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第35話 蛮人王カザロ負傷しちゃったんだけど

「アーザーごめんよー」

「いえ、こんな傷はパトロシアさんが作ってくれたエリクサーで何とかなりますから、ご安心ください」

「そうかい」


【緊急です。蛮人王カザロが帰還したのですが、妹が運んできてて、大怪我を負ってます】


「なんだってええ、今すぐ帰るよ」

 

 ゼーニャが世界樹のジュースの力で情報を伝えてくれた。

 世界樹の酒またはジュースを飲むと意思疎通が出来るらしい。

 なぜできるようになるかは理解不能だが。


「アーザーごめんよ、すぐに行かないといけないんだよ」


「すぐに向かってください、蛮人王カザロと言う人物をあまり知りませんが、何か掴んできたのでしょう、ギビンデルク帝国について」


「そうだね、行ってくるよ」


「で、大丈夫だった?」


「はや」


 ゼーニャが唖然と口を開いている。

 10秒前にゼーニャが連絡してくれて、ガルフは10秒で結構離れている領地まで走ってきたのだが。


 それは常人を超える速さだと言う事をガルフは自覚する事が出来ていなかった。


「こちらになります」


 病室に案内されると。

 蛮人王カザロの巨漢の姿がむごたらしく傷だらけであった。


「兄さん、どうか生きて」

 

 巨漢の妹とは思えない、顔の整った女性。

 小柄で茶髪で。ボブカットで。なんとなく可愛らしい。


 小さい女性だったのだが。


「私はルメロです。兄さんがお世話になったそうで、私は奴隷にされてたのですが、兄さんに助けられました」


「そうか、何があった」


「ギビンデルク帝国の7代将軍が兄さんをフルボッコにしました」


「そ、そうか、逆に生きていたのが奇跡だな」


「兄さんはこれでも最高ですからね」


「それで、なぜ狙われたんだ?」


「それが、ガルフ様の悪口を言っていたので兄さんが切れちゃってわざわざ7代将軍に切れるところも素敵です」


「そ、そうか、わざわざ俺の為に切れてくれのだな」


「はい! 兄さんは兄貴と呼んでるそうですが、ガルフ王は最強の漢だと」


「それは嬉しい事なんだが、エリクサーが効かないのか?」


「そうなんですよ」


 ゼーニャが腕組みして考えている。

 ジーラが付け足す。


「わたくしの光の目で見てみたのですが、ある種の呪いのようでして」


「なるほど、じゃあ、パトロシアさんの所に運ぶとするか、ちょっとどいてろ」


 ガルフは蛮人王カザロの体を背負うと。


「どうせ来るんだろ? 俺に抱き着いてろ」


「え、ええええええ」


 ルメロが真っ赤になりながらも、ガルフの体に抱き着く。

 ゼーニャとナタリーとジーラの目が険しくなるが気にしない。


「じゃ行ってくるよ」


 高速移動。

 少し時間がかかって30秒かかったが、バラガス領地に辿り着いた。

 そこは巨大な森が支配している。

 あの後世界樹がもう一本生えて、バラガス領地にも世界樹が生えている。


 領主の屋敷に辿り着くと。

 そこにいたのはパトロシアさんだった。


「事情は聞いてます。この机に横たえてください」


 蛮人王カザロを机に横たわすと、巨漢が邪魔をして机が小さく見えてしまう。


「ほう、これは猛毒の呪いですな、毒に呪いをかけるとはやる事が恐ろしい。エリクサー改良版でも試しますか、ちと痛いですがね」


 パトロシアさんは針を取り出すと、何かしらの袋のようなものに繋げる。


「これは点滴と呼ばれるものでね、異世界で使われていた治療方法なんですわよ、血液に直接エリクサー改良版を注入する必要がありそうなのよね」


 パトロシアさんがサディストティックな表情を浮かべると。 

 すぐにいつもの優しいエルフ女性の笑顔に戻り。

 

「これで大丈夫よ」


 蛮人王カザロの顔から紫のようなものが少しずつ無くなっていく。

 妹のルメロが涙を浮かべて笑っているが。


「さてと、事は深刻よ、この呪いを使った人物、確実に異世界人よ、それも伝説級のね」


「それってつまり」


「そうね、あなたと似たような力を持つものがいるってことね、異世界人を呼ぶ力持ちね、このパトロシア達を呼んだようにね、でもね、ミヤモトもそうだけど、この世界と関わった事がある人物しか呼ばれていなかった。この猛毒はもはやこの世界と関わっていないのよ新しい存在よ」


「それって不味いかい?」


「結構ね、さてと、うちにはやる事があるからね」

 

 そう言って、パトロシアさんがいなくなる。

 蛮人王カザロはすやすやと眠り続けている。


「兄さんの所にいてやってくれ、俺はガルフ王国に戻ってみるよ」


 ガルフが元ウィンドルク領地のガルフ王国に辿り着くと。

 そこは慌ただしい雰囲気になっていた。


 10名程の騎士団がいる。

 見た事もない服装、いや軽装備なのだろう。

 彼等は国旗を掲げている。

 それはギビンデルク帝国で。


【大変よ、ギビンデルク帝国の使者が来たわ】


 ゼーニャがとんでもない事を伝えてきた。


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