹が立つか?」
ガロン団長は偉そうに告げると。
「悔しいならかかってこい、相手になろう、そもそも妃候補に守られる王とは情けないな」
「そうですか? 女は強いですからね」
ガルフはにこやかに告げる。
「ほう、心構えがあってよろしいが、1人で来るとはさぞや強さに自信がおわりと? 暗殺は考えなかったのかな?」
「いや、別に、怖いのは仲間が死ぬ事だからね」
「そうか」
「俺1人で行くとして後は俺でなんとかなるさ。仲間が国を守ってくれるからね、俺は自由に動けがた方が良い」
「ほう、面白いな」
ガロン団長が笑うと。
「では3日後に帝都にて待つ、早くこいよ、帝王は暇ではない」
そう言ってガロン騎士団長が9名の団員を引き連れていなくなった。
ゼーニャがそれを見送って地団駄を踏む。
「明らかに罠よ」
「でも行くしかないだろ? 和平だぞ、戦わないですむならそれに越したことはない」
「でもあなたが死んでしまっては何もかも」
「ゼーニャ、俺は2度死んでいるよ、1度は皆にバカにされて、2度はこのウィンドルク領地で、なぜかリサイクルガチャで助けられたけど。もう3度目は無いと思ってるけどありそうだけど、まぁなんとかなるさ」
「あなたが無能呼ばわりされてるのが気にくわない、あなたがただただ優しいだけなのに」
「そうかな、そもそも、俺が強くなろうと決意したのは相棒が殺されたからだけど」
「そうね、ギーヴの事は覚えてるわ」
ガルフはふと思い出す。3歳の頃に出来た親友ギーヴ。
ある傭兵団におもちゃにされて殺され、ダンジョンに突き落とされた。
ガルフはそれから修行に修行を重ねて。伝説を残してきたのだが。
「俺は剣を握ると豹変してしまう。まるでギーヴになってる感じなんだよ」
ギーヴ。彼は当時6歳だった。
彼の気象の荒さは尋常じゃなかった。
1人で大勢を相手にする程の力持ちだったのだから。
「じゃあ、俺は準備するから。リサイクルガチャ券を1枚でも多く獲得しておきたいんだよ」
「そうね、回数はいっぱいあった方が良いわ、もしもの時にね、チャンスがあれば」
ゼーニャが微笑むと。
後ろでごほんと2人の妃候補がじーっと見ている。
「賢者ナタリー聖女ジーラ、ゼーニャをよろしく頼むよ」
「もちろんですわ」
かくして、和平条約の為に。ガルフは各地を奔走しリサイクルしまくった結果。
ガチャ券が1000枚に達そうとしていた。
その後、ガルフはギビンデルク帝国へと1人旅立った。
★
流れ星が一筋落ちて行った。
あるダンジョンの最下層で何かが目覚めた。
かつて傭兵に蹂躙されて殺された少年が。
むくりと立ち上がった。
のんびりとのんびりと、のっそりとのっそりと。
それは死体だったのだから。
それを行った人物は神だった。
ガルフが作り出した神の墓場から条件を満たした神。
名前をアダムイブ。
彼はガルフの願いを叶える。
「君がギーヴだね、死体を探すのに苦労した」
「お、俺様は」
「ガルフが待ってるよ」
「俺様は夢を見ていた気がするんだよ、ガルフになっていたと言っても過言ではない」
「そうだね、君の一部がガルフに宿ってる、繋がってるのさ」
「俺様は」
「体を成長させておいた。君はゾンビだから、何度でも死ねる。このアダムイヴが生かす。それがガルフ様の願い」
「君は神だろう、それでも人間に従うのか」
「いや、神はガルフ様だ。なぜならガルフ様はリサイクルガチャスキルを持っているのだから」
「意味が」
「全てはリサイクルされるんだからさ、異世界だって」
「そうかそうだったのか」
「じゃあ、俺様は行くよ」
「このダンジョンの最下層から地上に出るのは苦労だぞ」
「それでもガルフが待ってるからさ」
「このアダムイヴも力を貸そう」
かくして、とあるダンジョンの最下層。
レベルにすると9999レベルのダンジョンの最下層攻略が開始される。
「今の君のレベルは1だ。これは異世界から来た来訪者が習得できる技術でね、レベル概念と呼ばれるんだよ」
「へぇ」
「モンスターを倒すと上がる。頑張ろう」
ギーヴの目の前に3つ頭のドラゴンが君臨している。
「あれを倒せそうかい?」
「やるしかないだろうさ」
ギーヴの手元に剣が召喚される。
「どうやら勇者の剣に選ばれたようだね」
「これが勇者の剣なのか」
「さぁ、ふるってごらん、勇者ギーヴ」
「おう、俺様が出来ない事はない、ガルフを通してガルフが死に物狂いで習得した剣術は伝わってるのだから!」
ギーヴが地面を疾駆し跳躍していた。




