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而鉄篇  作者: 伊平 爐中火
第2章(前編)荒天
58/139

―史官、アイシャに尋ねる。テニニ鉱山の長屋、その奥の一棟にて―

いや、嬢ちゃん、うちの人が迷惑かけたね?

どうもね、昔からあんなんでね

すまないねぇ

何だい?あたしのぉ話もぉ聞くってかい?

嬢ちゃんも大変だねぇ?女だてらに、そんな畏まった格好してっからに

窮屈だろうによぉ

ここはね、こんなところだからね、どうせね、しょぉんもない爺ぃと婆ぁしかいなしね

なんだい?ダンゾ、あんたは黙ってな!

どうだい?もう少し楽な恰好に着替えてもいいんだよ?

そうかい?まあ、嬢ちゃんがそういうならあたしはいいよ、こういうんはね、てめぇで決めろてっえね

しかしねぇ、こんな婆ぁにね、話聞いたってぇ面白いモンは、まあ出てきやあしないよ

皇史編纂ってのも大変だねぇ、こんな田舎に来て

適当にね、セブ兄ぃらは忙しいかもしんないけど、他にもね、たんと話聞く人らもあったろうに、そんでね、仕上げたらよかったじゃあないか?えぇ?

そうもいかんてね、しょうがないね、嬢ちゃん根が真面目そうだしねぇ、そうもいかんてね、大変だね

まあね、あたしで良けりゃあ、何でも喋るよ

どうせね、暇してる婆ぁだからね、あたしゃあね、へっへっへ

そんなにかしこまっちゃあいけないよ、嬢ちゃん、ね?

あたしゃあ、そんなぁ大した人間じゃぁないよ?

あんまかしこまっちゃあ、相手も話せることも話せないからね、まあ、あたしらの流儀かもしらんけどね?

別にね、あたしらもね、皇帝陛下に御褒賞賜ろうってな、そんなんね、大層なね

まあ、成り行きさぁね、本当に

本当にそうとしか言いようがぁないね

別にあたしら大層な生まれでも無いしね

あん頃はね…

って、何さぁ、婆ぁに何喋らせようってんだい?嬢ちゃん!

嬢ちゃん、才能あるよぉ

年寄りに話を聞くってぇねぇ!へっへっへ

うちの子らより、よっぽど話でってえのがぁあるってんだ、ねぇ?ダンゾ?あんたぁ、聞いてるのかい?!

あんたね!

ねぇ、うちの子らは皆あんなんだよぉ

年寄りの戯言だってね

嬢ちゃんね、折角、だしねぇ

婆ぁの愚痴だがねぇ?聞いておくれよ、ね?

あぁ、ナナイの奴もね、そうだね、彼奴も偉くなってたね、そうだねぇ

彼奴もね、しょんない生まれだね、あたしらと同じね、でも偉くなったね、偉いもんだねぇ、えぇ?

そうだね、あんたね、本当にね、難儀なぁ仕事だぁね

あんた、そうだね、そういう意味ではねぇ、あたしの愚痴も聞いていっても、まあ罰はあたんないだろうよぉ…仕事だしね、

しょうがぁないね…本当に…

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