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秘書の女

7.秘書の女


労組からクラブ・オレンジへ回わり、生前の今川の女性に対するハラスメント行為がどこでも見受けられた。しかし、肝心の殺人に至るような、これはという女性については巡り合うことができなかった。今度は会社関係者への捜査だ。二人はこれまでの捜査でハラスメントが動機かもしれないという疑いを持ちつつ、次は会社関係の女性への聞き取りに向かった。 

「蝶々さん、足利の関係者で今川に恨みを持つ人物、特に、女性でそのような人物がいないか見つけ出さないと。」と織田が斎藤に言う。「そうね、右近さん。労働組合やクラブ・オレンジで聞いた話のように、彼は女性の敵だから、きっと何人も泣かせていると想像できる。ただ、殺すまでの動機をもった人がいるかどうかですね。」「もし、会社の女性の中にいなければまた社外の女性に戻る。ホステスなど水商売の女性、それでもいなければ、更にまた行きずり女性に戻ってしまう。しかし、会社の女性で誰が被害にあっていたかを探るのは大変難しそうね。会社の中だと表面化していないと思うわ。皆、泣き寝入りしているはずよ。とりあえず誰から当たりましょうか?」と斎藤が言うと織田が答えた。「そうだな、先日の今川担当の秘書の山口さやかから始めてみてはどうか。その後、秘書課の女性全員を加えて。そうだ、畠山社長にも聴取の申し入れをしなければならないな。秘書課は役員である今川氏といつも接点がありそうだから。女性にこんな話を聞くのは苦手だから、蝶々さんからしっかり聞いてください。」


 こうして、二人が足利本社に到着した。今回は玄関でなく、少し離れた北門から入るように山口さやかから指示されており、そのとおり門をくぐるとすでに山口秘書が待っていた。足利本社社屋には、正面玄関のエントランスの他に、トラックなどの業務用車が通る通用門としての北門がある。事件の翌日、両刑事は彼女に会っていたので彼女が立っていることがすぐに分かった。すらっとしたスリムで長身の女性だ。わざわざ北門を指定して捜査員を入れたのは、まだまだ連日のようにマスコミが足利本社に押しかけ、取材を要求しているからだ。たびたび警察関係者が玄関から出入りするのを撮影されニュースに流されるのを避けるための彼女なりの配慮が働いたのだ。彼女は機転が利く、スマートな女性だ。現在30才、入社してすぐ人事部に配属された。6年間の人事部勤務で採用や社員の教育を担当しその後、秘書課に移った。今年で秘書経験2年、今川の担当になって丁度1年だ。

織田が「先日はありがとうございました。」と声を掛けると山口はこちらにどうぞと左手にある事務棟入口から2階会議室へ二人を案内した。席に着くなり山口から「何か。わかりましたか?」と聞かれ、斎藤が答えた。「まだ捜査は始まったばかりですから。それにしてもマスコミが熱心で大変ですね。」「報道機関は興味本位に事件を見ています。何を書かれるかわかりません。専務が亡くなり、一番心配しているのは従業員です。」織田が斎藤との打合せどおりに聞いた。「早速ですが、秘書課には女性は何人おられますか?まず山口さんから話を伺い、その後、他の方にもお話を伺いたいと思います。」「私を含めて本社には3人います。他の工場や東京、大阪支店にもそれぞれ数名おり、秘書課全体では7名です。」「それでは本日は本社にいらっしゃる3名の方にそれぞれお話することはできますか?」と織田が面会を頼む。「3人とも出社しており可能だと思います。それでしたらまず先に課長の近藤に連絡して手配しておきます。しばらくお待ちください。」と山口が席をはずした。

「蝶々さん、会社もマスコミ対応で大変ですね。毎日のように会社に押しかけるなんて。」と織田が言うと、「ニュースと言うより、ワイドショーなんかで連日のようにやっている。殺害現場が現場だけに。大企業の専務がホテルで殺害されたということだけ大騒ぎしている。昨日、私もテレビを見ていました。現場が桶狭間という場所で被害者の名前が今川だから、ことさら桶狭間の戦いと関連づけて報道するレポーターもいました。困ったものです。」と斎藤がテレビ番組の感想を述べた。「それだと桶狭間で今川義元を打ち取ったのは信長だから、殺人の実行犯は織田ということになる。とんでもないレポーターだ。」と織田が憤慨した。

