親交会
物語が少し動きだします。
おかしいと思った箇所、気になる箇所があった場合は教えてもらえるとありがたいです。
「「イエーイ!」」
今俺たちはカラオケにいる。約半分の24人が参加した。やっぱりこういうテンションの集まりは、少し苦手だ。
皆がテンションアゲアゲでいるなか、俺は歌も歌わずにパフェを食べている。甘党なのは遺伝だと思う。
「れいと、お前歌わないの?」
「やっぱこういう雰囲気はなんか合わないや。涼真は歌った?」
「俺は歌うよりも、盛り上げるほうが好きだからな」
「そう」
涼真と二人で何度かカラオケに行ったことがあるが、このチャライケメンは歌まで上手い。俺も二人ならテンションを上げて歌える。
「ねぇねぇ月城君、バスケ部入るの?わたしマネージャーやろうと思ってるんだけど」
突然、陽 キャラ子さんが話かけてきた。名前は分からない。小林とかだろうか?
「まだ決めてないけど、バスケ部には入らないかな」
「えっ!?そうなの?じゃあバスケ部のマネージャーやめようかなー」
「なんで?」
「えーぇ、それは月城君がいないからだよー」
俺がバスケ部に入るか入らないかで、この陽 キャラ子さんの入部が決まるらしい。責任重大だな、俺の決断。
「おっと、れいとに色目は使わせない。この涼真センサーに引っ掛からないと判断したら、近付く事を許可しよう」
「は?なんで舞阪君の許可がいるわけ?」
「それは俺が親友だから」
涼真は親友を何故か強調した。そんなにアピールしなくても、俺は涼真と一緒にいるのに。
何となーく水瀬さんの方を見る。そしたら目があった。そして朝のように少し頬を赤くして睨まれた。俺が何かしただろうか?
過去の行いを思い出していたら、ブルッと携帯が震えた。メッセージを開く。内容を読んでから俺は荷物をまとめて立ち上がる。
「ごめん、俺急用できたから帰るね」
「「えっ!?」」
途中で帰って雰囲気を悪くしてしまわないか心配だが、行かないわけにはいかなかった。
「わかった。また明日な」
涼真は事情をなんとなく分かっているのだろう。まぁ、この中で知っているとしたら、涼真か水瀬さんくらいだろう。
「じゃあね、また明日」
それだけ言って俺はカラオケボックスからでた。それから俺は少し駆け足で病院に向かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
玲翔が帰った後のカラオケボックスの中は、皆がポカンとしていた。
「えっ、何?そんな大事な用なの?」
「けっこう急いでたよねー」
「あー、もう少し話たかったのにー」
「あたしなんて話してないよ!?」
そんな会話を皆でするなか、水瀬はひとり落ち込んでいた。
「はぁ、だめだった」
「もー、なんであんな態度とっちゃうかなー」
「だっ、だって」
「麗奈ちゃんて、いつもクールなのにこういう男の人関係になるとダメなんだね」
「椿までそんな事言わないでよ」
二人からダメ出しを受け、水瀬はさらに落ち込んだ。落ち込んでいる理由はそれ以外にもあった。
「それにしても玲翔君はモテるねー」
「そうだね、さっきも女の子から言い寄られてたみたいだし」
このままじゃ昔みたいに仲良くできない。絶対に明日はごめんなさいって謝ってみせる。と一人で反省していた。
そんな事を水瀬が決心している中、涼真一人だけが少し心配そうに扉を見つめていた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
高校入学から二週間。クラスの雰囲気やカーストなどが大体決まってきた。俺はというと、ほとんどの生徒とは挨拶を交わす程度の仲にしかなっていない。基本涼真といる。
なにも問題のない普通の二週間だった。おかしいことといったら、水瀬さんから視線を感じて目をあわせると睨まれるという事が度々あった。一度過去の行いを徹底的に見直してみよう。
そんな事を考えながら俺は突っ立っている。ただ突っ立っているわけじゃない。待ち合わせをしている人がいるのだ。――休日に待ち合わせってデートですか?リア充死ね!と聞こえてきそうだが、これはデートじゃないので殺さないでほしい。
「ごめーん、待った?」
手をふりながらこっちに近づいてくる女性が俺の待っていた人だ。ボブカットのアッシュグレーの髪を揺らしながら走ってくるこの人の名前は“白波 杏奈”さん、俺と同じ聖蘭高校の二年生で、学校では美人で有名だ。俺は知らないが、ものすごい人気ぶりらしい。
「いえ、全然」
「そっか、じゃ行こっか!」
そう言うと、杏奈さんは俺の右腕に自分の腕を絡ませてきた。
「ちょっと、杏奈さん」
「なにかな?」
「腕を絡ませるの止めてもらえませんか?」
「えー、なんでー?別にいーじゃん」
そんな事は言う杏奈さんを無理やり引き剥がす。杏奈さんはむー、と口を膨らませ俺を睨んできた。最近睨まれる事が多い気がする。
杏奈さんの隣を歩いて、カフェへと向かう。適当な会話をしながらカフェに着き、紅茶を頼む。
「で、どう?高校入って二週間経ったけど、友達できた?」
「友達といえるほど仲良くなった人は、残念ながら一人もいないです」
「そっかー。まぁそうだよね。あっ!そういえば同じクラスに水瀬ちゃんいるんだよね?幼馴染みの」
「はい、いますよ。でも何故か目があうたびに睨まれますけど」
もう、水瀬さんを見るのはやめようかな。睨まれるのやだし。ちょっと怖いし。
「そっかー。まぁ、久しぶりだから変に意識しちゃってるのかもね」
「どう意識したら睨まれるんでしょうね?」
「ハハッ、確かにね。でも玲翔君から距離を置いたらダメだよ。むしろ玲翔君からいくくらいじゃないと」
「まぁ、近いうちに嫌でも二人きりになるんですけどね」
「そっか。じゃあその時、水瀬ちゃんが何も言ってこなかったら玲翔君からいくんだよ?」
「分かりました。善処します」
その後も適当に会話しながら、その日は終わった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆
土日が終わり、ちょっと憂鬱な気持ちで午前中の授業を受けた。昼休みになり、トイレに行って教室に戻ると何やら騒がしかった。そして何故かクラスの皆の視線が俺に集まっていた。
何があったのだろうか?とりあえず席につこうと自分の席に近づくと、何故か知らない人が俺の椅子に座り、靴を履いたまま足を机に乗せていた。そして俺の教科書やノートが床にばらまかれていた。
なにやってるんだと、俺の椅子に座る金髪の男とその取り巻き達を見る。金髪は立ち上がり俺の胸ぐらを掴み睨み付けてきた。
「おい、テメェが月城 玲翔だな。お前この写真はどういう事だ!?」
そうイカツイ声で怒鳴ってくる。スマホに写された写真を見る。
そこには俺と杏奈さんが、私服で隣を歩いている写真があった。
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