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6

俺の話は終わったが、理人はまだそうかなぁ? そうなのかな? と自問自答している。


ききわけのないヤツだな。


本当に番なんだとしたら、俺の方も《そう》だと感じるのが普通だ。

俺にはまったくそんな感覚もないし、理人はそこらへんにいる高校生と変わりなかった。


それとも何か? 

俺が死神してたから《ツガイのわからない男》になってしまっているとでも思っているんだろうか。


「俺先に風呂入ってもいいか?」


驚くべきことに、この集落には水道管がチキンと通っている。インフラはすべて神が整えてくれたらしいので、どこから水を引っ張ってきているのかという理論はわからないがとりあえずはありがたくご相伴に預かろう。


どこもかしこも砂だらけだ。

嫌になる。


「あ、どうぞお先に……」


理人はちら、とお風呂場がある場所に目を向けてから困ったように目を伏せた。眉は見事なハの字になっている。

心なしが先ほどよりも血色が良くなった、というか頬が赤くないか?


……こいつよもやいかがわしいことを考えてるのでは? という疑心暗鬼に陥った俺は、理人をぎ、と睨みつけた。


「覗くなよ! ぜーったい覗くなよ!!」


身体を拭くタオルを胸にかかえながら、俺は理人に怒鳴った。


「……それはアレですか? 世にいう《フリ》ってやつですか?」


「ちげーわ!!! 心の底からの言葉だよ!!」


俺は力いっぱい怒鳴った。そうしないとこいつの脳みそまで届かないのではないかと思ったからだ。


「……わかってますよぉ。いくら番、じゃなかった、あー、《気になるひと》のシャワーシーンでも覗きませんよ」


俺が番という言葉が出るのを嫌がる事をようやく理解したのか、理人は迷ってから別の言葉に起き変えた。


俺的には気になるひと、もぎりぎりアウトな感じだが、ここは妥協してやるべきだろう。


「汚いままで寝るなよ?」


「はい、ちゃんと起きてます」


キリッと留守番を言いつけられた子供のような顔をして理人が頷いた。


それにしても理人のこの敬語はどうにかならないのか。俺の方がだいぶん年上だとは思うが、なんだかやりにくい。




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