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夏帆のかほり  作者: foreside
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かほりから始まる恋の話

物心ついた時から僕は目が見えない。

それは生まれつきで、先天盲というらしい。

だから僕は"見る"ことができない。

そもそも"見る"と言う行為が何を意味するのかが、僕にはいまいちピンとこない。


しばしば、「目が見えない人の視界には何が広がっているの?」と問われるが、僕は決まってこう返す。

「○○は自分の後ろの世界を意識したことがあるかい?後ろに目がない人間はね、背後の世界なんて意識したことがないんだ。それと同じだよ」

相手の表情こそ見ることができないが、皆揃って困り果てた表情を浮かべた様子で言葉に詰まる。


なんで相手の様子がわかるかって?


僕にだって"見える"んだ。

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