表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

いざこざと幼馴染み視点

後半から幼馴染み視点です。

おかしいと思った箇所、気になる箇所があった場合は、教えてもらえるとありがたいです。

 

 俺の目の前に差し出されたスマホの画面には、俺と杏奈さんが二人で歩いている写真があった。でも、これがばれたからといって、なんで俺がこんな嫌がらせを受けなきゃいけないんだ?


「これはお前と白波先輩だろ!?」

「その写真は確かに俺と杏奈さんだけど、それが?」

「杏奈さん!?テメェ!なんでお前と白波先輩が休日に一緒に出掛けてるのか、聞いてるんだ」


 休日に一緒に出掛けてはいけないのだろうか?大体それの写真は盗撮ではないか?訴えれば勝てるだろうか?


「なんでって、呼び出されたからだよ。それとその写真はなに?」

「あ?この写真は知り合いが撮ったんだよ。それを教えてもらった」

「そう。で、俺はなんでこんな嫌がらせを受けなきゃならないわけ?」

「ハッ、そりゃあお前が白波先輩と二人で出掛けてるからだよ」


 意味が分からない。誰かと出掛けてることが悪いのだろうか?杏奈さんと出掛けるのに許可がいるのだろうか?


「なんで杏奈さんと出掛けたら嫌がらせを受けるんだ?と聞いてるんだが」

「それはお前が白波先輩に近づいたからだ」

「はぁ、理由になってないんだが。……もしかして、あんたが杏奈さんの事を好きだから怒ってるの?」


 それくらいしか理由が思い浮かばない。


「あぁ、そうだ。俺は白波先輩が好きなんだ。だからわざわざ同じ高校に入ったんだ」


 やっぱりそうか。ここに入るために勉強したんだろうな。それにしても、杏奈さんは追っかけて来る人がいるほどの人気らしい。


「あんたが杏奈さんを好きなのは分かったけど、それが嫌がらせをしていい理由にはならないだろ」

「あぁ!?うるせぇよ。ちょっと顔がいいくらいで調子に乗るなよ!」


 別に調子に乗ってない。それにしてもこの人は頭に血がのぼって、なに言っても聞かないな。よくこの高校に入学できたもんだ。


「別に俺が杏奈さんと出掛けても、問題はないだろ。今すぐそこをどいてほしいんだけど」

「あんま舐めんなよ!」


 俺は、そう言って殴りかかってきた金髪の足を払い胸を押すと、金髪ヤンキーは床にしりもちをついた。


 恥ずかしさからか、怒りからか顔を真っ赤にして俺を睨み付けてくる。俺はそれを無視して床にちらばった教科書やノートを拾う。


「さすがに、殴るのはどうかと思うよ。あんたのわがままに付き合ってる暇はないから」

「――ッ」


 周りを見渡しても誰もがただ遠巻きに、巻き込まれないように静かに成り行きを見ているだけだった。何回目だろうか?こんな目に会うのは。俺は拾った教科書やノートをカバンにいれる。そのカバンを肩にかける。


「知らなかったんだろうけど、俺と杏奈さんは従兄弟だ。」

「え!?」

「これでも関わるなって言う?また殴り掛かってくる?」

「えっ、いや……」


 強い口調になってしまった。でも、俺にだってイラッとする事くらいある。だから許してほしい。


「まぁ、気にしなくていいよ。こういう事には慣れてる」

「…………」


 フォローしたつもりだったが、金髪ヤンキーは無言で下を向くばかりだった。周りの皆も無言のままだった。


 はぁ、とため息をついて俺は教室の扉に向けて歩く。俺が開く前にガラッと扉が開いた。


「おっ、れいと。なんでカバン持ってるの?……え!?なんかあったの?」


 涼真もこの教室の雰囲気に気付いたのか、不安そうな顔で俺に聞いてくる。


「大した事じゃないよ。俺はこれから早退するから、またね。涼真」

「お、おう。じゃあな」


 俺は教室を出る。やっぱり俺は、高校でも楽しいと思える生活は出来ないのだろうか?