そうこうして二人が話しているうちに山口秘書が戻ってきた。「近藤課長ともう一人、木下というものが後で来ます。」と次のヒアリング対象者を予定してくれた。「それでは山口さんから始めましょう。あなたは今川専務担当の秘書と伺っています。先日もお伺いした今川専務の行動の確認からです。あなたも専務も3月10日の当日はテレワークだった。従って専務には会っていない。朝、当日のスケジュール確認のためメールを送り、今川専務から『了解しました』との返信メールを受けている。この日の今川さんのスケジュールは、前日遅くまで労働組合三役と飲み会があったので、午前中は特にスケジュールを入れていなかった。午後1時から2時まで人事部と打合せをオンラインで行っていただけと聞いていましたが間違いないですか。」「間違いありません。」と山口は答えた。

「それではあなたはその日はテレワークということでずっと自宅にいたということですね。」「はいそうです。」「在宅での勤務時間は何時から何時までで、その後、夜はどうしていましたか。」「テレワークの場合は、定時出社・定時退社と同じ扱いです。したがって8時半から夕方5時半までの勤務時間です。途中12時から1時までの1時間はお昼休みです。」と答え、続けて、「午前は専務から頼まれた資料作成などをしていました。午後は、翌日、翌々日の専務のスケジュール調整をやり、夕方の4時から5時までは人事部主催のオンライン教育で『DXと業務改革』」というのを受けていました。」と答えた。斎藤が「DXというのは何ですか?」と聞いた。「デジタルトランスフォーメーションの略で、業務をデジタル化してビッグデータとして保存することで業績分析や業務の簡素化、また将来予測など出来るようにすることです。今、企業で流行っています。」と山口が説明した。「警察はそんな取組は何にもしていない。企業はすごいですね。」と織田が感心した。

斎藤が質問を続けた。「その日、夜はお出かけになりましたか?」「6時頃、近くのスーパーに食料品を買いに行き、帰って7時頃自炊の食事をすませて、そのまま自宅にいました。」と答えた。「証明できる人はいますか?」と聞かれ、「ひとり暮らしですから証明してくれる人はいません。ただ、買い物した時のスーパーの領収証はあると思います。」と言った。「ところで、山口さんはどこにお住まいですか?」と聞かれると「名古屋市内です。JR金山駅近くのアパートです。そこから電車で会社まで通勤しています。」と答えた。

次に織田が話題を変えて、「専務の車が会社に駐車してありましたが、そのことは知っていましたか?」と聞く。「知りませんでした。前にもお話しましたが専務は終日在宅と思っていました。車で会社へ来ていたとは知りませんでした。」と答えた。「山口さんは専務の車にはよく乗られますか?」と織田が聞く。「よくではないですが、時々乗ります。専務が本社から刈谷工場等へ出張されるときなど時々、秘書としてお伴でついていくことがあります。専務が運転され、私は助手席に乗せてもらいます。」と答えた。

今度は斎藤が聞いた。「専務が行く、名古屋のフランス料理店を知りませんか?」少し考えて、「そうですね。専務が会食されるところは決まった所です。私が予約してお店をとることもありますし、専務が自分で予約されることもあります。どちらも会食した後、しばらくして会社に請求書が来ます。私が支払いの処理をするので全部わかります。そうでない場合は、相手先に出してもらう場合でしょう。それでも、たいがいはどこで誰と食事するかは専務から聞いています。お店の名前だったですね、少しお待ちください。」と持参したノートパソコンを見て、「フランス料理ですね。ボルドー、エトワールドパリ、村木、モンサンミッシェルの4つくらいです。でも最近はあまり行っていないと思います。緊急事態宣言で休業しているお店が多いと聞いています。」と言う。斎藤が「あと、専務がよくいく、クラブ、スナックはどうでしょうか?」と聞く。「たくさんありますから。あとでお知らせします。」と答えた。「できれば直近、3カ月くらい行ったお店をすべて教えてください。」と頼むと「わかりました。リストにして後日、お渡しします。」と快く答えた。

