第3話 それぞれの資源
200人分の食料がある。
現在人口は5人が加わったので25人になっている。
「リンデンバルク執事長、問題は冒険者ギルドなんだけど、ノーム族のウィンダムさんに建設をお願いしようと思っているんだ」
場所は領主の屋敷だった。
リンデンバルク執事長は少し思案げになりながら。
「呼んでまいります」
しばらくして、リンデルバルク執事長に連れられて、小柄で蛮族のような衣装を相変わらず身に着けているウィンダムさんを連れてきた。
「冒険者ギルドですね、任せてください、3階建てにしようと思ってて、こんな図柄はどうです?」
ウィンダムさんは空間に立体構造の映像を映し出してくれた。
「すみませんねぇ、これはおいらのスキルで【空間方程式】というのです。これで設計して、資材があれば高速で組み立てる事が出来ます。資材なんですが、木材と石材さえあれば、あとはスキル【変換機能】を利用してなんとでもなりますよ」
「立体方程式と変換機能について教えてください」
「御意でございます。立体方程式はこう造れたら良いなという設計図を作りだす事が出来ます。さらにそこに資材を当てる事で、自動で建設されます。変換機能は木材を木材の系譜に変換出来たりします。石材だとダイヤモンドとかオリハルコンとか、まぁ量が変わってきますが」
「お、オリハルコンやダイヤモンドもですか」
「もちろんです。ああ、これを利用して金策って方法もありますが、資材が大量に消費されるので、まずは建物の建設を優先したほうが良いかと思います」
ウィンダムさんが立ち去ると、次に呼んでもらったのはドワーフ族のアキレスドンさん。
「お願いがあります。アキレスドンさん石材を集めて頂けないでしょうか」
「そのつもりじゃよ? 近くに鉱山があったのう、あそこにこもるとしよう【ゴレ製作】スキルを応用すれば、すぐに集まるのじゃ」
「【スキル:ゴレ製作】とはなんでしょうか」
「わしには【スキル:貯蔵庫】と言う物があってな、指輪に付与して、指輪を使用する事で貯蔵庫にしまってあるゴレを召喚する事が出来る。ざっと100体おってな、それを利用すれば、ちょちょいのちょいじゃて」
「では、よろしくお願いします」
次にやってきたのは、エルフ族のパトロシアさん。
「お願いがあります。パトロシアさん、エルフ族の人にお願いするのはぶしつけかもしれませんが、森から木々を伐採してきて欲しいのです」
「それは構いませんが、うちには世界樹を育てるという使命があります。それと併用なら良いでしょう」
「それと、うちにはスキル【風魔法】がありますので、伐採は簡単です」
さすがのガルフも風魔法については理解している。
「スキル【増殖】もありますので、切った木々を再び1日で生やす事が出来ます。木の実などを実らせる事も出来るので、食料には困らないでしょう」
「そ、そんな事が出来るんですね」
「では、仕事に行ってきます」
次に読んだのはミヤモトさんとアーザーさん。
「ミヤモトさん、冒険者ギルドは目途が立ちそうです。ただ。建てるまで暇だと思うので、畑仕事とか得意だったりしますでしょうか」
「ふ、俺に任せな、元々農民として過ごした事もあるくらいだ。問題は種だな」
「種なら、領主の屋敷の倉庫に大量にしまわれていると思います」
「ふ、助かる」
ミヤモトさんは恰好をつけながら立ち去って行った。
アーザーさん事少年がこちらをじっと見ている。
「アーザーさん、ダンジョン攻略の件なんですが」
「それなら、任せろと言いたいが」
「実は俺も行きたくてですね」
ガルフはにこやかに告げる。
ガルフの得意分野、それは戦闘。
ガルフの苦手分野、頭脳戦。
「それは良いが、領主が長期不在でも大丈夫なのか?」
「それなら、ご心配に及びません、この執事長に任せてください」
「あ、それなら、私も行くわよ」
突如割り込んできたのは、メイド長のゼーニャであった。
ゼーニャは胸を張って、2本の剣に触れていた。
「ぜ、ゼーニャも来るのか?」
「もちろんです。強くなったガルフ様の武勇を見張るのも私の仕事ですから」
「ゼーニャ、ガルフ様の身の安全、しかと頼むぞ」
「もちろんです。リンデンバルク執事長、あなたも迷いなく変な事をしないように」
「そんな事は当たり前も当然じゃないか」
ガルフ・ライクドは壁掛けに飾られている父親が持っていた剣を外すと。
腰に携えた。
左手には白銀の盾を装備し。
重装備ではなく、身動きの取れる軽装備を着用し始める。
アーザー少年はそれをじっと眺めていた。
彼の装備はほぼ服と言って良いほどだし。
ガチャ召喚した時に身に着けていた衣服のままだった。
そう言えば、服等の生産も考えないといけないなと思いつつも。
頭の中は炎のダンジョンと無限ダンジョンの事でいっぱいになってきている。