 ☆☆☆☆☆☆☆☆


 玲翔がいなくなった後の教室は、異様な空気だった。涼真が近くにいる生徒になにがあったのかを聞く。事情を理解した涼真は、いまだ床に尻をつき、下を向いている金髪の男子生徒の方に歩く。


「おい、お前は自分の勝手でれいとを傷つけたんだぞ。れいとはただ、従兄弟として白波先輩に高校生活はどうか話してただけだ。」

「…………」

「従兄弟だってことを知らなかったのかもしれないけど、それにしたってこんな事していい理由にはならないだろ!」

「…………」


 金髪の男子生徒は無言のまま、うつむいているだけだった。普通はここまで怒らないのかもしれない。でも、涼真はクラスの全員が驚くほどにキレていた。それは涼真が玲翔の過去を知っているからだ。


「……もういい、これからはれいとに近づくな」

「…………」


 金髪の男子生徒は、無言のまま取り巻きと一緒に教室を出ていった。クラスにいた生徒達は、普段の姿からは想像がつかないほど怒っていた涼真と、教室を出ていく金髪の男子生徒を無言で見ていた。


「なんで皆、なにも言わなかったんだよ……」


 その言葉に誰も返す事ができなかった。昼休み終了を知らせるチャイムが鳴る。気まずい空気のまま、午後の授業が始まった――


 ☆☆☆☆☆☆☆☆


 私には小さい頃から仲のいい男の子がいた。幼馴染みというのだろう。私にとって、彼は特別な存在だった。これからもずっと一緒にいられると思っていた。


 でも、それは叶わなかった――


 小学生の時、彼はクラスからひどいいじめを受けていた。そのいじめは小学生がやる可愛いものでは無かった。


 いじめ以外にも、不幸が連続して彼の身を襲った。彼は少しずつ、けれど確実に傷ついていき壊れていった。そしてついには死にかけた。


 私が彼が死にかけたと知らされた時には、彼とはすでに会えなくなっていた。


 私は泣いた。身体中の水分が無くなるのではないかというほど泣いた。何日も何日も泣いた。もう会えないのかと、もう彼の隣を歩けないのかと。そして涙は枯れた。


 泣き終えた私は自分をせめた。あの時私だけでも彼を助けていたら、少しは変わっただろう。彼が私の前からいなくなる事は無かっただろう。



 そして私は決心した。もう一度彼と会う。そしてまずは謝るのだ。あの時助けられなくてごめんと。そしてもう一度、隣にいさせてほしいとお願いするんだ。拒否されるかもしれない、許してもらえないかもしれない。けれど私はもう一度彼とやり直したいから。


 そして、彼と再会できるチャンスがきた。彼のお父さんから、彼が聖蘭高校に入学する事を聞いた。私は必死に勉強した。彼ともう一度会えると思うと、それだけでやる気が出てきた。


 そして私は聖蘭高校に入学した。クラスが書かれている紙を見て、私は驚くと同時に大喜びした。なぜなら彼と同じクラスだったのだから。


 入学式が終わり、私は期待を込めて2組の扉を開けた。でも彼はまだいなかった。自分の席に座り、扉の方をチラチラと見る。そしてガラッと音がして扉が開いた。私はそっちをガン見した。最初は茶髪の男子生徒が入ってきた、そしてそれに続くようにもう一人入ってきた。


 昔とは大分変わっていた。でも私は見た瞬間にその人が誰なのか分かった。やっと会えたのだ。


 私の幼馴染みの月城 玲翔に――――




面白かった、続きが気になると思った方はぜひ、評価やブックマークお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] もう幼馴染からの接触はいらないんじゃないですか? 助けて欲しかったのは過去であって今じゃないし 歪んである意味割り切って生きているのに、自分の都合で波風立てようって凄い迷惑そう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