山口さやかが退出すると斎藤が織田の顔を見て、「右近さん、いったいいくらの会社のお金を使って飲食しているのでしょう?大企業の役員はこれくらいは普通ですか?」「コロナで今年は少ないだろうが、月に数百万、年間数千万になるかもしれないね。」と織田が言う。「そのうち大部分が、組合対策費という名目で自分の遊興費。本当に業務に必要な交際費と言えますか?」と斎藤が憤慨して言った。「本人にとっては組合と飲むのも仕事と思っているから、部外者が文句を言っても仕方がないよ。会社も認めているので。」と織田も呆れながら言い合った。

 

しばらくして、木下めぐみ(きのした・めぐみ)が入ってきた。彼女は現在、畠山社長付きの秘書だ。入社して総務部に配属されその後、秘書課で7年を経験するベテラン秘書だ。最初の1年は当時の足利兼満社長の秘書をやり、畠山が社長昇格するとそのまま、社長秘書を引き継いだ。2代の社長を担当しているから信任は厚いのだろう。

「木下さんは畠山社長担当の秘書ということですが、今川専務については、最近何か変わったことはなかったですか?」と斎藤が聞く。「特に変わった様子はありませんでした。」「当日は出社でしたか、それともテレワークですか?」と山口と同じことを聞く。「その日は山口さんがテレワークでしたので私と課長の近藤が出社していました。秘書課ではだいたい、1人がテレワークで2名が出社するシフトをとっています。」と説明した。「会社には何時までいましたか?」「畠山から久しぶりに食事に行こうと誘われていたので5時半に社長と一緒に会社を出ました。」と答えた。「社長の車に乗って、市内の和食のお店へ行きました。社長に聞いてもらえばわかると思います。」と続けた。「それでは何時に食事を終わり帰宅されましたか。それともその後どこかへ行かれましたか。皆さんにお伺いしていることです。」と聞かれ、木下は「アリバイですね。何かお疑いかもしれませんが、社長とは時々ご苦労様会というか、食事に誘っていただいていました。秘書全員とか、社長室はじめ他の部署のメンバーを入れてのことも多かったのですが、緊急事態宣言も出ていましたので大勢での食事は難しく、この日は2人だけでした。」と疑念を払うように言った。「食事だけです。7時過ぎには社長も私も帰りました。社長の車で送ってもらいましたので運転手も知っています。」と続けて答えた。織田が木下に最後に確認した。「畠山社長と7時過ぎまで一緒だったのですね。」これで畠山社長と木下秘書は犯行時間にアリバイがあることになった。


 最後に、近藤奈央子こんどう・なおこ秘書課長だ。彼女は48才。東京の有名女子大を卒業し、社内では英語が堪能で才女だと噂されている。すでに、結婚し中学生の息子がいる。夫は別の会社に勤めている。

 「近藤課長、本日は秘書課の皆さんにご協力いただき、ありがとうございます。」と斎藤がお礼を述べる。「何かわかりましたか。早く犯人が捕まるといいと思っています。」と近藤が答えた。「皆さんに聞いていますが、今川専務に最近、何か変わったことはありませんでしたか?また当日の近藤さんのスケジュールを教えてください。」と斎藤が聞く。「特に変わった点は感じられませんでした。私は朝から出社で夕方6時過ぎまで会社におりました。5時半に社長をお見送りしています。その後、6時過ぎに帰宅しました。」「社長を見送ったと言われましたが社長は木下さんといっしょでしたか?」と斎藤が木下が言ったことの確認の質問をした。「はい。木下と一緒に食事に行くことは承知しており、社長の車で行くとのことで見送りました。」「失礼ですが社長さんとその秘書が二人で食事に行くことはよくあるのですか?」と斎藤に聞かれ、「社長の秘書に対する気遣いだと思います。前は5、6人で行くことが多かったのですが、今は食事は少人数でと言われているので。」と答えた。今度は織田が聞く。「ずばり伺います。今川専務ですが、付き合っている女性にこころあたりはありませんか?」近藤が「社内の女性のことですか?」と聞き返した。「社内でも社外でも結構です。そういう女性はいましたか?」と織田が聞き直す。「専務は女性には皆に愛想よく、好かれていたと思います。恋愛感情ということでなく一般的にですが。ですから付き合っていた人はいたかもしれません。ただ、食事に行ったり、ゴルフをしたりといった程度だと思います。今回の様に二人でホテルに行くというのは信じられません。たとえ、行ったとしても社内ではなく、社外のどこかの人ではないかと思います。」と本音で思ったとおりを答えた。「ありがとうございます。畠山社長さんにもお話をお伺いしたいのですが。もちろん、お忙しいでしょうから後日でも結構です。」と織田が社長との面会を求めた。「本日、畠山は会社におります。少しお待ちください。確認します。」と言って近藤は出ていった。

数分後、近藤が戻ってきて「今からでもいいと言っています。」と言って二人を別の部屋に案内する。

二人は本社2階の役員応接室に通された。天井には大きなシャンデリア、壁にはシャガールの絵がかかり、机には大理石が埋めこまれている。アンモナイトの化石のようなものも目に入った。脇には大きなモニターがあり、海外の拠点ともつながって時々会議をしているのだろう。椅子もレザー張りで座り心地がよい。斎藤が「右近さん、こんなお部屋は入ったことないわ。素晴らしく豪華なお部屋ねえ。まるでフランスのベルサイユ宮殿から一部屋持ってきたみたい。」と部屋のあちこちを見まわして言った。「そうだね。足利は儲かっているからこれくらい不思議はない。特にここは社長専用の応接室だろう。僕たちはこんな豪華な部屋では落ち着いて仕事できないね。」と小さな声で話していると畠山義忠はたけやま・よしただ社長がノックしたので話を止めた。

畠山が入ってくると織田が「畠山社長、お忙しいところ急に申し訳ありません。いま、秘書の皆さんに順にお話を伺いました。捜査協力していただきありがとうございます。」とお礼を言う。「いえ、捜査協力は当然です。それで何か分かりましたか?」と畠山が聞いた。「まだ捜査が始まったばかりですから。今回の事件では社長さんとしても大変ですね。専務を亡くした上に、マスコミが大騒ぎしているから。」と織田が言う。「こんなことが起きるんですね、信じられません。今川とは同期入社ということもあり、いつも会社のことを議論し、いろいろとやってきた仲です。彼のことは何でも知っていると思っていましたが残念です。彼を失うことは会社にとって大きな損失です。これから彼の穴をどう埋めたらよいか考えていますが、なかなかどうしてよいか考えがまとまりません。」と困っている様子で話した。「そうですか、そんな折に真に申し訳ないですが専務に最近、何か変わった様子はなかったですか?」と織田が尋ねた。「これといって思い当たることはありません。春闘も無事終わり、コロナ禍で会社の業績をどう維持するか、二人で考えていた矢先です。」織田が先ほど、木下、近藤の両秘書から聞いたことを確認のために同じことを聞いた。「社長は当日の晩、秘書の木下さんと一緒だったとか?」「いや、まあ、たまには旨いものでも食べさせてやってと思って。日頃の感謝の気持ちですよ。」といきなり秘書との食事のことを聞かれて恥ずかしそうに答えた。「そのまま、食事が終わってご自宅に帰られましたか?」「そのとおりです。8時くらいには帰宅していました。事件を聞いたのは翌日、お昼頃です。連絡いただきましたので。その時はまさか、別人ではと祈っていたのですが。」「ところで今川専務の女性関係はどうでしたか?」と織田が核心つく。「皆もいろいろ話していると思いますので、正直に言って、酒も女も好きでしたよ。一緒に飲みに行っても冗談か本気かよくわかりませんが私の前でも女性にゴルフを教えようとか、今度旨いものを食べに行こうとかよく言っていました。実際、彼について行った女性はいるかもしれません。私も彼には、ほどほどにしておけと言ったこともあります。ただ、殺されるほどの恨みをかった女性がいるとは思われませんが。」と社長から見た今川の日頃の様子を述べた。「現場のラブホテルは知っていますか?」と織田が聞く。「あの辺は昔からラブホテル街でして、この辺の人は皆、知っているんじゃないかなあ。でも何て言いましたかあのホテルは?」と聞くと、織田が「ムーンライトです。」と答える。「そうそう、名前までは知りませんが、わが社の若いカップルも時々行っているかもしれませんね。そんなところで鉢合わせしらた大変なのに、今川君もよく行ったものです。」と少し笑って答えた。「ところで、社長は今川さんのご家族はご存知ですか?」と聞かれ、「よく知っています。奥さんは佳子さんと言ってわが社の社員でした。私は二人の結婚式にも出ています。もちろん私の方の結婚式にも彼を呼びました。奥さんは結婚後しばらくして主婦に専念するということで会社を辞めました。残念ながら子供には恵まれず。現在も二人暮らしのままです。」と言う。話題が今川の家庭事情になり、斎藤が聞いた。「夫婦の間はどうだったんでしょうか?二人きりですと仲が良かったのではと思うのですが。」「最近は佳子さんにも会っていないのでよくわかりません。今川にはお金はたっぷりあるんだからどこか旅行にでも連れて行ってはと話をしていました。最近の夫婦仲については、彼も何も言っていませんでした。」今度は織田が聞く。「仕事上のトラブルはありませんか?」「彼は人事労務をずっとやって専務にもなった男です。労働組合ともよくやっていたのでトラブルというトラブルは聞いたことはありません。」「それではもう一度、聞きますが女性関係でのトラブルはどうでしたか?」と斎藤が聞く。「彼からそんな話は聞いていません。初めに言ったように、女好きでしたから、私の知らないところでトラブルがあったかもしれませんが。週刊誌もそれを面白おかしく書いているようです。根拠のないことを書かれて会社にとっては大変迷惑なことです。」最後に織田が頼んだ。「今川専務がよく行っていた、食事をするお店とグラブ、スナックなどわかりましたら教えてください。」「了解しました。後日、提出させます。」と快く引き受けた。

 

織田と斎藤は畠山社長との面会を終え、足利製作所をあとにした。警察車両のなかで、斎藤が運転中の織田に話しかけた。「右近さん、今川専務が相当な女好きということはわかったけれど、逃走女性が足利関係者かどうかは、今日のところまだわからないわ。」織田が言った。「奥様である可能性は?と少し疑ったよ。社長の話だと夫婦間のことは知らないと言っていたが、知っていて話さなかったようにも聞こえたよ。暗に疎遠であるように言っているように僕には聞こえたが。不仲であり離婚を考えていたが離婚に応じないとか。今川氏はメンツもあるだろうから離婚を拒否していたということもあるかもしれない。」更に続けた。「今川氏には気の毒だが夫婦間に子供が出来ず、外で女遊びをしている。まるで太閤秀吉によく似ていると思ったよ。秀吉が種無しだったと言われているが今川氏も同じかも。」と言う。斎藤がこれに反対した。「夫婦でわざわざラブホへ行きますか?殺すつもりならそんな面倒なことしませんよ。」「普通ならそうだ。普通そう思うからわざわざ夫婦でラブホに行ったのかもしれない?別の女の仕業に見せかけるため。」と疑念を述べた。「それなら奥さんからホテルに誘ったことになる。おかしいわ。それに直前にフランス料理を食べるのもおかしいと思う。」「そうかな。夫婦で食事をしてお酒を飲んだからタクシーで行った。と考えればおかしくない。奥様の夫が急に家を出て行ったという証言も信用していいものか。まあ、現段階では奥様も可能性として完全には捨てきれない。」と織田が言った。


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